122 / 217
執着旦那と愛の子作り&子育て編
報告しないと面倒だと言うのは分かる。
しおりを挟む
サーベル国での戴冠式を無事に終えてアルアディアに帰ってきた。
正直、領地の事が心配でそれどころでは無かったが、表面上を取り繕う。
シャリオンの様子がおかしいのが気付くのは同行した4人くらいだ。
領地に帰ると中心となって動いてくれていた執事と、実際に捜索に当たった隊の2人に早々に報告を聞いた。
帰還中に発見の連絡が得られずあまり良い返事は期待はしていなかったが・・・。
「消えた?」
「はい」
しっかりと聞こえていたのに理解しがたく繰り返し尋ねた。
しかし、もとより領主の前で冗談を言う人間達ではない。
シャリオンは小さくため息をついた。
「これではドラゴンがどうのという騒ぎではないな」
「ドラゴン・・・ですか?」
そう尋ねたのは、実際に操作に行った隊員だ。
ウルフ家の人間であれば思考共有をしているから知っている・・・いや。
この優秀な執事は情報漏洩を考え、不必要なことは言わない。
重要なの村民と砦の兵士、そして先行で向かった修理の部隊であることを理解し、余計な混乱をなくしたのだろう。
『ドラゴンがいるかもしれない』と言われてもアルアディアの人間は、幻の生き物を御伽噺の様にとらえる。
であればそのことを伏せ危険な『猛獣』とすることで、緊張感を持たせた。
現にそれを聞いた兵士は表情が一瞬訝し気に眉が顰められた。
シャリオンもまだ疑っているから、困った様に苦笑した。
「情報が不確かなところがあったため『猛獣』とだけ言っていたが。
・・・あの村がある地域で猛獣が出たとカルガリア国から情報があった」
「「!」」
「ただのモンスターなら城壁を超えることは出来ない。
しかし、ドラゴンとなると想像がつかない」
「・・・、」
「だが、その村や砦すら姿を消してしまったとは。
・・・わかった。ありがとう。
少し対策が必要みたいだ。
戻ってきた人間は今のところは一旦休んで」
「「はい」」
シャリオンの指示に敬礼をした後、隊員たちが去っていくのを見ながら、シャリオンは机の上の地図に目を落とす。
もっと早くに真剣に取り組んでいれば
これに出さずに猛省していると、視線で分かったのか、執事が横から否定する。
「あの状況で最善かと存じます」
そういう執事にシャリオンはありがたく思いながら、苦笑を浮かべる。
相変わらず彼等はシャリオンに甘い。
ゾルもそれに頷きながらもアドバイスをくれた。
「セレスを呼ばれては如何でしょうか。
そろそろお子様方の訓練の時間も終えます」
「そうだね。・・・そうだね。ここは専門家に聞いてみようか」
・・・
・・
・
執務室に訪れたセレスにこれまでの状況を説明する。
すると、彼は話を聞き終わると首を傾げた。
「消えた~?そんな感じはしなかったけど」
まるで見ていたかのような素振りにシャリオンも首をかしげる。
魔法適性がないから見当もついていない。
「・・・どういうこと?」
「村や砦、それにそれだけの人間が魔術で移転したなら、その分一気に移動するでしょう?・・・て、移動するんだけど、少なくともあとから追って行った人間が途中で消える気配はしなかったと思うよ」
簡単に言うがセレスはずっと領地の城にいたはずだ。
「・・・、ここから大分離れた村だけど」
「まぁ流石にいつも見てるわけじゃないけれど、追加で人間を送ったときは見てたよ」
「流石だね・・・セレス」
「いや、何もわかって無いからね?」
褒めたシャリオンにセレスは苦笑を浮かべた。
後腕を組みながら、シャリオンに問いかけながら自問自答を始める。
「んーでも不思議だね。
気になるなー。何が起きてるのかな。本当に動いたのかな?
というか、存在してたのかも怪しいね」
「え」
「だって痕跡なく消えるって可笑しいじゃない?橋も村も砦もさー」
存在してないと言う事はない。
先日シャリオンも行ったのだから。
そう言いたかったのだが、それすらも幻想と言いたいのだろうか?
それは確信を持っているというわけではなく、気になることをただ口にしている様だ。
そして、自問し可能性を打ち消していくセレス。
困ったな・・・。と、思ったところで、そのそっくりな人物を思い出した。
「あ」
「ん?」
「・・・。セレス。悪いけれど考えて置いてくれる?」
「いいけど。何かあった?」
「ちょっと、この件は報告しておかなきゃいけないと思うんだ」
「あーかもね。でも彼を使ってお願いすれば?」
「いや・・・今回はちゃんと言っておかないと駄目なような気がするんだ」
「そうなの?うん。わかった。まぁボクは執事さんと策を練ってるよ」
子供達の件があったときに敵視していたように見えたのだが、大丈夫なのだろうか。
ふと執事を見たのだが、その心配は無用だったようだ。
その言葉に執事は返事をし頷いた。
「お任せください。セレス殿と模索しております」
「ありがとう。じゃぁすぐに戻るから」
そういうとシャリオンはゾルと部屋を出る。
気分が乗らないが遠回しで知られたら面倒になることは目に見えている。
☆☆☆
王都の城につくと、まずは執務室に向かった。
事前に訪問をすることを言っていたからかレオンはいてくれた。
そして、報告を終えると次は王太子の執務室に向かう。
ガリウスはついて行こうかと言ってくれたが、シャリオンは一人で行くことを伝えた。
訪問の前触れは出していないが、・・・忙しかったら手紙を渡してもらおう。
サーベル国で様子の可笑しかったルークは、次にあった時にはもう普通だった。
けれど、あれからシャリオンの目を見てはくれない。
こんなことは初めてでシャリオンも驚いているし、心のわだかまりになっているのだ。
扉をノックし、現れた使いの者に謁見を願った。
すると、待合室で腰を掛けた瞬間に扉が開かれて、そこにはルークがいた。
「ど、どうしたの」
髪が少し乱れているのは執務室からここまで走ってきたからなのだろうか。
「それはこっちのセリフだよ~」
そう言うと、シャリオンの前に掛けるルーク。
ちなみにゾルは今は側近と言うより従者の様に壁際に立っている。
「突然来ちゃってごめんね」
「ううん。大丈夫」
何故今日はこんなに緊張するのだろうか。
困った様にしながらもシャリオンはつづけた。
「今日はあの件で報告に来たんだ」
「・・・、あー・・・。わざわざごめん」
シャリオンは王都には滅多に来ない。
それで来た理由が分かったのだろう。
「帰ってきた捜索隊に話を聞いてみたら、・・・村も砦もなくなってた」
「え」
そういうとルークはピシリと固まるが、すぐに何かを考える様に椅子に深く座った。
シャリオンはセレスが魔力の移動が無いと言っていたことも併せて伝えると、少し驚いたようだったが一つの答えを出したのかこちらを見てくる。
「もともとあったあたりには入ってみた?」
「?・・・どうだろう聞いてないけど」
「セレスほどの魔術師が魔力の流れを感じなかったと言っているのが気になるね」
「・・・うん」
「存在してないんじゃなくて、存在しているんじゃないの」
「・・・、・・・」
そう言われてもシャリオンにはその言葉の意味が理解できなかった。
思わず固まるとルークが苦笑をする。
「たぶんもうセレスが答えを出しているだろうけれど、『姿を消した』の言葉の通り見えないだけでそこにあるんじゃないかな」
「え」
「だとしても何故そんなことをしたのか。第三者がしたのか。それをしたのか調べる必要があるね」
「うん。・・・ありがとう。ルー」
王族として魔術も嗜んでいるからなのだろう。
少し考えただけで出てきたそれにシャリオンは感心したように言った。
「そんなの。セレスも・・・ガリウスもきっと検討ついたんじゃないかな」
「僕も魔術の事避けてたら駄目だな・・・」
意図的に避けていたわけではないが、取り入れようともしていなかったツケがここに来て出来てしまった。
子供達のこともあるし、基礎知識くらいはつけておかねばならないと今になって焦燥感が出てくる。
「適材適所と言うのがあるからね。
それより・・・リオ。こないだはごめんね」
謝罪は先日の事だ。
そう言うと、シャリオンに視線を合わせてくれて、ホッとする。
「・・・、そう呼ばれたのは随分久しぶりだね」
ライガーが婚約者になり、ルークは遠慮してからなのかシャリオンと呼ぶようになった。
「そうかもね。まぁでも兄上もそう呼んでるし。俺も良いんじゃないかな」
「良いよ?別に」
「・・・。アンジェリーンにも困ったものだ」
「お土産くらい良いよ。ちょっと驚いたけれど」
「けど、・・・ハイシア家はアルカス家を支持していると思われてしまうかもしれないよ?」
「そこら辺は大丈夫。・・・あぁというかそうだ。城に来るんだったら持ってくるんだったな・・・。
あ。いや持てないかな」
「?そんな大きなものなの?」
「サーベル国の民族衣装が欲しいっていうんだ」
「・・・。・・・はぁ」
「まぁ滅多に行くこともないだろうから、良いんだけどね」
シャリオンは苦笑を浮かべる。
「そういうの断って良いよ?
『道中荷物になる』とでも言えばいいし、遊びで行っているんじゃない。
それに、アルカス家だったら自分で行けるほどの財力はあるだでしょ」
普段より厳しい物言いに少々驚く。
・・・と言う事は、もしこの2人が結婚したとなったら双方嫌い同士と言う事になるのか・・・
そんなことを思わず思ってしまう。
「とにかく、アンジェリーンのことは甘やかさなくていいから。
俺に聞いてみるとかそう言えばいい」
「本当に困ることを言われたらね」
シャリオンの返答にルークはつまらなそうに眉を顰めたが、諦めたのかため息をついた。
「あいつは昔からそう。リオに突っかかって・・・本当に」
「今度理由聞いてみようかな」
同じ公爵家としてライバル視されているのかと思っていたのだが。
しかし、ルークはそれに首を振った。
「止めて置いた方が良い。どうせ何も考えてないし、可笑しな我儘言うだけだよ。
大方崇高な貴族な血が流れているから合格とかそういう了見なんだ」
確かに以前のアンジェリーンなら言いそうなことである。
「でも最近変わったよね。あんなに変わるとは思わなかったな。それほど大した事じゃないと思うんだけど」
「・・・なにか言ったの~・・・?」
嫌いだと言った事は伏せて『王配になるのに足りない事』を聞かれたことを話した。
「・・・リオの言う事は聞くのかあの男は」
心底嫌そうな顔をするルーク。
「僕の言う事っていうか『王配』になるために必要だからだと思う。
でも、あそこまで態度が変わるとは思わなかったな」
「・・・本当にね」
アンジェリーンが目を惹かれるのは確かだ。
あの容姿もだが所作も美しく、よく他の貴族たちに噂されているのは聞く。
「・・・はぁ。そんなに王配になりたいなんてどんな裏があるんだか、考えるだけでも怖い」
「そこまで言ったら・・・可愛そうなんじゃない?
貴族として国民に何かしたいと思ったのかもしれないし」
「・・・、・・・、・・・リオは・・・一体どんなもの食べたらリオみたいになるの?」
「・・・え?僕みたいって・・・?」
「なんでもないよ。・・・わかった。
アンジェリーンが変わった原因も。
・・・それよりも村のことは気になるから引き続き報告が欲しい。
次はいつも通りガリウスで良いよ。
リオが来てくれてもいいけれど、あまり呼び出していると次期宰相様にめちゃくちゃ怒られる」
そう揶揄う様にいうルークにシャリオンはクスリと笑った。
「ガリィは言ったらちゃんと理解してくれるよ?」
「・・・いや、・・・いや。なんでもない」
何かを言いかけたのだが、ルークは苦笑してため息をついた。
それが不思議だったがシャリオンはそれ以上尋ねなかった。
☆☆☆
用も終わったし王都のガリウスとの屋敷に戻る前に、ガリウスとレオンに顔を出してからにしようと向かっているところだった。
最近よく合うようになったアンジェリーンが、まるで待ちかまえるかのように廊下に立っていた。
「ごきげんよう。アンジェリーン様」
「ごきげんよう。そして、おかえりなさい。シャリオン」
シャリオンに用事があったのだろうが、丁度良かった。お土産の話が出来る。
いや、そもそもアンジェリーンは催促に来たのかもしれない。
「ただいま戻りました。アンジェリーン様、お土産を買ってまいりましたが、お屋敷に贈らせていただいて宜しいでしょうか」
結局お土産は衣装を2着にした。
一つは従来通りのサーベル国のもの。
もう一つはジャスミンが張り切って作ったサーベル国の民族衣装を取り入れた特製の衣装だ。
「今日持っていらしたの?」
「いえ。ハイシアからお送りいたします」
「そう。ならそちらに伺うわ」
「え?」
「貴方の都合のいい日を教えて頂戴」
「あー・・・えっと」
そう言い濁したシャリオンにアンジェリーンは途端に呆れたような表情になった。
「・・・まさか、またトラブルに巻き込まれているのでは?」
「っ・・・はい」
隠していても仕方がない。
シャリオンが苦笑を浮かべながら言うと、小さくため息をついた。
「まぁ、約束通り無事に帰ってきたのだから良しとしましょう」
「ありがとう、ございます?」
疑問形で返したというのに、アンジェリーンはどこか嬉しそうに笑った。
「もう。貴方は。・・・私はまだ『王配』ではないのですよ?
それなのにこんな風に言われて何故抗議しないのかしら」
「・・・わかってされていたのですか」
「あら。ちゃんと感じていたのですか」
「っ・・・、・・・もしかして僕は、・・いえ。私は揶揄われていたのですか?」
「やっと気づいた」
そう言ってクスクスと楽しそうに笑うアンジェリーン。
その笑みは昔によく見た笑い方だ。
思わず本音が漏れてしまう。
「・・・酷いです」
「酷いのはシャリオンです。
こちらがどんなに崩して接してもいまだに口調も固いままで」
「・・・もしかして、・・・それで意地悪な態度だったのですか?」
「私は意地悪をしたつもりはありませんが」
本気でそう言っているらしく、意地が悪いのは地の様だ。
「まぁそうですね。貴方が口調を改めて下さるのであれば、考えて差し上げなくてもありません」
それはどういう願いなのだろうか。
「そもそも。私達は歳が近く、同じ公爵なのですよ?
むしろ貴方は次期公爵で上の立場なのに何故敬語なの」
「それは・・・。まぁでもアンジェリーン様が王配になられたら問題ないでしょう」
「あら。私を推して下さるのかしら」
「いえ。そう言う事もありません」
「随分はっきり言いますね」
アンジェリーンは可笑しそうに笑った。
今日は機嫌が良い様で本当によく笑う。
シャリオンにもそれが移り、口元に笑みを浮かべた。
「僕は優しいアンジェリーン様が良い」
「そう。なら、仕方がないね。貴方の為に優しく振舞ってあげましょうか」
上から目線な発言ではあるが、敬語が消えた口調はまだなんだかむず痒い。
話しをまとめると、ずっと気付かなかったが彼なりに仲良くしたいと思っていたという事らしい。
アンジェリーンの親の影響で、シャリオンも頑なに口調を崩さなかったところもあった。
本人はひたすら『アンジェ』と呼んで欲しがっていたのに、無視をしていたのだから。
かと言って今さら『アンジェ』とは呼べないが。
「それと今夜晩餐会があるの殿下から聞いているでしょう?」
「聞いてない・・・けど」
それだけじゃなくとも、シャリオンは帰って領のことを進めたいところだった。
しかし、この流れはお誘いがあるのだろう。
「それに、僕はガリィがいない夜会には出ないよ」
「残念ながら、その夜会は貴方の伴侶も出ます」
「え」
シャリオンの返事に何故か勝ち誇ったかのようなアンジェリーン。
「これで一緒に出ますね?」
「、・・・うん」
なんと用意周到なのだろうか。
シャリオンは思わず苦笑を浮かべながらも返事をする。
何でも、サーベル国から無事に帰ったことによるものなんだそうだ。
帰ってきて早々貴族たちはサーベル国の話を聞きたいらしい。
少しだけ親しくなったアンジェリーンは、宣言してくれたように言葉の棘は消えた。
それにホッとしたのもつかの間だった。
晩餐会は簡易的なもので数時間食事をしたらお開きと言うようなものだったのだが、・・・そこでまた思っても見ないことが起きてしまうのだった。
正直、領地の事が心配でそれどころでは無かったが、表面上を取り繕う。
シャリオンの様子がおかしいのが気付くのは同行した4人くらいだ。
領地に帰ると中心となって動いてくれていた執事と、実際に捜索に当たった隊の2人に早々に報告を聞いた。
帰還中に発見の連絡が得られずあまり良い返事は期待はしていなかったが・・・。
「消えた?」
「はい」
しっかりと聞こえていたのに理解しがたく繰り返し尋ねた。
しかし、もとより領主の前で冗談を言う人間達ではない。
シャリオンは小さくため息をついた。
「これではドラゴンがどうのという騒ぎではないな」
「ドラゴン・・・ですか?」
そう尋ねたのは、実際に操作に行った隊員だ。
ウルフ家の人間であれば思考共有をしているから知っている・・・いや。
この優秀な執事は情報漏洩を考え、不必要なことは言わない。
重要なの村民と砦の兵士、そして先行で向かった修理の部隊であることを理解し、余計な混乱をなくしたのだろう。
『ドラゴンがいるかもしれない』と言われてもアルアディアの人間は、幻の生き物を御伽噺の様にとらえる。
であればそのことを伏せ危険な『猛獣』とすることで、緊張感を持たせた。
現にそれを聞いた兵士は表情が一瞬訝し気に眉が顰められた。
シャリオンもまだ疑っているから、困った様に苦笑した。
「情報が不確かなところがあったため『猛獣』とだけ言っていたが。
・・・あの村がある地域で猛獣が出たとカルガリア国から情報があった」
「「!」」
「ただのモンスターなら城壁を超えることは出来ない。
しかし、ドラゴンとなると想像がつかない」
「・・・、」
「だが、その村や砦すら姿を消してしまったとは。
・・・わかった。ありがとう。
少し対策が必要みたいだ。
戻ってきた人間は今のところは一旦休んで」
「「はい」」
シャリオンの指示に敬礼をした後、隊員たちが去っていくのを見ながら、シャリオンは机の上の地図に目を落とす。
もっと早くに真剣に取り組んでいれば
これに出さずに猛省していると、視線で分かったのか、執事が横から否定する。
「あの状況で最善かと存じます」
そういう執事にシャリオンはありがたく思いながら、苦笑を浮かべる。
相変わらず彼等はシャリオンに甘い。
ゾルもそれに頷きながらもアドバイスをくれた。
「セレスを呼ばれては如何でしょうか。
そろそろお子様方の訓練の時間も終えます」
「そうだね。・・・そうだね。ここは専門家に聞いてみようか」
・・・
・・
・
執務室に訪れたセレスにこれまでの状況を説明する。
すると、彼は話を聞き終わると首を傾げた。
「消えた~?そんな感じはしなかったけど」
まるで見ていたかのような素振りにシャリオンも首をかしげる。
魔法適性がないから見当もついていない。
「・・・どういうこと?」
「村や砦、それにそれだけの人間が魔術で移転したなら、その分一気に移動するでしょう?・・・て、移動するんだけど、少なくともあとから追って行った人間が途中で消える気配はしなかったと思うよ」
簡単に言うがセレスはずっと領地の城にいたはずだ。
「・・・、ここから大分離れた村だけど」
「まぁ流石にいつも見てるわけじゃないけれど、追加で人間を送ったときは見てたよ」
「流石だね・・・セレス」
「いや、何もわかって無いからね?」
褒めたシャリオンにセレスは苦笑を浮かべた。
後腕を組みながら、シャリオンに問いかけながら自問自答を始める。
「んーでも不思議だね。
気になるなー。何が起きてるのかな。本当に動いたのかな?
というか、存在してたのかも怪しいね」
「え」
「だって痕跡なく消えるって可笑しいじゃない?橋も村も砦もさー」
存在してないと言う事はない。
先日シャリオンも行ったのだから。
そう言いたかったのだが、それすらも幻想と言いたいのだろうか?
それは確信を持っているというわけではなく、気になることをただ口にしている様だ。
そして、自問し可能性を打ち消していくセレス。
困ったな・・・。と、思ったところで、そのそっくりな人物を思い出した。
「あ」
「ん?」
「・・・。セレス。悪いけれど考えて置いてくれる?」
「いいけど。何かあった?」
「ちょっと、この件は報告しておかなきゃいけないと思うんだ」
「あーかもね。でも彼を使ってお願いすれば?」
「いや・・・今回はちゃんと言っておかないと駄目なような気がするんだ」
「そうなの?うん。わかった。まぁボクは執事さんと策を練ってるよ」
子供達の件があったときに敵視していたように見えたのだが、大丈夫なのだろうか。
ふと執事を見たのだが、その心配は無用だったようだ。
その言葉に執事は返事をし頷いた。
「お任せください。セレス殿と模索しております」
「ありがとう。じゃぁすぐに戻るから」
そういうとシャリオンはゾルと部屋を出る。
気分が乗らないが遠回しで知られたら面倒になることは目に見えている。
☆☆☆
王都の城につくと、まずは執務室に向かった。
事前に訪問をすることを言っていたからかレオンはいてくれた。
そして、報告を終えると次は王太子の執務室に向かう。
ガリウスはついて行こうかと言ってくれたが、シャリオンは一人で行くことを伝えた。
訪問の前触れは出していないが、・・・忙しかったら手紙を渡してもらおう。
サーベル国で様子の可笑しかったルークは、次にあった時にはもう普通だった。
けれど、あれからシャリオンの目を見てはくれない。
こんなことは初めてでシャリオンも驚いているし、心のわだかまりになっているのだ。
扉をノックし、現れた使いの者に謁見を願った。
すると、待合室で腰を掛けた瞬間に扉が開かれて、そこにはルークがいた。
「ど、どうしたの」
髪が少し乱れているのは執務室からここまで走ってきたからなのだろうか。
「それはこっちのセリフだよ~」
そう言うと、シャリオンの前に掛けるルーク。
ちなみにゾルは今は側近と言うより従者の様に壁際に立っている。
「突然来ちゃってごめんね」
「ううん。大丈夫」
何故今日はこんなに緊張するのだろうか。
困った様にしながらもシャリオンはつづけた。
「今日はあの件で報告に来たんだ」
「・・・、あー・・・。わざわざごめん」
シャリオンは王都には滅多に来ない。
それで来た理由が分かったのだろう。
「帰ってきた捜索隊に話を聞いてみたら、・・・村も砦もなくなってた」
「え」
そういうとルークはピシリと固まるが、すぐに何かを考える様に椅子に深く座った。
シャリオンはセレスが魔力の移動が無いと言っていたことも併せて伝えると、少し驚いたようだったが一つの答えを出したのかこちらを見てくる。
「もともとあったあたりには入ってみた?」
「?・・・どうだろう聞いてないけど」
「セレスほどの魔術師が魔力の流れを感じなかったと言っているのが気になるね」
「・・・うん」
「存在してないんじゃなくて、存在しているんじゃないの」
「・・・、・・・」
そう言われてもシャリオンにはその言葉の意味が理解できなかった。
思わず固まるとルークが苦笑をする。
「たぶんもうセレスが答えを出しているだろうけれど、『姿を消した』の言葉の通り見えないだけでそこにあるんじゃないかな」
「え」
「だとしても何故そんなことをしたのか。第三者がしたのか。それをしたのか調べる必要があるね」
「うん。・・・ありがとう。ルー」
王族として魔術も嗜んでいるからなのだろう。
少し考えただけで出てきたそれにシャリオンは感心したように言った。
「そんなの。セレスも・・・ガリウスもきっと検討ついたんじゃないかな」
「僕も魔術の事避けてたら駄目だな・・・」
意図的に避けていたわけではないが、取り入れようともしていなかったツケがここに来て出来てしまった。
子供達のこともあるし、基礎知識くらいはつけておかねばならないと今になって焦燥感が出てくる。
「適材適所と言うのがあるからね。
それより・・・リオ。こないだはごめんね」
謝罪は先日の事だ。
そう言うと、シャリオンに視線を合わせてくれて、ホッとする。
「・・・、そう呼ばれたのは随分久しぶりだね」
ライガーが婚約者になり、ルークは遠慮してからなのかシャリオンと呼ぶようになった。
「そうかもね。まぁでも兄上もそう呼んでるし。俺も良いんじゃないかな」
「良いよ?別に」
「・・・。アンジェリーンにも困ったものだ」
「お土産くらい良いよ。ちょっと驚いたけれど」
「けど、・・・ハイシア家はアルカス家を支持していると思われてしまうかもしれないよ?」
「そこら辺は大丈夫。・・・あぁというかそうだ。城に来るんだったら持ってくるんだったな・・・。
あ。いや持てないかな」
「?そんな大きなものなの?」
「サーベル国の民族衣装が欲しいっていうんだ」
「・・・。・・・はぁ」
「まぁ滅多に行くこともないだろうから、良いんだけどね」
シャリオンは苦笑を浮かべる。
「そういうの断って良いよ?
『道中荷物になる』とでも言えばいいし、遊びで行っているんじゃない。
それに、アルカス家だったら自分で行けるほどの財力はあるだでしょ」
普段より厳しい物言いに少々驚く。
・・・と言う事は、もしこの2人が結婚したとなったら双方嫌い同士と言う事になるのか・・・
そんなことを思わず思ってしまう。
「とにかく、アンジェリーンのことは甘やかさなくていいから。
俺に聞いてみるとかそう言えばいい」
「本当に困ることを言われたらね」
シャリオンの返答にルークはつまらなそうに眉を顰めたが、諦めたのかため息をついた。
「あいつは昔からそう。リオに突っかかって・・・本当に」
「今度理由聞いてみようかな」
同じ公爵家としてライバル視されているのかと思っていたのだが。
しかし、ルークはそれに首を振った。
「止めて置いた方が良い。どうせ何も考えてないし、可笑しな我儘言うだけだよ。
大方崇高な貴族な血が流れているから合格とかそういう了見なんだ」
確かに以前のアンジェリーンなら言いそうなことである。
「でも最近変わったよね。あんなに変わるとは思わなかったな。それほど大した事じゃないと思うんだけど」
「・・・なにか言ったの~・・・?」
嫌いだと言った事は伏せて『王配になるのに足りない事』を聞かれたことを話した。
「・・・リオの言う事は聞くのかあの男は」
心底嫌そうな顔をするルーク。
「僕の言う事っていうか『王配』になるために必要だからだと思う。
でも、あそこまで態度が変わるとは思わなかったな」
「・・・本当にね」
アンジェリーンが目を惹かれるのは確かだ。
あの容姿もだが所作も美しく、よく他の貴族たちに噂されているのは聞く。
「・・・はぁ。そんなに王配になりたいなんてどんな裏があるんだか、考えるだけでも怖い」
「そこまで言ったら・・・可愛そうなんじゃない?
貴族として国民に何かしたいと思ったのかもしれないし」
「・・・、・・・、・・・リオは・・・一体どんなもの食べたらリオみたいになるの?」
「・・・え?僕みたいって・・・?」
「なんでもないよ。・・・わかった。
アンジェリーンが変わった原因も。
・・・それよりも村のことは気になるから引き続き報告が欲しい。
次はいつも通りガリウスで良いよ。
リオが来てくれてもいいけれど、あまり呼び出していると次期宰相様にめちゃくちゃ怒られる」
そう揶揄う様にいうルークにシャリオンはクスリと笑った。
「ガリィは言ったらちゃんと理解してくれるよ?」
「・・・いや、・・・いや。なんでもない」
何かを言いかけたのだが、ルークは苦笑してため息をついた。
それが不思議だったがシャリオンはそれ以上尋ねなかった。
☆☆☆
用も終わったし王都のガリウスとの屋敷に戻る前に、ガリウスとレオンに顔を出してからにしようと向かっているところだった。
最近よく合うようになったアンジェリーンが、まるで待ちかまえるかのように廊下に立っていた。
「ごきげんよう。アンジェリーン様」
「ごきげんよう。そして、おかえりなさい。シャリオン」
シャリオンに用事があったのだろうが、丁度良かった。お土産の話が出来る。
いや、そもそもアンジェリーンは催促に来たのかもしれない。
「ただいま戻りました。アンジェリーン様、お土産を買ってまいりましたが、お屋敷に贈らせていただいて宜しいでしょうか」
結局お土産は衣装を2着にした。
一つは従来通りのサーベル国のもの。
もう一つはジャスミンが張り切って作ったサーベル国の民族衣装を取り入れた特製の衣装だ。
「今日持っていらしたの?」
「いえ。ハイシアからお送りいたします」
「そう。ならそちらに伺うわ」
「え?」
「貴方の都合のいい日を教えて頂戴」
「あー・・・えっと」
そう言い濁したシャリオンにアンジェリーンは途端に呆れたような表情になった。
「・・・まさか、またトラブルに巻き込まれているのでは?」
「っ・・・はい」
隠していても仕方がない。
シャリオンが苦笑を浮かべながら言うと、小さくため息をついた。
「まぁ、約束通り無事に帰ってきたのだから良しとしましょう」
「ありがとう、ございます?」
疑問形で返したというのに、アンジェリーンはどこか嬉しそうに笑った。
「もう。貴方は。・・・私はまだ『王配』ではないのですよ?
それなのにこんな風に言われて何故抗議しないのかしら」
「・・・わかってされていたのですか」
「あら。ちゃんと感じていたのですか」
「っ・・・、・・・もしかして僕は、・・いえ。私は揶揄われていたのですか?」
「やっと気づいた」
そう言ってクスクスと楽しそうに笑うアンジェリーン。
その笑みは昔によく見た笑い方だ。
思わず本音が漏れてしまう。
「・・・酷いです」
「酷いのはシャリオンです。
こちらがどんなに崩して接してもいまだに口調も固いままで」
「・・・もしかして、・・・それで意地悪な態度だったのですか?」
「私は意地悪をしたつもりはありませんが」
本気でそう言っているらしく、意地が悪いのは地の様だ。
「まぁそうですね。貴方が口調を改めて下さるのであれば、考えて差し上げなくてもありません」
それはどういう願いなのだろうか。
「そもそも。私達は歳が近く、同じ公爵なのですよ?
むしろ貴方は次期公爵で上の立場なのに何故敬語なの」
「それは・・・。まぁでもアンジェリーン様が王配になられたら問題ないでしょう」
「あら。私を推して下さるのかしら」
「いえ。そう言う事もありません」
「随分はっきり言いますね」
アンジェリーンは可笑しそうに笑った。
今日は機嫌が良い様で本当によく笑う。
シャリオンにもそれが移り、口元に笑みを浮かべた。
「僕は優しいアンジェリーン様が良い」
「そう。なら、仕方がないね。貴方の為に優しく振舞ってあげましょうか」
上から目線な発言ではあるが、敬語が消えた口調はまだなんだかむず痒い。
話しをまとめると、ずっと気付かなかったが彼なりに仲良くしたいと思っていたという事らしい。
アンジェリーンの親の影響で、シャリオンも頑なに口調を崩さなかったところもあった。
本人はひたすら『アンジェ』と呼んで欲しがっていたのに、無視をしていたのだから。
かと言って今さら『アンジェ』とは呼べないが。
「それと今夜晩餐会があるの殿下から聞いているでしょう?」
「聞いてない・・・けど」
それだけじゃなくとも、シャリオンは帰って領のことを進めたいところだった。
しかし、この流れはお誘いがあるのだろう。
「それに、僕はガリィがいない夜会には出ないよ」
「残念ながら、その夜会は貴方の伴侶も出ます」
「え」
シャリオンの返事に何故か勝ち誇ったかのようなアンジェリーン。
「これで一緒に出ますね?」
「、・・・うん」
なんと用意周到なのだろうか。
シャリオンは思わず苦笑を浮かべながらも返事をする。
何でも、サーベル国から無事に帰ったことによるものなんだそうだ。
帰ってきて早々貴族たちはサーベル国の話を聞きたいらしい。
少しだけ親しくなったアンジェリーンは、宣言してくれたように言葉の棘は消えた。
それにホッとしたのもつかの間だった。
晩餐会は簡易的なもので数時間食事をしたらお開きと言うようなものだったのだが、・・・そこでまた思っても見ないことが起きてしまうのだった。
0
お気に入りに追加
1,135
あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる