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執着旦那と愛の子作り&子育て編
【別視点:ガリウス】
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王城内騎士館。
騎士達の朝訓練が終わり勤務の始まる少し前。
第二騎士団団長室に当然のようにいるガリウス。
入ってきた皆が一瞬驚くが、良くある光景でもある。
皆ガリウスに挨拶をすると、もう間も無く始まる朝礼の準備をし始めた。
皆粛々と作業をしているが邪念が鬱陶しい。
以前連れてきたシャリオンを期待する気配に冷笑を浮かべた。
あれはシャリオンの意思を尊重したのであって、連れてきたかったわけでは無い。
結婚したというのに未だに見たがる存在はコバエと変わらない。
『今日もハイシア様はいらっしゃらないのか』などと、思っている男に冷たい視線を送ると、手元の作業を止めると顔をあげガリウスの睨視にハッとして視線を逸らした。
そんな風に威嚇をしているガリウスに、友人で第二騎士騎士団長のアルベルトはため息をついた。
「来るたびにうちの団員を脅さないでくれないか?」
「よからぬことを考えてる気配がしたので」
シレっと答えるガリウスにアルベルトは眉を顰め、諦めた様にため息を吐いた。
シャリオンへ好意を送る人間に異常なほど敵視しているのは以前からだったが解っていても、魅力的な人を見ても無心になれと言うのも無理だろう。
今の者もそれが分かっているから口にはしていなかったし、見ている限りそんな態度は出していなかった。
『言いがかりはよせ』と言いたくともこの者は、シャリオンにたいしてミーハーのように思っているのを知っているアルベルトは下手に言えなかった。
この男が外でうっかり口にしているのをガリウスに聞かれているのかもしれないからだ。
この男のシャリオンへの感情は舞台俳優を見るようなそれで、そもそも結婚したばかりの伴侶はいる。
だが、警戒したガリウスに何もしないのは後で面倒だ。
アルベルトは会議室に先に行っているように、睨まれた部下だけでなく全員を退出させた。
全員がいなくなった後に、ガリウスの浮かべた笑みに、人払いのためもあったのだと気付く。
それはつまり面倒ごとで、アルベルトは気付かないふりした。
「酒の誘いにでも来たのか?」
「それも良いお話ですが今回は別件です」
昔ならばすぐに断って本題に入っていたところだが、そう答えればアルベルトは笑った。
その笑みの意味をガリウスも解っていながらも本題に入った。
「アシュリーの護衛をお願いしたいのです。
貴方の力を最大限にいかせて口の堅い者をつけてください」
アシュリーが王女になる事はまだ公になってはいないが、第一・第二騎士団長には知らされている。
特に第一騎士団は王城や王族の警備に当たっている。
つまり、城内に部屋を与えられたシャリオン達の部屋の警備もしている。
「第一騎士団に依頼すべき内容だろう」
アルベルトはそう言って難しい顔をした。
王族の警護は第一騎士団になっているからだ。
問題を起こしたくないのはわかるのだが。
「まだ王族ではありませんので。それに用があるのはハイシアです」
「また屁理屈を・・・」
王族になるという人間を護りもつけずに彷徨くわけにはいかない。
ハイシアにはウルフ家の者がおり安全は確証されているのだが、次期女王になる人物をハイシア家がが所有化していると言われない為に国家騎士団の騎士を付けるのだ。
「ワープゲートを使えば一瞬だが。
・・・それよりも、先日も出ていたようだが頻繁に出過ぎでは無いか?」
「全員分のワープリングを用意しますよ。
先日のは外の世界を知る学びの一環です。
それに、まだ1歳にもならない子供なのですから構わないでしょう」
「1歳にならない子供をそんなに出すものではないだろう。
それに話が出来て魔法にも長けているなんてどう見ても普通じゃない」
「そうですね。魔術師のセンスはあるようです。
・・・ですがその言い方はシャリオンには絶対に言わないでくださいね。
シャリオンは子供達の魔力をメリットとしてみています」
「それはそうだ。デメリットに考えているお前くらいだ。俺が言いたいのは・・・はぁ。なんでも良い」
その言葉にクスクスと笑った。
ガリウスが学園時代に魔力が高く影で魔法の練習をしていたのを知っているからだ。
素晴らしい能力に何故もっと授業で本気を出さないのか聞かれ、ガリウスは「皆これくらいの魔法でしょう」と答えたのだが、かなり不思議がられたのは懐かしい思い出だ。
普通の魔術師であれば高ければ高いに越した事はないからだ。
「例の件や公爵の話が無ければ2人揃って騎士団に所属してもらいたいほどだ」
「それはどうでしょうねえ。
ここでは少々狭く物足りなく感じるかもしれません」
「・・・。それはお前と同じくらい力があるということか」
「口外しないで下さいね。・・・あの子達は私よりも強くなります」
「・・・、」
「安心して下さい。今のところは魔法道具で抑えてますし、暴走させないようにコントロールさせる為の講師は付けています。明日から休みですが」
「・・・大丈夫なのか?」
「親バカに取ったいただいて構いませんが、あの子達はシャリオンによく似て真っ直ぐです。
駄目だと言った事はやりません。
特にシャリオンを泣かすような事はね」
「・・・本当にもうすぐ1歳になる赤子なのか?」
旧知の中だがアルベルトとは6歳からの付き合いだから知らなくて当然だ。
「魔力が高すぎると産まれる前から記憶を持つものいるのです。
・・・あの子達はシャリオンから無理やり引き離された事により、特にシャリオンを求めているようですよ。
もしくは私に似たかですね」
「前者は分からないが、間違いなく後者はそうだろう。
そう・・・魔法と言えば・・・。
またシャリオン殿が使用する魔法が増えたと聞いたが」
「調べたのですか?」
「調べようと思って調べたわけじゃない。
城内は違うが城外は警備範囲だ。
その範囲に使用される魔法があればわかるだろう?」
城全体に結界が張られており、城内で魔法を使用すると検知される。そのため使用する際は予め申請しておく必要があるのだ。
これが普通の人間なら罰せられるが、公爵の息子なだけでなくシャリオンだ。
使った魔法の内容も敵意があるものではないし、許可をしたのはルークである。
公爵家だから免除されているという事実を知ったらシャリオンは嫌がるだろうが、今はシャリオンの魔法スキルを上げたい。
いつどんな人間に襲われても大丈夫なように。
勿論、シャリオンには指一本触れさせる気は無いが、出来る全てのことしておきたい。
「そうでしたか。
であれば、どのような魔法かご存知でしょう?」
「・・・惚気か」
「違うとは言いません」
アルベルトは口振りと裏腹に意地悪気にニヤリと笑った。
訓練のためだが、シャリオンが必死に自分に掛けてくれるのは勿論の事、ガリウスの魔力が気持ち良い様にガリウスもまたシャリオンの魔力は甘く心地いいのだ。
「伴侶の魔力が心地良いのは当然でしょう」
「まぁ・・・そうだが。次は回復でも教える気か?」
「それはしません」
「?シャリオン殿なら喜んでしそうだが」
「だからです。・・・もし、またドラゴンのような魔物が攻めてきて時、傷ついた人間を前にシャリオンは自分の魔力を考えずに回復に全力投球してしまうでしょう」
現にドラゴンの血を浴びたセレスやウルフ家の者達や、キュリアスで洗脳された神官達の治療にヒーリングケア(状態異常回復)した時も掛けている最中に辛さを一切見せなかった。
あの時、最大限に気を使っていたが、それでもシャリオンの体が処理できる最大限を越していて、倒れさせたのは失態だ。
魔力を解放していたならば倒れさせる事は、なかったのではないのかと思ってしまう。
あの時はまだ自分がいたから良い。
自分が、・・・いや。
ガリウスやゾルのように止める人物が居なかったら、命を削るほどの魔法を使うはずだ。
だから、シャリオンには治癒の魔法は教えない。
「なるほどな。シャリオン殿の事はわかった。
それでだ。悪いがうちでは護衛が出来ない。
・・・と、断りたい所なんだがな」
視線が理由を話せと言っている。
「第一騎士団はフィラコーヴァの古巣でもあります」
ファラコーヴァとはミクラーシュの事である。
騎士団長とは特別仲良かったようには見えなかったが
どんな繋がりがあるか分からない。
今のガリウスならある程度下がる事はできるが、アシュリーを任せるのは慎重になる。
ルークはちゃんとした事情があれば、ガリウスを推した人間をアシュリーに携わる人間の1人に加えてくれるだろう。
「クルト団長はそのような事はないとは思うのですが、念のためです。
出来れば専属に出来るような者をつけてください」
「はぁ・・・それでウルフ家の者達に採点させるということか?」
「ウルフ家の者達は自分達以外を信じません。
ただ、私はどんな振る舞いをしていたか聞きますが」
「おい・・・」
「フッ。ウルフ家の者と敵対してもらいたいわけではありません。
あの子達の手足になり動く者は同じくまだ赤子なのですよ。
その子供とも顔見知りになって頂きたいのです」
主人にしか懐かないというウルフ家の者達。
それに好かれるような者などいるのだろうか。
難しいことを言うガリウスに視線で訴えてくる。
しかし、ガリウス自身ゾルとはそれなりの仲にはなっていると思っている。
だから他人にもやってできない事はないだろう。
しかし、まだ難しい顔をしているアルベルトの前に餌をぶら下げる。
「最高位の団長に興味はありませんか」
第一と第二では同じ城内ある騎士館にいれても、処遇に差があるのは確かだ。
反対しか言わなかったアルベルトが止まる。
「・・・、まいったな。
そんな事を言われたなら断れないだろう」
そう言いながらもギラついた目でガリウスをみる。
元々上昇志向があり、がむしゃらに第二騎士団になった男だ。
貴族で伯爵でありながらかわった者である。
元々騎士から始まった家系であるため、当然と言えば当然なのだが。
「それで?いつハイシアにいくんだ」
「今日です」
「は?」
「ですから今ですよ」
「・・・かなり時間に開きがあるが」
「頼みましたよ」
そういうとガリウスは立ち上がった。
ブツブツと聞こえるのは不満ではない。
誰を行かせるか悩んでいるのだ。
騎士達の朝訓練が終わり勤務の始まる少し前。
第二騎士団団長室に当然のようにいるガリウス。
入ってきた皆が一瞬驚くが、良くある光景でもある。
皆ガリウスに挨拶をすると、もう間も無く始まる朝礼の準備をし始めた。
皆粛々と作業をしているが邪念が鬱陶しい。
以前連れてきたシャリオンを期待する気配に冷笑を浮かべた。
あれはシャリオンの意思を尊重したのであって、連れてきたかったわけでは無い。
結婚したというのに未だに見たがる存在はコバエと変わらない。
『今日もハイシア様はいらっしゃらないのか』などと、思っている男に冷たい視線を送ると、手元の作業を止めると顔をあげガリウスの睨視にハッとして視線を逸らした。
そんな風に威嚇をしているガリウスに、友人で第二騎士騎士団長のアルベルトはため息をついた。
「来るたびにうちの団員を脅さないでくれないか?」
「よからぬことを考えてる気配がしたので」
シレっと答えるガリウスにアルベルトは眉を顰め、諦めた様にため息を吐いた。
シャリオンへ好意を送る人間に異常なほど敵視しているのは以前からだったが解っていても、魅力的な人を見ても無心になれと言うのも無理だろう。
今の者もそれが分かっているから口にはしていなかったし、見ている限りそんな態度は出していなかった。
『言いがかりはよせ』と言いたくともこの者は、シャリオンにたいしてミーハーのように思っているのを知っているアルベルトは下手に言えなかった。
この男が外でうっかり口にしているのをガリウスに聞かれているのかもしれないからだ。
この男のシャリオンへの感情は舞台俳優を見るようなそれで、そもそも結婚したばかりの伴侶はいる。
だが、警戒したガリウスに何もしないのは後で面倒だ。
アルベルトは会議室に先に行っているように、睨まれた部下だけでなく全員を退出させた。
全員がいなくなった後に、ガリウスの浮かべた笑みに、人払いのためもあったのだと気付く。
それはつまり面倒ごとで、アルベルトは気付かないふりした。
「酒の誘いにでも来たのか?」
「それも良いお話ですが今回は別件です」
昔ならばすぐに断って本題に入っていたところだが、そう答えればアルベルトは笑った。
その笑みの意味をガリウスも解っていながらも本題に入った。
「アシュリーの護衛をお願いしたいのです。
貴方の力を最大限にいかせて口の堅い者をつけてください」
アシュリーが王女になる事はまだ公になってはいないが、第一・第二騎士団長には知らされている。
特に第一騎士団は王城や王族の警備に当たっている。
つまり、城内に部屋を与えられたシャリオン達の部屋の警備もしている。
「第一騎士団に依頼すべき内容だろう」
アルベルトはそう言って難しい顔をした。
王族の警護は第一騎士団になっているからだ。
問題を起こしたくないのはわかるのだが。
「まだ王族ではありませんので。それに用があるのはハイシアです」
「また屁理屈を・・・」
王族になるという人間を護りもつけずに彷徨くわけにはいかない。
ハイシアにはウルフ家の者がおり安全は確証されているのだが、次期女王になる人物をハイシア家がが所有化していると言われない為に国家騎士団の騎士を付けるのだ。
「ワープゲートを使えば一瞬だが。
・・・それよりも、先日も出ていたようだが頻繁に出過ぎでは無いか?」
「全員分のワープリングを用意しますよ。
先日のは外の世界を知る学びの一環です。
それに、まだ1歳にもならない子供なのですから構わないでしょう」
「1歳にならない子供をそんなに出すものではないだろう。
それに話が出来て魔法にも長けているなんてどう見ても普通じゃない」
「そうですね。魔術師のセンスはあるようです。
・・・ですがその言い方はシャリオンには絶対に言わないでくださいね。
シャリオンは子供達の魔力をメリットとしてみています」
「それはそうだ。デメリットに考えているお前くらいだ。俺が言いたいのは・・・はぁ。なんでも良い」
その言葉にクスクスと笑った。
ガリウスが学園時代に魔力が高く影で魔法の練習をしていたのを知っているからだ。
素晴らしい能力に何故もっと授業で本気を出さないのか聞かれ、ガリウスは「皆これくらいの魔法でしょう」と答えたのだが、かなり不思議がられたのは懐かしい思い出だ。
普通の魔術師であれば高ければ高いに越した事はないからだ。
「例の件や公爵の話が無ければ2人揃って騎士団に所属してもらいたいほどだ」
「それはどうでしょうねえ。
ここでは少々狭く物足りなく感じるかもしれません」
「・・・。それはお前と同じくらい力があるということか」
「口外しないで下さいね。・・・あの子達は私よりも強くなります」
「・・・、」
「安心して下さい。今のところは魔法道具で抑えてますし、暴走させないようにコントロールさせる為の講師は付けています。明日から休みですが」
「・・・大丈夫なのか?」
「親バカに取ったいただいて構いませんが、あの子達はシャリオンによく似て真っ直ぐです。
駄目だと言った事はやりません。
特にシャリオンを泣かすような事はね」
「・・・本当にもうすぐ1歳になる赤子なのか?」
旧知の中だがアルベルトとは6歳からの付き合いだから知らなくて当然だ。
「魔力が高すぎると産まれる前から記憶を持つものいるのです。
・・・あの子達はシャリオンから無理やり引き離された事により、特にシャリオンを求めているようですよ。
もしくは私に似たかですね」
「前者は分からないが、間違いなく後者はそうだろう。
そう・・・魔法と言えば・・・。
またシャリオン殿が使用する魔法が増えたと聞いたが」
「調べたのですか?」
「調べようと思って調べたわけじゃない。
城内は違うが城外は警備範囲だ。
その範囲に使用される魔法があればわかるだろう?」
城全体に結界が張られており、城内で魔法を使用すると検知される。そのため使用する際は予め申請しておく必要があるのだ。
これが普通の人間なら罰せられるが、公爵の息子なだけでなくシャリオンだ。
使った魔法の内容も敵意があるものではないし、許可をしたのはルークである。
公爵家だから免除されているという事実を知ったらシャリオンは嫌がるだろうが、今はシャリオンの魔法スキルを上げたい。
いつどんな人間に襲われても大丈夫なように。
勿論、シャリオンには指一本触れさせる気は無いが、出来る全てのことしておきたい。
「そうでしたか。
であれば、どのような魔法かご存知でしょう?」
「・・・惚気か」
「違うとは言いません」
アルベルトは口振りと裏腹に意地悪気にニヤリと笑った。
訓練のためだが、シャリオンが必死に自分に掛けてくれるのは勿論の事、ガリウスの魔力が気持ち良い様にガリウスもまたシャリオンの魔力は甘く心地いいのだ。
「伴侶の魔力が心地良いのは当然でしょう」
「まぁ・・・そうだが。次は回復でも教える気か?」
「それはしません」
「?シャリオン殿なら喜んでしそうだが」
「だからです。・・・もし、またドラゴンのような魔物が攻めてきて時、傷ついた人間を前にシャリオンは自分の魔力を考えずに回復に全力投球してしまうでしょう」
現にドラゴンの血を浴びたセレスやウルフ家の者達や、キュリアスで洗脳された神官達の治療にヒーリングケア(状態異常回復)した時も掛けている最中に辛さを一切見せなかった。
あの時、最大限に気を使っていたが、それでもシャリオンの体が処理できる最大限を越していて、倒れさせたのは失態だ。
魔力を解放していたならば倒れさせる事は、なかったのではないのかと思ってしまう。
あの時はまだ自分がいたから良い。
自分が、・・・いや。
ガリウスやゾルのように止める人物が居なかったら、命を削るほどの魔法を使うはずだ。
だから、シャリオンには治癒の魔法は教えない。
「なるほどな。シャリオン殿の事はわかった。
それでだ。悪いがうちでは護衛が出来ない。
・・・と、断りたい所なんだがな」
視線が理由を話せと言っている。
「第一騎士団はフィラコーヴァの古巣でもあります」
ファラコーヴァとはミクラーシュの事である。
騎士団長とは特別仲良かったようには見えなかったが
どんな繋がりがあるか分からない。
今のガリウスならある程度下がる事はできるが、アシュリーを任せるのは慎重になる。
ルークはちゃんとした事情があれば、ガリウスを推した人間をアシュリーに携わる人間の1人に加えてくれるだろう。
「クルト団長はそのような事はないとは思うのですが、念のためです。
出来れば専属に出来るような者をつけてください」
「はぁ・・・それでウルフ家の者達に採点させるということか?」
「ウルフ家の者達は自分達以外を信じません。
ただ、私はどんな振る舞いをしていたか聞きますが」
「おい・・・」
「フッ。ウルフ家の者と敵対してもらいたいわけではありません。
あの子達の手足になり動く者は同じくまだ赤子なのですよ。
その子供とも顔見知りになって頂きたいのです」
主人にしか懐かないというウルフ家の者達。
それに好かれるような者などいるのだろうか。
難しいことを言うガリウスに視線で訴えてくる。
しかし、ガリウス自身ゾルとはそれなりの仲にはなっていると思っている。
だから他人にもやってできない事はないだろう。
しかし、まだ難しい顔をしているアルベルトの前に餌をぶら下げる。
「最高位の団長に興味はありませんか」
第一と第二では同じ城内ある騎士館にいれても、処遇に差があるのは確かだ。
反対しか言わなかったアルベルトが止まる。
「・・・、まいったな。
そんな事を言われたなら断れないだろう」
そう言いながらもギラついた目でガリウスをみる。
元々上昇志向があり、がむしゃらに第二騎士団になった男だ。
貴族で伯爵でありながらかわった者である。
元々騎士から始まった家系であるため、当然と言えば当然なのだが。
「それで?いつハイシアにいくんだ」
「今日です」
「は?」
「ですから今ですよ」
「・・・かなり時間に開きがあるが」
「頼みましたよ」
そういうとガリウスは立ち上がった。
ブツブツと聞こえるのは不満ではない。
誰を行かせるか悩んでいるのだ。
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