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第四章
4-14★(了)
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ぱん、ぱんと。濡れた肌を打ち慣らす、不規則な音が寝台の上に絶え間なく鳴り響く。
「あっ、あっ……! あっ! はっ! んん……っ」
自ら尻を差し出すような四つん這いの姿勢になったリオの腹は、何回も吐き出した自分のもので濡れていて。倒れ込めば寝台を汚してしまうと解っていても、もう耐えられそうにない手足が震えた。
愛しい、恋しい相手との交わりとは、こんなにすごいのかという驚きが微かに残る他は。リオの頭の中は、すっかり快楽一色に染め上げられていた。この一晩でもう、今まで自分が嗜みとしての慰めで得た射精よりも多い回数、リオは絶頂していた。気持ちよくて、幸せで、体中が燃えるように熱くて。もう、何が何だか解らない。
(もう、何回……だめ、数え、られな)
美しい恋人の欲情の証を悦びながら食い締める尻穴からは、何度も奥に出された精液がリオの体液と混ざり合いながら溢れて脚を伝い、月明かりに光る淫らな筋を何本も描いている。
もう無理だとも思うのに、もっと欲しい気持ちを止められずに、リオは後背位からの性交に甘い声を上げて善がっていた。
気持ちよさそうな、いかにも従順なその嬌声に、熱い吐息をこぼしたアルトが動きを速める。そうすれば、リオの喘ぎ声もまた、速度を増した突き上げと全く同じ間隔になった。
「あっあっあっあっ、あっ!? ああっ……!」
奥の方を情熱的に突き上げられて、全身を電流のように走ったたまらない快楽に、がくがくと痙攣する。リオはついに四つん這いの高さを維持する気力をなくして、突っ張っていた両腕を力なく崩しながら寝台に倒れ込んだ。冷たいシーツに、火照った肌が擦れる感触すら気持ちがいい。
倒れ伏したリオを追いかけ、抜けかけた性器を奥まで押し込むように、アルトが汗に濡れた背に覆い被さった。四つん這いの姿勢から、ますます深まった粘膜での情熱的な交接に、涙目になったリオが小さく足をばたつかせてか弱い抵抗をする。
「待っ……まっ、て。いま、だめ。へ、変だ、から……」
「ええ、解ります。ああ、あなたの中がこんなにも震えて、熱く蕩けて。……私も、気持ちいいです」
「あ……っ!」
うつ伏せたまま不器用にもがいていたリオは、その色めいた吐息混じりの囁きに、また軽く絶頂して全身を細かく痙攣させた。色のついた精液を、とっくに吐き出せなくなったリオのペニスが股の間で震え、透き通る体液を何度も吐き出すのが解る。
朱色に染まったその細い体に覆い被さったアルトは、もがく腕ごと抱き締めてがっちりと固定すると、上から垂直に性器を突き入れた。最奥まで貫けば、その度に密着しながら肌に触れる、臀部の柔らかな感触が気持ちいい。甘い興奮に蕩けた息を吐き出すアルトの下敷きにされながら、自分の中の快楽の許容をとうに超えているリオはぼろぼろと涙をこぼして首を打ち振った。
「あっ、あああぁっ!! だめ、むりっ! またっ、また、イっ、あ……ああぁ……っ!!」
今夜、拓かれたばかりとは思えないほどに蕩けたリオの内側は、自ら滲ませた体液と、アルトが注いでしまった精液でぐちゃぐちゃに濡れてぬかるんでいる。
無意識にでも雄を歓待するその柔らかな粘膜に感動しながら、がくがくと痙攣する身体を掻き抱いたアルトが更に激しく腰を振れば、リオはシーツに埋めた顔を打ち振って悲鳴を上げた。
「あっ、ああっ!? きもち、きもちい……! だめ、も、動かない、れ……っ!」
こんなのおかしいと、すすり泣くリオを安心させるように。腰の動きを緩やかにしながら、アルトはその舌をリオの耳に差し入れて舐めしゃぶった。華奢な体に絡みつかせた指を淫らに動かし、汗に濡れた肌やぷくりと膨れた乳首に愛撫を加えれば、ますます気持ちよさそうにリオが腰をくねらせる。
「あっ、あうっ! だ、だめ……きもちぃ……」
とけちゃう、と。譫言のように呟かれた可愛い声に、アルトはくすくすと笑いながら耳を食む。それだけの行為で全身を震わせるリオはすっかり乱れていて、魅惑が効きやすい体質と言うのは本当らしい、と。その媚態にあてられながら、アルトは物思った。
(本当に、私が最初の相手で、よかった)
こんなに可愛らしい姿を見てしまっては、誰だって彼を手放せなくなってしまうだろう。
この上は、厳重に蕩けさせて、自分に夢中にさせて。彼自身の意思で、アルトから離れられないようにしておかなくては。
元より、魔法使いと人間の、種族としての違いがそう思わせるのか。アルトの身の内には、独占欲と庇護欲、そして征服欲が燃えていた。もっと泣かせて喘がせて、自分のことだけで彼の中をいっぱいに埋め尽くしてしまいたくてたまらなくなる。
「あ、あっ!? あ~っ! んん……っ! あぅ、あ……っ!!」
もはやまともな言葉もなく善がっているリオの身体をしっかりと抱き締めると、アルトはもう一段階、さらに腰の動きを速めて情熱的に打ち付けた。上半身はリオにのしかかって一切動かさず、腰だけを何度も真上から振り下ろす。
パンパンパンッとけたたましい音が鳴り、リオの口からは、媚びを含んだ悲鳴と唾液が止めどなく溢れた。
リオはリオで、彼の独占欲を感じさせるこの体位に興奮し切っていて、誰にも渡さないとばかりに絡みつく腕の力強さだけで絶頂してしまいそうだった。内側で膨れ上がった灼熱の肉杭が、ぶるりと大きく震えるのを粘膜に感じて、リオはいやいやと頭を打ち振った。
「ひ、っン! だめっ、だめっ……い、いま、いまは。本当に、おかしくなっちゃうから……っ」
「リオ、リオ。駄目ですよ、逃がさない。一番奥で、私を覚えてくださいね……!」
ひんひんと泣いて善がるリオに加虐心まで煽られたアルトは、抜け落ちるぎりぎりまで引き抜いたペニスを、柔い尻肉がめり込むほど奥に捻じ込んで押し付ける。
ぐりゅっ、と。最奥にある窄まりをこじ開けられて、その衝撃で達したリオは、もう何も出さずに絶頂していた。アルトのものを抱き締めるようにきゅうと締め付け、がくがくと痙攣するリオの中へ、そのまま精を放つ。互いの下腹に、熱く煮え滾った快楽が渦巻いた。
「あーっ!! あぁっ! あぁあ……っ!!」
「リオ……」
アルトは、快楽に泣き叫ぶ恋人を宥めるようにその後頭部にキスしながら、奥の奥へと精液を流し込んだ。
腰を密着させたまま、最後の一滴まで注ぐように押し込めば、それだけの動きも刺激になるのか甘く喘ぐ声がこぼれる。両足をピンと力ませながら、全身を震わせて頂点を極めたリオは、恋しい相手の熱い種を柔らかな粘膜で受け止める悦びに酔い痴れていた。
濡れた瞳からぼろぼろと涙を落として、すっかり感じ入った様子のリオの身体が弛緩する。ぐったりとしたその身体の半身を起こし、少しでも楽になるように横向きにして。アルトが背後から改めて抱き締めれば、肌に触れた指の感触だけで気持ちよくなってしまったらしいリオの内側が、長い射精を終えてもまだ元気そうな恋人の性器に愛しげに絡みついた。
その健気な抱擁が嬉しくて、可愛くて、堪らない。アルトがこぼした熱い吐息と、身体の深い場所を征服する固いままの性器に、蕩けた喘ぎを漏らしたリオが切れ切れに問い掛けた。
「ま、まだ。する……?」
「……すみません。あまり無理をすれば、お辛いだろうとは知りながら……止まれない」
もっと、あなたを抱きたい、と。色気に満ちた声で囁くと、アルトは乱れたリオの髪を掻き分けて、露わになった首筋に懇願を滲ませた熱い口づけを落とした。
美しい恋人から明け透けな欲望を向けられる、その背徳的な官能にぞくぞくと背筋を震わせたリオは、体内に受け入れたままの彼の一部を食い締めて一人で悦くなってしまう。これでは会話もままならないと、一度それを抜こうとすれば。逆に強く抱き寄せられ、奥を不意に抉られてあられもない声が出た。
「ああっ……! ん、あ、アルト、く……」
「愛しています、リオ。……まだ、離れたくない」
ぐり、と。熱を持ったままの体内を掻き混ぜられれば、たったの一晩で、もう十分すぎるほどに性交の快楽を教え込まれた身体がびくびくと跳ね回る。リオの拒絶を許してくれない、優しくも欲深いアルトのその強引な態度に、ますます気持ちよくなってしまうのを耐えて。リオは思うように動かない身体をねじり、リオを見つめるその瞳を見つめ返した。
夜にも眩い宝石の瞳に、金色の輝きがなくても。好きで好きで堪らないと思えることに幸福を感じながら、僕も、と。喘ぎ過ぎて掠れた声で、リオは優しく囁いた。
「大好きだから、もっとして、いいよ……」
「……リオ」
でも、正面からがいいな、と。そんな可愛らしいことを口にして微笑むリオの姿に胸をときめかせたアルトは、返事の代わりに唇を重ねる。そしてそのまま、つながり合ったままで彼の身体を表返し、望みの通りの仰向けにして寝台に沈めた。
いい場所を抉ってしまったのか、口付けの狭間に上がった悲鳴ごと唇を貪り、再び情熱的に彼の腹の奥を穿っていく。
アルトは欲情のままに激しく腰を打ち付けながら、優しく頭を撫でたり、触れるだけのキスをしたりと、リオを労わりながらの行為に没頭した。甘い蜜を満たした内側を掻き混ぜるようにして味わえば、泣きの混じった嬌声が上がる。快楽に泣き濡れた青い瞳が縋るようにアルトを見つめ、首の後ろに情愛を満たした腕が絡んだ。
「アルト、くんっ、あっ! あう、あっ……!」
「リオ……!」
競うように名を呼び合い、手足を絡ませ、口付けながら。――こんな風に愛し合い、求め合える相手を得られるなんて、思ってもみなかったかつての自分を。二人はそれぞれに思い返した。
熱に潤んだ互いの瞳の中に、確かに自分を愛してくれる、一途に優しい美しい色を見て。愛しい相手と、心まで一つになるような官能を享受しながら。二人は同じ瞬間に、同じ想いを抱いて、互いの呼吸を奪い合うような交合に酔い痴れた。
「あっ、あっ……! あっ! はっ! んん……っ」
自ら尻を差し出すような四つん這いの姿勢になったリオの腹は、何回も吐き出した自分のもので濡れていて。倒れ込めば寝台を汚してしまうと解っていても、もう耐えられそうにない手足が震えた。
愛しい、恋しい相手との交わりとは、こんなにすごいのかという驚きが微かに残る他は。リオの頭の中は、すっかり快楽一色に染め上げられていた。この一晩でもう、今まで自分が嗜みとしての慰めで得た射精よりも多い回数、リオは絶頂していた。気持ちよくて、幸せで、体中が燃えるように熱くて。もう、何が何だか解らない。
(もう、何回……だめ、数え、られな)
美しい恋人の欲情の証を悦びながら食い締める尻穴からは、何度も奥に出された精液がリオの体液と混ざり合いながら溢れて脚を伝い、月明かりに光る淫らな筋を何本も描いている。
もう無理だとも思うのに、もっと欲しい気持ちを止められずに、リオは後背位からの性交に甘い声を上げて善がっていた。
気持ちよさそうな、いかにも従順なその嬌声に、熱い吐息をこぼしたアルトが動きを速める。そうすれば、リオの喘ぎ声もまた、速度を増した突き上げと全く同じ間隔になった。
「あっあっあっあっ、あっ!? ああっ……!」
奥の方を情熱的に突き上げられて、全身を電流のように走ったたまらない快楽に、がくがくと痙攣する。リオはついに四つん這いの高さを維持する気力をなくして、突っ張っていた両腕を力なく崩しながら寝台に倒れ込んだ。冷たいシーツに、火照った肌が擦れる感触すら気持ちがいい。
倒れ伏したリオを追いかけ、抜けかけた性器を奥まで押し込むように、アルトが汗に濡れた背に覆い被さった。四つん這いの姿勢から、ますます深まった粘膜での情熱的な交接に、涙目になったリオが小さく足をばたつかせてか弱い抵抗をする。
「待っ……まっ、て。いま、だめ。へ、変だ、から……」
「ええ、解ります。ああ、あなたの中がこんなにも震えて、熱く蕩けて。……私も、気持ちいいです」
「あ……っ!」
うつ伏せたまま不器用にもがいていたリオは、その色めいた吐息混じりの囁きに、また軽く絶頂して全身を細かく痙攣させた。色のついた精液を、とっくに吐き出せなくなったリオのペニスが股の間で震え、透き通る体液を何度も吐き出すのが解る。
朱色に染まったその細い体に覆い被さったアルトは、もがく腕ごと抱き締めてがっちりと固定すると、上から垂直に性器を突き入れた。最奥まで貫けば、その度に密着しながら肌に触れる、臀部の柔らかな感触が気持ちいい。甘い興奮に蕩けた息を吐き出すアルトの下敷きにされながら、自分の中の快楽の許容をとうに超えているリオはぼろぼろと涙をこぼして首を打ち振った。
「あっ、あああぁっ!! だめ、むりっ! またっ、また、イっ、あ……ああぁ……っ!!」
今夜、拓かれたばかりとは思えないほどに蕩けたリオの内側は、自ら滲ませた体液と、アルトが注いでしまった精液でぐちゃぐちゃに濡れてぬかるんでいる。
無意識にでも雄を歓待するその柔らかな粘膜に感動しながら、がくがくと痙攣する身体を掻き抱いたアルトが更に激しく腰を振れば、リオはシーツに埋めた顔を打ち振って悲鳴を上げた。
「あっ、ああっ!? きもち、きもちい……! だめ、も、動かない、れ……っ!」
こんなのおかしいと、すすり泣くリオを安心させるように。腰の動きを緩やかにしながら、アルトはその舌をリオの耳に差し入れて舐めしゃぶった。華奢な体に絡みつかせた指を淫らに動かし、汗に濡れた肌やぷくりと膨れた乳首に愛撫を加えれば、ますます気持ちよさそうにリオが腰をくねらせる。
「あっ、あうっ! だ、だめ……きもちぃ……」
とけちゃう、と。譫言のように呟かれた可愛い声に、アルトはくすくすと笑いながら耳を食む。それだけの行為で全身を震わせるリオはすっかり乱れていて、魅惑が効きやすい体質と言うのは本当らしい、と。その媚態にあてられながら、アルトは物思った。
(本当に、私が最初の相手で、よかった)
こんなに可愛らしい姿を見てしまっては、誰だって彼を手放せなくなってしまうだろう。
この上は、厳重に蕩けさせて、自分に夢中にさせて。彼自身の意思で、アルトから離れられないようにしておかなくては。
元より、魔法使いと人間の、種族としての違いがそう思わせるのか。アルトの身の内には、独占欲と庇護欲、そして征服欲が燃えていた。もっと泣かせて喘がせて、自分のことだけで彼の中をいっぱいに埋め尽くしてしまいたくてたまらなくなる。
「あ、あっ!? あ~っ! んん……っ! あぅ、あ……っ!!」
もはやまともな言葉もなく善がっているリオの身体をしっかりと抱き締めると、アルトはもう一段階、さらに腰の動きを速めて情熱的に打ち付けた。上半身はリオにのしかかって一切動かさず、腰だけを何度も真上から振り下ろす。
パンパンパンッとけたたましい音が鳴り、リオの口からは、媚びを含んだ悲鳴と唾液が止めどなく溢れた。
リオはリオで、彼の独占欲を感じさせるこの体位に興奮し切っていて、誰にも渡さないとばかりに絡みつく腕の力強さだけで絶頂してしまいそうだった。内側で膨れ上がった灼熱の肉杭が、ぶるりと大きく震えるのを粘膜に感じて、リオはいやいやと頭を打ち振った。
「ひ、っン! だめっ、だめっ……い、いま、いまは。本当に、おかしくなっちゃうから……っ」
「リオ、リオ。駄目ですよ、逃がさない。一番奥で、私を覚えてくださいね……!」
ひんひんと泣いて善がるリオに加虐心まで煽られたアルトは、抜け落ちるぎりぎりまで引き抜いたペニスを、柔い尻肉がめり込むほど奥に捻じ込んで押し付ける。
ぐりゅっ、と。最奥にある窄まりをこじ開けられて、その衝撃で達したリオは、もう何も出さずに絶頂していた。アルトのものを抱き締めるようにきゅうと締め付け、がくがくと痙攣するリオの中へ、そのまま精を放つ。互いの下腹に、熱く煮え滾った快楽が渦巻いた。
「あーっ!! あぁっ! あぁあ……っ!!」
「リオ……」
アルトは、快楽に泣き叫ぶ恋人を宥めるようにその後頭部にキスしながら、奥の奥へと精液を流し込んだ。
腰を密着させたまま、最後の一滴まで注ぐように押し込めば、それだけの動きも刺激になるのか甘く喘ぐ声がこぼれる。両足をピンと力ませながら、全身を震わせて頂点を極めたリオは、恋しい相手の熱い種を柔らかな粘膜で受け止める悦びに酔い痴れていた。
濡れた瞳からぼろぼろと涙を落として、すっかり感じ入った様子のリオの身体が弛緩する。ぐったりとしたその身体の半身を起こし、少しでも楽になるように横向きにして。アルトが背後から改めて抱き締めれば、肌に触れた指の感触だけで気持ちよくなってしまったらしいリオの内側が、長い射精を終えてもまだ元気そうな恋人の性器に愛しげに絡みついた。
その健気な抱擁が嬉しくて、可愛くて、堪らない。アルトがこぼした熱い吐息と、身体の深い場所を征服する固いままの性器に、蕩けた喘ぎを漏らしたリオが切れ切れに問い掛けた。
「ま、まだ。する……?」
「……すみません。あまり無理をすれば、お辛いだろうとは知りながら……止まれない」
もっと、あなたを抱きたい、と。色気に満ちた声で囁くと、アルトは乱れたリオの髪を掻き分けて、露わになった首筋に懇願を滲ませた熱い口づけを落とした。
美しい恋人から明け透けな欲望を向けられる、その背徳的な官能にぞくぞくと背筋を震わせたリオは、体内に受け入れたままの彼の一部を食い締めて一人で悦くなってしまう。これでは会話もままならないと、一度それを抜こうとすれば。逆に強く抱き寄せられ、奥を不意に抉られてあられもない声が出た。
「ああっ……! ん、あ、アルト、く……」
「愛しています、リオ。……まだ、離れたくない」
ぐり、と。熱を持ったままの体内を掻き混ぜられれば、たったの一晩で、もう十分すぎるほどに性交の快楽を教え込まれた身体がびくびくと跳ね回る。リオの拒絶を許してくれない、優しくも欲深いアルトのその強引な態度に、ますます気持ちよくなってしまうのを耐えて。リオは思うように動かない身体をねじり、リオを見つめるその瞳を見つめ返した。
夜にも眩い宝石の瞳に、金色の輝きがなくても。好きで好きで堪らないと思えることに幸福を感じながら、僕も、と。喘ぎ過ぎて掠れた声で、リオは優しく囁いた。
「大好きだから、もっとして、いいよ……」
「……リオ」
でも、正面からがいいな、と。そんな可愛らしいことを口にして微笑むリオの姿に胸をときめかせたアルトは、返事の代わりに唇を重ねる。そしてそのまま、つながり合ったままで彼の身体を表返し、望みの通りの仰向けにして寝台に沈めた。
いい場所を抉ってしまったのか、口付けの狭間に上がった悲鳴ごと唇を貪り、再び情熱的に彼の腹の奥を穿っていく。
アルトは欲情のままに激しく腰を打ち付けながら、優しく頭を撫でたり、触れるだけのキスをしたりと、リオを労わりながらの行為に没頭した。甘い蜜を満たした内側を掻き混ぜるようにして味わえば、泣きの混じった嬌声が上がる。快楽に泣き濡れた青い瞳が縋るようにアルトを見つめ、首の後ろに情愛を満たした腕が絡んだ。
「アルト、くんっ、あっ! あう、あっ……!」
「リオ……!」
競うように名を呼び合い、手足を絡ませ、口付けながら。――こんな風に愛し合い、求め合える相手を得られるなんて、思ってもみなかったかつての自分を。二人はそれぞれに思い返した。
熱に潤んだ互いの瞳の中に、確かに自分を愛してくれる、一途に優しい美しい色を見て。愛しい相手と、心まで一つになるような官能を享受しながら。二人は同じ瞬間に、同じ想いを抱いて、互いの呼吸を奪い合うような交合に酔い痴れた。
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