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第3章 冒険 -グランツ編-
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しおりを挟む翌朝、ルート商会の店でにんにくを受け取った俺たちだが、料理するところを探そうと思ったのだが、匂いのことを考えたところで止まってしまった。宿や店でにんにく臭を充満させるのも...ね。
思わぬことで料理が前へ進めなくなってしまったので、とりあえず今日も市場に行くことにした。
その途中で俺はあることに気付いた。
「なあ、シェリル? 商会で古くなった屋台とか持ってないかな?」
「うーん。どこかの倉庫にあるとは思うけど、どうするの?」
「屋台みたいなのがあれば、俺ならアイテムボックスに入れてどこでも料理が出来るから便利そうだなーって思ってさ」
「そうか、その手があったね! ちょっと戻って聞いてくるよ!」
そう言って店に戻ったシェリルだが、またすぐにこっちに来た。
「ちょうどいいのがあるって! 店の裏まで来て!」
店の裏の倉庫には確かに屋台があったが、どちかというと新しい部類だ。こんな良さげなものを使わしてもらって構わないのかなー。
店長らしき人がシェリルに声をかける。
「シェリルお嬢様、こちらをお使い下さい」
「ありがとう、助かるわ。ちょっと長い期間になるかもしれないけど借りるわね。必要なものを買い揃えた後で取り来るから外に出しておいてもらえるかしら?」
「承知致しました。すぐに外に出しておきます」
「お願いね」
さすがはシェリルだ。
別にこの場でアイテムボックスに収納出来るのだが、むやみにスキルを見せないために後で取りに来るとした。
でも、確かに必要なものはいっぱいある。
いつも料理する時は宿の備品を借りてただけに、はっきり言って今は何も持っていないのだ。
どうせなら買い揃えておきたい。
その前に、シェリルに聞きたいことがあったので、店を出てから聞いてみた。
「シェリル、あの屋台は何故買わないで借りることにしたんだ?」
「うーん。何となくだけど、後で返すことになりそうな気がしたんだよねー。だから、いくら身内とはいえ、返す可能性も含めておかないと後で面倒だからさ」
「なるほどな。そこまで考えてのか。まぁこの先は分からないけど、シェリルがいいならそれでいいよ。セレナはどうだ?」
「私はどこでもシーマ料理が食べられるなら何でもいい」
「ハハハッ! セレナらしいな」
「何よ! 悪いの?」
「いやいや、そんな事ない。料理を期待してもらえて嬉しいだけだよ」
この後、俺たちは道具や調味料、食材などを買い込んでから商会の店へ戻って、誰も見ていないことを確認してから屋台をそっと回収した。
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