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あせあせ……あせあせ……。
慌てて塗り終えようとする二人。
「慌てなくて良いよ、ごめんね。待ってるから。」
かすみがそう言う。
慌てなくても良い。
そうは言うが、二人はそういうわけにはいかないだろう。
「……で、でもそんな日差しに曝されて……。」
「そうです、ひとまず日陰に隠れてください。」
大袈裟だな。
そう思いながらも移動するかすみであった。
さて、登校しよう。
「……ごめんね、おまたせ。」
彼女の髪の色と同じく、真っ黒な日傘を差すゆかり。
「おまたせしました。」
血の色のような真っ赤な日傘を差すエル。
両者に挟まれるかすみ。
三人は歩き出した。
それは、少し歩いた頃のことであった。
二人と話していたからだろうか。
喉が渇いてきたかすみ。
背負っているリュックを前に移動させるかすみ。
そして開くと、中から水筒を出した。
ごくごくごく……。
中のお茶を、歩きながら飲む。
ジロリ。
鋭い視線がかすみへ突き刺さる。
敵意ではなく、ひたすらに注目するもの。
それは彼女の両サイドから来るものであった。
あぁ、またか。
そんなことを思うかすみ。
そして、これから二人から何を言われるのかも分かっていた。
「……か、かすみちゃん!一口私にもちょうだい!」
ゆかりには珍しく大きい声を出している。
「か、かすみさん!是非私に先に!私に下さい!次の自販機で何か飲み物をご馳走しますから!」
エルも負けじと声を張り上げる。
ほら、やっぱり始まってしまった。
「うぅ……。」
こうなることは分かっていた。
しかし、そうであっても対処法が未だに分からない。
「な、ならこういうのはどうでしょう?」
困っている。
そんなかすみの様子を察したエル。
「ど、どういうの?」
「昨日は、ゆかりさんがかすみの飲みかけを貰ってました。」
「……待って。」
「なので、今日は私が貰うのが良いのではないじょうか?」
「……待って。」
「二日連続はずるいです。私も欲しいです。」
「……待って。」
「私、もう干からびて死んでしまいそうです!」
「……待って。」
エルの言葉を遮るゆかり。
しかし、そんなものなどは気にしないという様子で話を進めていた。
「うーん、エルちゃんの言うことも一理あるかも……。」
かすみが言う。
彼女もゆかりの声は気にしていないようだった。
慌てて塗り終えようとする二人。
「慌てなくて良いよ、ごめんね。待ってるから。」
かすみがそう言う。
慌てなくても良い。
そうは言うが、二人はそういうわけにはいかないだろう。
「……で、でもそんな日差しに曝されて……。」
「そうです、ひとまず日陰に隠れてください。」
大袈裟だな。
そう思いながらも移動するかすみであった。
さて、登校しよう。
「……ごめんね、おまたせ。」
彼女の髪の色と同じく、真っ黒な日傘を差すゆかり。
「おまたせしました。」
血の色のような真っ赤な日傘を差すエル。
両者に挟まれるかすみ。
三人は歩き出した。
それは、少し歩いた頃のことであった。
二人と話していたからだろうか。
喉が渇いてきたかすみ。
背負っているリュックを前に移動させるかすみ。
そして開くと、中から水筒を出した。
ごくごくごく……。
中のお茶を、歩きながら飲む。
ジロリ。
鋭い視線がかすみへ突き刺さる。
敵意ではなく、ひたすらに注目するもの。
それは彼女の両サイドから来るものであった。
あぁ、またか。
そんなことを思うかすみ。
そして、これから二人から何を言われるのかも分かっていた。
「……か、かすみちゃん!一口私にもちょうだい!」
ゆかりには珍しく大きい声を出している。
「か、かすみさん!是非私に先に!私に下さい!次の自販機で何か飲み物をご馳走しますから!」
エルも負けじと声を張り上げる。
ほら、やっぱり始まってしまった。
「うぅ……。」
こうなることは分かっていた。
しかし、そうであっても対処法が未だに分からない。
「な、ならこういうのはどうでしょう?」
困っている。
そんなかすみの様子を察したエル。
「ど、どういうの?」
「昨日は、ゆかりさんがかすみの飲みかけを貰ってました。」
「……待って。」
「なので、今日は私が貰うのが良いのではないじょうか?」
「……待って。」
「二日連続はずるいです。私も欲しいです。」
「……待って。」
「私、もう干からびて死んでしまいそうです!」
「……待って。」
エルの言葉を遮るゆかり。
しかし、そんなものなどは気にしないという様子で話を進めていた。
「うーん、エルちゃんの言うことも一理あるかも……。」
かすみが言う。
彼女もゆかりの声は気にしていないようだった。
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