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第6章 結婚編

戦利品

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「あっ、そういえば俺、ロナルドさんに王都でポーション類を買ってくるように言われてましたよね?」


 そう。
 俺は以前、グランツから王都に向かう際、ロナルドさんからポーション類を買ってくるように言われていた。
 それを、新たに作ってもらう宿屋の話がひと通り終わった時になって急に思い出したのだ。
 ロナルドさんは忘れてるのかもしれないが、俺もお金を渡されている以上言わなければならない。


「結構な金渡したんだから、まさか忘れましたとか言わねえよな?」

「大丈夫です...と言いたいところなんですが、買ったものではなくて、いただいたものなんですよね...」

「もらったポーションなんて品質が悪いんじゃないのか? 買って来たほうがまだマシだったとか言わないよな?」

「ひとまず現物を見てもらっていいですか?」


 俺はそう言いながら、アイテムボックスからポーション類をテーブルに置いた。


「どれどれ...んん?」

「?」


 そのポーションを手に取って眺めたロナルドさんが急に表情を変えただが、俺にはその理由が分からなかった。
 

「おい、シーマ!! このポーションはもらったと言ってたな?」

「はい、そうですね」

「誰からもらった?」

「イルマさんって人です」

「はあ?」


 何だろう?
 イルマさんが作ったものに間違いはないはずだけど。


「腕は確かだと思うんですけど...」

「そんな事ぐらい誰でも知ってるわ!! 俺が聞きたいのは、何でお前が『イルマさんから直接もらっている』のかなんだよ!!」

「ひょんな偶然から俺たち、王都にいる間はずっとイルマさんの店に泊まってたんですよ」

「...なにぃ?」

「それで、イルマさんの食事をずっと作ってたら餞別にポーションをくれた...みたいな感じですかね?」

「...どんな偶然があったら、元王家専属薬師の店に泊まることになるんだよ...」


 あれっ?
 ロナルドさんがほとほと呆れ返ってるぞ。
 やっぱりイルマさんってスゴい人なんだなー。
 ただの面白いおばあさんじゃないんだ笑


「それにしても、よくそれがイルマさんが作ったものだってよくわかりましたね?」

「長年ポーションを扱ってるからな、練度のある透明感を見れば普通じゃないのくらいわかるさ。でも、イルマさんのものだとは思わなかった。店で直接買おうにも数が限られてるし、ましてや、それをこんなにお前達が持ってくれるわけが無いと思ってたからな」

「結局のところ、俺はロナルドさんの依頼に応えられたんですか?」

「十分過ぎる結果だ。しかも、聞いた感じではイルマさん本人ともかなり仲良くなってるんだろ? その繋がりが気付けただけでもデカい。ただ、イルマさん作のポーションなんてもったいないから売らないけどな笑」

「それならそれで良かったです。ポーションだけでいうなら、セレナなんかイルマさんのお手伝いしてましたしスジもいいらしいので、後々商会の役に立てると思いますよ」

「ホントか?!」

「シーマ、あまり大袈裟に言わないでくれる? プレッシャーになるじゃないの」


 俺がちょっとハードルを上げてみたら、早速セレナからクレームが入った。
 セレナなら出来ると思うから言ったんだけどな...。


「セレナちゃん作のイルマさん直伝ポーションか...。それだけで高く売れそうだ笑」

「お義父さん、シェリルのためにもなるので出来る限り協力はしますけど、あまり期待しないで下さいね」

「も、もちろんだ...」


 あっ、無理だな。
 もう売る算段をつけてるっぽいわ...。




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