あいつに惚れるわけがない

茉莉 佳

文字の大きさ
74 / 259
level 8

「どうしてあんな声が出てしまうのでしょうか?」(性表現あり)

しおりを挟む
焦りながらも、他の言い訳を考える。
しかし、母はそれ以上追求してくることはなかった。
代わりにいつものようにグチグチと、わたしに対する不満を口にする。
ひととおりの説教を終えると、最後に念を押すように言った。

「明日は帰るんでしょ?」
「もちろんです」
「門限は守りなさいよ」
「はい」
「じゃあ、今日はもういいわ。あまりご迷惑かけないようにしなさいよ。そちらの人によろしくね」
「…はい」

意外とあっさり引き下がったな。
ちょっと拍子抜けして、わたしは携帯を切った。
それにしても。
優花さんと言わず、あえて『そちらの人』って…
嘘をついているのが、母にはもうバレているのかもしれない。

「凛子ちゃん。本当に大丈…」
「ヨシキさん!」

彼の言葉が終わらないうちに、わたしはヨシキさんの胸に飛び込んだ。

「オレ、凛子ちゃんを悪い子にしたみたいだな」

わたしを抱きしめ、髪を撫でながら、ヨシキさんは言った。
こうなったら、もうあとには引けない。
例え母に叱られようと、それでもわたしは、ヨシキさんといっしょにいたいのだ。

「自分で決めたことです」
「大胆だな。凛子ちゃんって」
「そうですか?」
「さすが、オレが惚れただけのことはある」
「本当に惚れていますか?」
「もうメロメロ。ついさっきまでヴァージンだったなんて、とても思えないよ」
「そんな…」
「嬉しいよ。はじめてであんなに感じてくれるなんて」
「え… わたし、変でしたか?」
「変なんかじゃないよ。すごく可愛かった」
「なんか… 恥ずかしいです。変なところ、たくさん見せてしまって。どうしてあんな声が出てしまうのでしょうか?」
「凛子ちゃんの喘ぎ声、ほんとに鈴みたいに綺麗で、興奮するよな」
「もうっ。恥ずかしいこと言わないでください」
「ははは。あんなエロ可愛い凛子ちゃんを、オレは独り占めできたんだな」
「ヨシキさん…」
「最高に幸せだよ」
「わたしの方こそ幸せです。ヨシキさんが最初のひとで」
「ありがとう。大事にするよ」
「嬉しいです」
「凛子ちゃん…」

熱い吐息でヨシキさんはささやくと、両手でわたしを抱きしめる。
ヨシキさんの背中に腕をまわし、わたしもぎゅっとヨシキさんを抱きしめた。
広い背中に、厚い胸。
一見華奢に見えるけど、こうして手を回すとゴツゴツしていて、硬くて逞しい。
はじめての感触に思わず胸がときめいて、わたしの方からキスをした。

「可愛すぎるよ凛子ちゃん。オレ、もう元気になっちまった」

そう言って、ヨシキさんはわたしをベッドに組み伏せ、胸に顔を埋めた。
まるで赤ちゃんのように、わたしの胸にしゃぶりついてくる。
そんな仕草が可愛くて愛おしく、思わず頭を撫でる。
からだがジンジンと火照ってきて、気持ちが昂まっていく。
はじめての時よりも、からだが潤って、ヨシキさんをすんなりと受け入れることができた。
そのあとはもう、本能のおもむくまま。

ヨシキさんの部屋ではじめて過ごす長い夜。
わたしたちは飽きることなく、何度も何度もからだを重ねた。

つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

還暦妻と若い彼 継承される情熱

MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。 しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。 母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。 同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。

清掃員と僕の密やかな情状

MisakiNonagase
恋愛
都心のオフィスビルで働く会社員の26歳・高城蓮(たかぎれん)。彼の無機質な日常に唯一の彩りを与えていたのは、夕方から現れる70歳の清掃員・山科和子だった。 青い作業服に身を包み、黙々と床を磨く彼女を、蓮は「気さくなおばあちゃん」だと思っていた。あの日、立ち飲み屋で私服姿の彼女と再会するまでは――。 肉じゃがの甘い湯気、溶けゆく氷の音、そして重ねた肌の温もり。 44歳の年齢差を超え、孤独を分かち合った二人が辿り着いた「愛の形」とは。これは、一人の青年が境界線の向こう側で教わった、残酷なまでに美しい人生の記録。

処理中です...