辺境貴族の転生忍者は今日もひっそり暮らします。

空地大乃

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第四章 転生忍者魔法大会編

四-三話 転生忍者、仕方ないから見舞いに付き合う

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 結局俺たちはバーモンドと一緒にロイスの見舞いに行くことになった。

 全くあいつだって俺に会いたくないだろうに。大会は有耶無耶になったが勝負は俺の勝ちだった。それぐらいあいつだってわかっているだろう。

 その上、信じていた伯父は今は牢獄に入れられているしな。今のロイスはプライドも含めてズタボロな状態の筈だ。

「ふむ。ロイスというのは何か好色そうな男であったな」

 道々思い出したようにカグヤが言った。しかし中々手厳しいな。

「ウキィ~」

 エンコウがカグヤの肩の上に乗って甘えだした。正直ロイスのことなんてどうでもよさそうだ。

「ガウガウ」

 俺はマガミの毛をモフってやる。気持ちよさそうに目を細めていた。

「何してるのですか。早くいきますよ!」
「わかったわかった」

 バーモンドがしびれを切らしたように言った。仕方ないからバーモンドに付き合って治療院に入っていく。

 しかし正直言えば意外だな。バーモンドの奴がここまでロイスの事を心配してるとは。バーモンドは果物の入った籠も持ってきてる。見舞いの品なのだろう。マガミとエンコウが物欲しそうに見てるな。

「食べたいなら後で買ってあげるからここは我慢してくれ」
「ガウガウ♪」
「ウキィ♪」
「ジー――」

 いや、何故かわからないがマグもこっちを見てきてるな。肩の上のサラマンダーもだ。

「……後で一緒に行くか?」
「……行く」
「わ、私も付き合います!」

 マグの後でデトラも同行すると言ってきた。まぁ別に何人で行っても一緒だしな。

「む、むぅ。それならここから少しデトラちゃんにいやしかし、これはロイス様の為で……」
「何お前ブツブツ言ってるんだ?」

 バーモンドが籠を見ながら悩んでいた。何やら心のなかで葛藤があったようだ。

「で、デトラちゃんには拙が後で買ってあげるから!」
「え? いえ、そんな悪いですから」

 バーモンドが申し出るもデトラが遠慮した。肩を落としたバーモンドから哀愁が漂う。

「あの言い方じゃまるでデトラが要求したからみたいに思えるのじゃ。なっとらんのう」

 姫様がバーモンドに呆れた目を向ける。やっぱりカグヤは手厳しいな。
 さてロイスが入院してる部屋までやってきた。

「ロイス様調子はいかがですか! このラポム誰よりも早く駆けつけましたぞ!」

 バーモンドがそんなこと言いながら勢いよく部屋に入っていった。ラポムはバーモンドの下の名前だ。デックは普段から下の名前で呼んでいる。

「――何だ貴様らは」

 部屋に入るとロイスが俺たちに顔を向けて鼻白む。
 表情からして会いたくなかったという空気が漂う。

 う~ん頭とか腕とか所々包帯はしてるか。でも怪我は思ったより大したことなさそうだ。
 
 まぁ俺はついつい忍者基準で考えてしまうところがあるけどね。正直忍者の世界で言うと五体満足なら大体かすり傷程度の扱いだ。

「ラポムが見舞いに行くって言うから俺たちも付き合ったんだよ」
「ラポム? バーモンドの事か――」

 デックの発言に怪訝そうにしたけど直後思い出したようだ。

「ロイス様お体は大丈夫ですか?」
「貴様に心配される覚えはない」

 バーモンドが心配そうに聞くがそっぽを向いてロイスが答えた。いや、そんなツンっとした態度見せても可愛げはないぞ。

「……あいつ変わらず態度悪い」
「ウキィ~!」

 マグが無遠慮に言った。肩の上ではサラマンダーがロイスに向けて火を吐いていた。まぁ周囲の皆からは見えてないだろうが。
 
 精霊は特殊な存在らしくて一般的には不可視な存在らしいからな。

「のうマグの上にいる蜥蜴は誰も見えてないのかのう?」

 そんな俺にカグヤが耳打ちしてきた。おいおいカグヤには見えてたのかよ。

「見えてたのか……」
「やはりお主も見えておったか。視線でわかったぞ」

 そうだったのか。忍者としては失格だな。今後気をつけないと。しかしカグヤが見えるとは意外だ。

「ロイス様お見舞いに美味しい果物をお持ちしましたよ」

 見るとバーモンドが籠からりんごを取りナイフを片手に器用にむき出した。凄い速さで皮がむけていく。

 しかも皿の上にうさぎの形にして並べてしまった。何だこれ意外な特技過ぎだろう。

「バーモンドさん凄い」
「え? そ、そうかな? デヘヘ~」

 デトラが褒めるとバーモンドがデレデレした。確かにちょっと見直したがそれが全て台無しになる笑顔だ。鼻の下伸びまくってたし。

「さぁロイス様どうぞ」

 木製の更に切ったリンゴを並べて差し出した。ロイスの眉が中央に寄る。

「いらん。貴様の剥いた物などいるか」
「そ、そう言わず。このリンゴ瑞々しくて凄く美味しいのですよ」
「いらんといってるだろう!」

 バーモンドがリンゴの乗った皿を差し出すがロイスは突っぱねて手で払ってしまい、皿とリンゴが宙を待った。

「ウッキィ~♪」

 するとエンコウが空中で全てキャッチし美味しそうにシャリシャリと食べだした。

「――ウキ?」

 いやエンコウよ――
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