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第二章 サムジャともふもふ編
第37話 サムジャ、宝箱を見つける!
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「とりあえずこれでよしと」
死んだ冒険者のギルドカードを全て回収した。これを持っていき事情を話せばギルドカードから俺の言ったことが本当かどうかがわかるはずだ。
そう思えば、こいつらのやろうとしていたことには穴が多い気もするな。ギルドカードを調べられればわかることだろうし。
ただ、こいつらは前にも似たようなことをしていた可能性がある。それはバレなかったんだろうか?
なんとも気になるが、とりあえず障害は排除できた。
「あの、シノ。ありがとう助けてくれて」
「ん? あぁ、気にしなくていい。仲間なんだから」
「仲間……ふふっ、そうか。仲間かぁ」
「アンッ!」
ルンがパピィを持ち上げギュッと抱きしめた。ふむ、よほどパピィが気に入っているんだな。
「とりあえず使えそうなものは回収しておくかな」
放っておけばこの連中はダンジョンに食われて消える。だから取れるものは取っておこう。
死体を探るとポーションなどが出てきたのでそれを回収した。革袋の中には採取した素材が入っていたのでそれも影風呂敷にしまう。
さて、改めて探索を続けることとなる。二層に出てくる魔物もそこまで強くはない。俺とルンでも問題なく撃退できた。
「ワンワン!」
途中で分岐があり、パピィがこっちこっちとアピールしてきたので向かう。その先は行き止まりだったがなんと宝箱が一つ置いてあった。
「あ! あれが宝箱なのね!」
宝箱はダンジョンの醍醐味の一つだ。これがあるからダンジョン探索に専念するという冒険者も多い。
「グルゥ――」
そして宝箱近くでパピィが警戒心を強め唸り声を上げた。
「どうしたのかしら?」
「もしかして罠か?」
「ワン! ワン!」
やっぱりそうか。パピィは感覚が鋭いから罠にもすぐに気がつく。
「どうしよう? 私に解除はできないわ。シノは?」
「俺も細かい解除は無理だな」
これまで回避したトラップはあえて作動させたり、またスイッチを押すことで解除出来たりが殆どだった。しかしこういった直接仕掛けられた罠の解除にはそれなりのテクニックが必要だ。天職がシーフなどであれば直接の解除も可能だろうが忍者ではそこまで出来ない。
「ま、それでも問題はない。居合忍法・影分身」
俺は居合省略で自分の分身を生み出した。
「わ、凄い! シノが増えちゃった。幻影?」
「いや、実体のある分身だ。だからこそ役立つ」
そして分身が宝箱の蓋を開けようとすると、勝手に蓋が開き、バクッ! と分身を食べてしまった。もちろん分身はすぐに消える。
影分身は攻撃を受けたらすぐに消えるからだ。そして箱がカタカタと蓋を鳴らした。蓋の縁が牙のように変化している。
「あれはハングリーボックスだな」
「何か気持ち悪いわね」
「グルルルゥウウ!」
箱の中からはギョロリとした目玉がこちらに向いていた。舌がベロンっと伸びカタカタと箱が揺れだす。
初見だとちょっと不気味かも知れない。ルンが恐れるのもわからないでもない。パピィは身を低くして唸り声を上げている。
ハングリーボックスは宝箱が魔物化したものだ。宝箱だと思って下手に近づくとあの影みたいに食べられてしまう。
そして魔物は箱が跳ねるように移動を始めた。動きはそれほど軽快ではないが、跳ねる力は強い。
「火の刻印!」
ルンが刻印を刻む。そして杖を振ると火球がハングリーボックスに飛んでいった。
しかし、火球が食べられる。
「ハングリーボックは色々なものを食べてしまう。正面からの魔法や矢は基本通じないと思っていい」
「え、じゃあどうすれば?」
「正面以外から狙うという手もあるけど――動くな!」
叫び、腰だめになって構えを取る。
「円殺陣――」
スキルを発動した直後、ハングリーボックスが箱の中からナイフや斧をポイポイっと投げつけてきた。
これがハングリーボックスの使うスキルの一つ。範囲も広く避けにくいが。
――キンッキンッキンッ!
飛んできた武器は全て俺の斬撃で跳ね返された。
円殺陣、これは居合の構えを取り発動することで範囲内の相手を最速で切ることが可能となるスキルだ。対象には武器による攻撃も入る為、この手の攻撃なら跳ね返せる。
強力なスキルだが、発動中は一切その場から動けないのが欠点でもあるが守りは固くなる。攻撃がくるとわかっていれば有効なスキルだ。
さて、攻撃が途切れたな。それなら――
「居合忍法・抜刀落雷!」
忍法を行使。すると雷がハングリーボックスの頭から落ちた。正面からの攻撃を食えても頭上からなら不可能だ。ハングリーボックスは傾倒し動かなくなった。
「倒したようだな」
「す、すごいじゃないシノ! やっぱり強いわね貴方!」
「ワンワン!」
ルン達が喜び随分と持ち上げてくれたが、一応前前世や前世の記憶があるからな。そのおかげで敵の攻撃がわかったのも大きい。
「でもちょっと残念ね。お宝が手に入ると思ったのに」
「いや、それなら心配無用だ。この手の魔物なら倒した後で宝も回収できる」
そして俺は倒れた魔物を起こし、中を弄った。
「出てきた出てきた」
「わ! 凄い! 金貨や宝石!」
ルンが驚く。ハングリーボックスの中には金貨や銀貨、それにアメジストやサファイヤといった宝石が入っていた。
「後、杖もあったぞ」
「わ~いいの?」
「俺には使えないしな」
ルンは魔法系の天職だし杖は使えるだろう。今持ってる杖とどっちが性能が上かにもよるかもだが。
中に入っていた杖は水晶が埋め込まれているし、見た感じそれなりに効果はありそうに感じる。
「凄い、持ってみると魔力が増えたような気がするわ」
「そうか。役立ちそうで良かった」
杖は武器としてよりは付加価値が重要視される。中には杖から直接炎が吹き出たりする杖も有るが、ルンの言うように魔力が向上するような杖もある。
新しい杖が気に入ったようなので古い杖は俺が影風呂敷で預かることになった。
そしてその後は二層の魔物を倒しながら更に下へ下へと移動していく。探索は六層まで順調に進みいよいよ次は七層だ――
死んだ冒険者のギルドカードを全て回収した。これを持っていき事情を話せばギルドカードから俺の言ったことが本当かどうかがわかるはずだ。
そう思えば、こいつらのやろうとしていたことには穴が多い気もするな。ギルドカードを調べられればわかることだろうし。
ただ、こいつらは前にも似たようなことをしていた可能性がある。それはバレなかったんだろうか?
なんとも気になるが、とりあえず障害は排除できた。
「あの、シノ。ありがとう助けてくれて」
「ん? あぁ、気にしなくていい。仲間なんだから」
「仲間……ふふっ、そうか。仲間かぁ」
「アンッ!」
ルンがパピィを持ち上げギュッと抱きしめた。ふむ、よほどパピィが気に入っているんだな。
「とりあえず使えそうなものは回収しておくかな」
放っておけばこの連中はダンジョンに食われて消える。だから取れるものは取っておこう。
死体を探るとポーションなどが出てきたのでそれを回収した。革袋の中には採取した素材が入っていたのでそれも影風呂敷にしまう。
さて、改めて探索を続けることとなる。二層に出てくる魔物もそこまで強くはない。俺とルンでも問題なく撃退できた。
「ワンワン!」
途中で分岐があり、パピィがこっちこっちとアピールしてきたので向かう。その先は行き止まりだったがなんと宝箱が一つ置いてあった。
「あ! あれが宝箱なのね!」
宝箱はダンジョンの醍醐味の一つだ。これがあるからダンジョン探索に専念するという冒険者も多い。
「グルゥ――」
そして宝箱近くでパピィが警戒心を強め唸り声を上げた。
「どうしたのかしら?」
「もしかして罠か?」
「ワン! ワン!」
やっぱりそうか。パピィは感覚が鋭いから罠にもすぐに気がつく。
「どうしよう? 私に解除はできないわ。シノは?」
「俺も細かい解除は無理だな」
これまで回避したトラップはあえて作動させたり、またスイッチを押すことで解除出来たりが殆どだった。しかしこういった直接仕掛けられた罠の解除にはそれなりのテクニックが必要だ。天職がシーフなどであれば直接の解除も可能だろうが忍者ではそこまで出来ない。
「ま、それでも問題はない。居合忍法・影分身」
俺は居合省略で自分の分身を生み出した。
「わ、凄い! シノが増えちゃった。幻影?」
「いや、実体のある分身だ。だからこそ役立つ」
そして分身が宝箱の蓋を開けようとすると、勝手に蓋が開き、バクッ! と分身を食べてしまった。もちろん分身はすぐに消える。
影分身は攻撃を受けたらすぐに消えるからだ。そして箱がカタカタと蓋を鳴らした。蓋の縁が牙のように変化している。
「あれはハングリーボックスだな」
「何か気持ち悪いわね」
「グルルルゥウウ!」
箱の中からはギョロリとした目玉がこちらに向いていた。舌がベロンっと伸びカタカタと箱が揺れだす。
初見だとちょっと不気味かも知れない。ルンが恐れるのもわからないでもない。パピィは身を低くして唸り声を上げている。
ハングリーボックスは宝箱が魔物化したものだ。宝箱だと思って下手に近づくとあの影みたいに食べられてしまう。
そして魔物は箱が跳ねるように移動を始めた。動きはそれほど軽快ではないが、跳ねる力は強い。
「火の刻印!」
ルンが刻印を刻む。そして杖を振ると火球がハングリーボックスに飛んでいった。
しかし、火球が食べられる。
「ハングリーボックは色々なものを食べてしまう。正面からの魔法や矢は基本通じないと思っていい」
「え、じゃあどうすれば?」
「正面以外から狙うという手もあるけど――動くな!」
叫び、腰だめになって構えを取る。
「円殺陣――」
スキルを発動した直後、ハングリーボックスが箱の中からナイフや斧をポイポイっと投げつけてきた。
これがハングリーボックスの使うスキルの一つ。範囲も広く避けにくいが。
――キンッキンッキンッ!
飛んできた武器は全て俺の斬撃で跳ね返された。
円殺陣、これは居合の構えを取り発動することで範囲内の相手を最速で切ることが可能となるスキルだ。対象には武器による攻撃も入る為、この手の攻撃なら跳ね返せる。
強力なスキルだが、発動中は一切その場から動けないのが欠点でもあるが守りは固くなる。攻撃がくるとわかっていれば有効なスキルだ。
さて、攻撃が途切れたな。それなら――
「居合忍法・抜刀落雷!」
忍法を行使。すると雷がハングリーボックスの頭から落ちた。正面からの攻撃を食えても頭上からなら不可能だ。ハングリーボックスは傾倒し動かなくなった。
「倒したようだな」
「す、すごいじゃないシノ! やっぱり強いわね貴方!」
「ワンワン!」
ルン達が喜び随分と持ち上げてくれたが、一応前前世や前世の記憶があるからな。そのおかげで敵の攻撃がわかったのも大きい。
「でもちょっと残念ね。お宝が手に入ると思ったのに」
「いや、それなら心配無用だ。この手の魔物なら倒した後で宝も回収できる」
そして俺は倒れた魔物を起こし、中を弄った。
「出てきた出てきた」
「わ! 凄い! 金貨や宝石!」
ルンが驚く。ハングリーボックスの中には金貨や銀貨、それにアメジストやサファイヤといった宝石が入っていた。
「後、杖もあったぞ」
「わ~いいの?」
「俺には使えないしな」
ルンは魔法系の天職だし杖は使えるだろう。今持ってる杖とどっちが性能が上かにもよるかもだが。
中に入っていた杖は水晶が埋め込まれているし、見た感じそれなりに効果はありそうに感じる。
「凄い、持ってみると魔力が増えたような気がするわ」
「そうか。役立ちそうで良かった」
杖は武器としてよりは付加価値が重要視される。中には杖から直接炎が吹き出たりする杖も有るが、ルンの言うように魔力が向上するような杖もある。
新しい杖が気に入ったようなので古い杖は俺が影風呂敷で預かることになった。
そしてその後は二層の魔物を倒しながら更に下へ下へと移動していく。探索は六層まで順調に進みいよいよ次は七層だ――
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