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# 春
新生活⑧
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「じゃあ二人共、よろしくね」
そこからの今日の授業内容は、あまり頭に入らなかった。
まだ序盤だから、リフレクソロジストとしての心得とかマナーとかが大半で、話半分で聞いてしまっていた。
戸部君も課題の件で、チームに迷惑をかけると思っているのか、ぼんやりとした目でテキストを見つめている。
久しぶりの一日を通しての授業で、心を体も疲労困憊。
元気のないまま、駅まで歩いていると、後ろから入来ちゃんが追いかけて来てくれた。
「ナオちゃーん!」
「入来ちゃん」
ここまで走って追いかけてくれたのか、軽く息切れをしている。
「ナオちゃん、今日はごめんね。勝手に足貸すこと決めちゃって。私が毎回、戸部君に足を貸すから」
熱心な目で訴えかける入来ちゃんを見ていると、如何に自分が軽薄なのかを思い知った。
自分のことばかり考えて、面倒くさいって理由だけで断ろうなんて、そんな醜い性格だったのか私は。
入来ちゃんはチームのことを考えて、私は自分のことだけを考えて。
明白な人間力の差に、泣きそうになってしまった。
「ナオちゃん、大丈夫?」
曇った顔が、入来ちゃんにも伝わってしまう。
この失敗は、自らの行動でしか取り返せない。
飛び出そうとする涙をグッと堪えて、今日一番の笑顔を作り出す。
「全然大丈夫! 何言ってるの、私ももちろん協力するよ。みんなの施術を見た方が勉強になるしね」
そこからの今日の授業内容は、あまり頭に入らなかった。
まだ序盤だから、リフレクソロジストとしての心得とかマナーとかが大半で、話半分で聞いてしまっていた。
戸部君も課題の件で、チームに迷惑をかけると思っているのか、ぼんやりとした目でテキストを見つめている。
久しぶりの一日を通しての授業で、心を体も疲労困憊。
元気のないまま、駅まで歩いていると、後ろから入来ちゃんが追いかけて来てくれた。
「ナオちゃーん!」
「入来ちゃん」
ここまで走って追いかけてくれたのか、軽く息切れをしている。
「ナオちゃん、今日はごめんね。勝手に足貸すこと決めちゃって。私が毎回、戸部君に足を貸すから」
熱心な目で訴えかける入来ちゃんを見ていると、如何に自分が軽薄なのかを思い知った。
自分のことばかり考えて、面倒くさいって理由だけで断ろうなんて、そんな醜い性格だったのか私は。
入来ちゃんはチームのことを考えて、私は自分のことだけを考えて。
明白な人間力の差に、泣きそうになってしまった。
「ナオちゃん、大丈夫?」
曇った顔が、入来ちゃんにも伝わってしまう。
この失敗は、自らの行動でしか取り返せない。
飛び出そうとする涙をグッと堪えて、今日一番の笑顔を作り出す。
「全然大丈夫! 何言ってるの、私ももちろん協力するよ。みんなの施術を見た方が勉強になるしね」
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