54 / 100
第四章
4-9☆
しおりを挟む
突然の訪問には動揺しつつも、リオの側に彼を拒む理由はない。リオは快く招き入れ、余計なことを思い出して真っ赤になったりする前にと、急いで部屋の明かりを灯した。
相変わらず椅子の用意がないので、また寝台に座ってもらいながら、リオは近々ファランディーヌに椅子をねだることを心に決めた。彼と毎回この距離を保つのは、色々と心臓に悪すぎる。
アルトは今日も白い衣服を纏っているが、当然踊り子の衣装ではない。美しく凛々しい彼によく似合う、気品溢れるその一式は、彼が確かに高貴の生まれであることを言外にも示していた。
「アルト、くん」
「はい」
彼を何と呼んだものか惑った末に、結局これまでと同じように呼びかける。柔らかな笑顔を見せればますます美しいその顔は、確かに女王陛下とよく似ている。
そう、改めて思ったところで。己の罪を思い出したリオは、ごめんなさい、と。声を漏らして青褪めた。
「どうなさいましたか」
「僕、エヴァ様が。アルトくんに危ないことをしないで欲しいって言っていたのを、聞いていたのに」
引き留めることをしなかったから、と。項垂れるリオを驚いたように見つめ、そして笑ったアルトは、優しい声音でリオを慰めた。
「母はもう、私が無理を通したと理解していますよ。……すでに、こっぴどく叱られましたから」
「……怒られちゃったの?」
あんなに優しそうで可愛らしく、我が子への愛に満ち溢れていた彼女が。彼をこっぴどく叱る場面と言うものが想像できずに首を傾げるリオに、アルトは苦笑を向ける。
「怒りに任せて、無謀に走り、あなたの名も汚してしまった。……痛罵されてしかるべきです」
そんな、と。リオは慌てて手を伸ばす。確かに今は、表を堂々とは歩けない身の上だけれど。それはアルトのせいではないし、他の誰のせいでもない。
公爵を油断させて欲しい、と。その願いを飛び越えて、婚約詐欺紛いのことまでしてしまったのは、全てリオの独断だった。
(しかも、最後までできなかったし……)
中途半端すぎて情けない。結局自分は彼のために何ができたのだろうかと自問しても、はっきりこれだと自信をもって答えられる解はなかった。
だがアルトだけは、そうは思っていないらしい。心からリオに感謝していると解る瞳で、一途に美しく微笑んだ。
「私怨からの私刑に手を染め、己が正当性を自ら放棄することなく踏み留まれたのは、全て。……あなたのお優しいお心に、触れることが出来たおかげです」
ありがとうございます、と。そんな風に言われてしまっては、否定する方が彼に対して失礼であるように思えてしまう。リオは嬉しさと恥ずかしさ半々の気持ちで、せめてふるふると控えめにかぶりを振った。みっともなく真っ赤になってしまいそうで、彼の顔もまともに見つめ返せない。
そんなリオの様子を見て、宝石のような眼差しの色をふっと和らげると。アルトはおもむろに立ち上がり、リオの前に跪いた。
戸惑うリオの両手を、そっと握り締める。
「残る心残りは、私が穢してしまったあなたの名誉だけ。……どうか、この私に。責任を取らせてはくださいませんか」
「……っ! それ、は」
びくりと肩を震わせて、リオは息を呑む。その言葉の意を酌めないほど鈍感にもなれなかったリオは、それでも簡単に頷くことはできず、動揺しながら目を逸らした。
彼の申し出を、断らなければいけない理由だらけに思えるリオは言葉に詰まったものの。――選びたい答えは、一つだけであることにも同時に気付いてしまって、羞恥に頬を赤らめる。
恥じ入るリオを鮮やかな薔薇色の瞳で見つめ、幸福そうに微笑んだアルトの白い指が、リオの頬に伸ばされる。
違う男に触れられた時は、あれほどまでに、恐怖しか感じなかったというのに。今は胸の内に満ちて溢れる甘い情動に、身体の熱が上がってしまう。
「……卑怯な言い回しを選びました。責任を、というのは。ただの口実です。……あなたの名誉を穢しておきながら、それをどこかで喜んだ。卑劣な私をお許しいただけるならば、どうか」
是のお返事を、と。中腰になった彼に、吐息がかかるほどの距離でそんなことを言われて、平静でいられるものなどいないだろう。リオは顔を真っ赤にして、あわわと口を開閉させた。
「あ、あの、待って」
「はい」
いくらでも、と。心よく微笑むアルトは、しかしその実、イエスと言うまで離さないとばかりにリオの手を握り締めている。
白く美しい手のひらは、それでも彼が立派な男性であることを示して、男らしく骨ばっている。リオの力では決して振り解けないくらいの力が込められたその手は熱く、彼の決意と熱意を示しているようで、その熱に抗える気がちっともしないリオは、それでもどうにか、震えながら口を開いた。
「僕は、今。悪評が、すごいみたいだし」
「私のために穢してくれたその名を、どうして私が厭うことが出来るでしょう」
「それに、まだ。その、結婚とか、突然過ぎて……エヴァ様たちも、ファランディーヌも、びっくりするだろうし」
「もちろん、急ぐつもりはありません。今は正式な婚約だけでも」
一つ一つ、丁寧に。リオの手を握り締め、情熱的な炎の色の瞳で見つめながら、アルトは否の理由を潰していく。
リオの瞳を真っ直ぐに見つめ、言い聞かせるように囁く彼があまりに美しくて、リオの眼前は諸々の感情でチカチカした。
「ぼっ、僕。男なんだけど……」
「……あなたは、私が男であることが、私への好意の妨げになりますか?」
そんな聞き方をされては、なりません、と。正直に答えるしかない。リオは、ますます追い詰められた気分で頬を上気させた。
リオは彼のことが、確かに、間違いなく、好きだった。リオを見つめて、リオのために微笑んで、リオのことだけを一番に愛してくれる、彼のことが。
「……っ、でも、アルトくんにはきっと、もっと相応しい人がいて」
「リオ」
不意に。リオの言葉を遮り、彼は真剣な表情で名を呼んだ。思わず言葉を途中で呑み込めば、アルトは少し困ったように微笑みながら、そっとリオの髪に触れる。
「私の気のせいでなければ、あなたの拒絶の言葉は全て、私を慮ってのことに聞こえます」
「それは……」
図星の指摘に口ごもるリオを真っ直ぐに見つめて、アルトは優しく首を横に振った。
美しい、炎の色の宝石の瞳。リオを一途に見つめてくれるその瞳から目を離せずにいれば、ふっと柔らかく細められる。リオの心臓がどきりと跳ね上がった。
「私は自分の意志で、あなたを選びました。だから、あなたが私を憎からず思ってくださるなら、どうか私を選んでください。……私は、私の心に誓ってあなたを愛しています。リオ」
「……っ」
蕩けるような甘い声で、ストレートな愛を囁かれて、リオは喉の奥に呼吸を詰まらせた。身体中を巡る血流の音だけが耳に響いて、頭がくらくらする。
その言葉を――受け入れてしまいたい、と。一度でも思ってしまえば、もうダメだった。頬に真っ赤に血の気を差して、髪先から爪先まで、とろとろと液体になってしまいそうな心地になったリオを見て、アルトもリオの答えを知ったのだろう。髪に触れていた手が、頬に触れ、顎を捕らえ――唇が、重なった。
「ん、む。んう、待っ、あ……っ」
「駄目です。……逃げないで」
恥ずかしさに思わず身を引いたリオを追いかけて、アルトが寝台に膝を乗り上げる。そのまま抱きすくめられ、背中と首裏を力強く押さえられてしまえば、リオに抗う術はない。
ぎしりとベッドを軋ませながら、全身を抑え込むように深く貪られる。息継ぎの合間に零れる吐息さえも飲み込むようなキスを交わした後、ようやく解放されたリオの顔は、すっかり紅潮していた。
「っ、アルト、くん……」
「リオ」
荒い息を整えながら、潤んだ瞳でアルトを見上げれば。彼は、ぞくりとするほど妖艶な笑みを浮かべてリオの髪を撫でた。
その手つきは、いつもと変わらずに優しいのに。どうしてか、リオは背筋が震えてしまう。まるで肉食獣の前に差し出された獲物のような気分だ。それでも、その震えを、どうしても嫌なものだとは思えなくて。リオは大人しく首を差し出す草食獣の気持ちで、彼の腕の中に身を預けた。
「……あの夜に願った、続きを。今、お許しいただいても?」
耳元で甘く囁かれ、リオはびくりと肩を跳ね上げる。
続き、続きとは、つまり。アルトの腕の中で、ドキドキと煩い心音に耳を傾けながら。リオが何も答えられずに身体を強張らせていると、いきなり脇腹をくすぐられた。
「ひゃっ?」
慌てて彼の手を掴まえようとすればあっさりと躱されて、逆に両手の指を絡め取られてしまう。そのまま仰向けに押し倒されて、為すすべなく転がった身体をシーツの上に縫い止められる。
「ふふ。アルトくん、いきなり……」
どうしたの? と。無邪気に笑おうとしたリオは、彼の稀なる美貌の中に滲んだ、隠しようもない情欲の炎を見咎めて。ごくり、と。唾を飲み込んだ。
「……リオ」
低く掠れた声が、懇願を滲ませながらリオに迫る。鼻先が触れ合う距離で、情愛を込めた眼差しに熱っぽく見つめられてしまえば、リオにはもう抗う術がなかった。
どうか、と。吐息を吹き込まれた耳が真っ赤に紅潮し、背筋が震える。リオは熱い息を浅く吐き出すと――灯りを、消してくれるのなら、と。精一杯回りくどい、是の返答を口にした。
相変わらず椅子の用意がないので、また寝台に座ってもらいながら、リオは近々ファランディーヌに椅子をねだることを心に決めた。彼と毎回この距離を保つのは、色々と心臓に悪すぎる。
アルトは今日も白い衣服を纏っているが、当然踊り子の衣装ではない。美しく凛々しい彼によく似合う、気品溢れるその一式は、彼が確かに高貴の生まれであることを言外にも示していた。
「アルト、くん」
「はい」
彼を何と呼んだものか惑った末に、結局これまでと同じように呼びかける。柔らかな笑顔を見せればますます美しいその顔は、確かに女王陛下とよく似ている。
そう、改めて思ったところで。己の罪を思い出したリオは、ごめんなさい、と。声を漏らして青褪めた。
「どうなさいましたか」
「僕、エヴァ様が。アルトくんに危ないことをしないで欲しいって言っていたのを、聞いていたのに」
引き留めることをしなかったから、と。項垂れるリオを驚いたように見つめ、そして笑ったアルトは、優しい声音でリオを慰めた。
「母はもう、私が無理を通したと理解していますよ。……すでに、こっぴどく叱られましたから」
「……怒られちゃったの?」
あんなに優しそうで可愛らしく、我が子への愛に満ち溢れていた彼女が。彼をこっぴどく叱る場面と言うものが想像できずに首を傾げるリオに、アルトは苦笑を向ける。
「怒りに任せて、無謀に走り、あなたの名も汚してしまった。……痛罵されてしかるべきです」
そんな、と。リオは慌てて手を伸ばす。確かに今は、表を堂々とは歩けない身の上だけれど。それはアルトのせいではないし、他の誰のせいでもない。
公爵を油断させて欲しい、と。その願いを飛び越えて、婚約詐欺紛いのことまでしてしまったのは、全てリオの独断だった。
(しかも、最後までできなかったし……)
中途半端すぎて情けない。結局自分は彼のために何ができたのだろうかと自問しても、はっきりこれだと自信をもって答えられる解はなかった。
だがアルトだけは、そうは思っていないらしい。心からリオに感謝していると解る瞳で、一途に美しく微笑んだ。
「私怨からの私刑に手を染め、己が正当性を自ら放棄することなく踏み留まれたのは、全て。……あなたのお優しいお心に、触れることが出来たおかげです」
ありがとうございます、と。そんな風に言われてしまっては、否定する方が彼に対して失礼であるように思えてしまう。リオは嬉しさと恥ずかしさ半々の気持ちで、せめてふるふると控えめにかぶりを振った。みっともなく真っ赤になってしまいそうで、彼の顔もまともに見つめ返せない。
そんなリオの様子を見て、宝石のような眼差しの色をふっと和らげると。アルトはおもむろに立ち上がり、リオの前に跪いた。
戸惑うリオの両手を、そっと握り締める。
「残る心残りは、私が穢してしまったあなたの名誉だけ。……どうか、この私に。責任を取らせてはくださいませんか」
「……っ! それ、は」
びくりと肩を震わせて、リオは息を呑む。その言葉の意を酌めないほど鈍感にもなれなかったリオは、それでも簡単に頷くことはできず、動揺しながら目を逸らした。
彼の申し出を、断らなければいけない理由だらけに思えるリオは言葉に詰まったものの。――選びたい答えは、一つだけであることにも同時に気付いてしまって、羞恥に頬を赤らめる。
恥じ入るリオを鮮やかな薔薇色の瞳で見つめ、幸福そうに微笑んだアルトの白い指が、リオの頬に伸ばされる。
違う男に触れられた時は、あれほどまでに、恐怖しか感じなかったというのに。今は胸の内に満ちて溢れる甘い情動に、身体の熱が上がってしまう。
「……卑怯な言い回しを選びました。責任を、というのは。ただの口実です。……あなたの名誉を穢しておきながら、それをどこかで喜んだ。卑劣な私をお許しいただけるならば、どうか」
是のお返事を、と。中腰になった彼に、吐息がかかるほどの距離でそんなことを言われて、平静でいられるものなどいないだろう。リオは顔を真っ赤にして、あわわと口を開閉させた。
「あ、あの、待って」
「はい」
いくらでも、と。心よく微笑むアルトは、しかしその実、イエスと言うまで離さないとばかりにリオの手を握り締めている。
白く美しい手のひらは、それでも彼が立派な男性であることを示して、男らしく骨ばっている。リオの力では決して振り解けないくらいの力が込められたその手は熱く、彼の決意と熱意を示しているようで、その熱に抗える気がちっともしないリオは、それでもどうにか、震えながら口を開いた。
「僕は、今。悪評が、すごいみたいだし」
「私のために穢してくれたその名を、どうして私が厭うことが出来るでしょう」
「それに、まだ。その、結婚とか、突然過ぎて……エヴァ様たちも、ファランディーヌも、びっくりするだろうし」
「もちろん、急ぐつもりはありません。今は正式な婚約だけでも」
一つ一つ、丁寧に。リオの手を握り締め、情熱的な炎の色の瞳で見つめながら、アルトは否の理由を潰していく。
リオの瞳を真っ直ぐに見つめ、言い聞かせるように囁く彼があまりに美しくて、リオの眼前は諸々の感情でチカチカした。
「ぼっ、僕。男なんだけど……」
「……あなたは、私が男であることが、私への好意の妨げになりますか?」
そんな聞き方をされては、なりません、と。正直に答えるしかない。リオは、ますます追い詰められた気分で頬を上気させた。
リオは彼のことが、確かに、間違いなく、好きだった。リオを見つめて、リオのために微笑んで、リオのことだけを一番に愛してくれる、彼のことが。
「……っ、でも、アルトくんにはきっと、もっと相応しい人がいて」
「リオ」
不意に。リオの言葉を遮り、彼は真剣な表情で名を呼んだ。思わず言葉を途中で呑み込めば、アルトは少し困ったように微笑みながら、そっとリオの髪に触れる。
「私の気のせいでなければ、あなたの拒絶の言葉は全て、私を慮ってのことに聞こえます」
「それは……」
図星の指摘に口ごもるリオを真っ直ぐに見つめて、アルトは優しく首を横に振った。
美しい、炎の色の宝石の瞳。リオを一途に見つめてくれるその瞳から目を離せずにいれば、ふっと柔らかく細められる。リオの心臓がどきりと跳ね上がった。
「私は自分の意志で、あなたを選びました。だから、あなたが私を憎からず思ってくださるなら、どうか私を選んでください。……私は、私の心に誓ってあなたを愛しています。リオ」
「……っ」
蕩けるような甘い声で、ストレートな愛を囁かれて、リオは喉の奥に呼吸を詰まらせた。身体中を巡る血流の音だけが耳に響いて、頭がくらくらする。
その言葉を――受け入れてしまいたい、と。一度でも思ってしまえば、もうダメだった。頬に真っ赤に血の気を差して、髪先から爪先まで、とろとろと液体になってしまいそうな心地になったリオを見て、アルトもリオの答えを知ったのだろう。髪に触れていた手が、頬に触れ、顎を捕らえ――唇が、重なった。
「ん、む。んう、待っ、あ……っ」
「駄目です。……逃げないで」
恥ずかしさに思わず身を引いたリオを追いかけて、アルトが寝台に膝を乗り上げる。そのまま抱きすくめられ、背中と首裏を力強く押さえられてしまえば、リオに抗う術はない。
ぎしりとベッドを軋ませながら、全身を抑え込むように深く貪られる。息継ぎの合間に零れる吐息さえも飲み込むようなキスを交わした後、ようやく解放されたリオの顔は、すっかり紅潮していた。
「っ、アルト、くん……」
「リオ」
荒い息を整えながら、潤んだ瞳でアルトを見上げれば。彼は、ぞくりとするほど妖艶な笑みを浮かべてリオの髪を撫でた。
その手つきは、いつもと変わらずに優しいのに。どうしてか、リオは背筋が震えてしまう。まるで肉食獣の前に差し出された獲物のような気分だ。それでも、その震えを、どうしても嫌なものだとは思えなくて。リオは大人しく首を差し出す草食獣の気持ちで、彼の腕の中に身を預けた。
「……あの夜に願った、続きを。今、お許しいただいても?」
耳元で甘く囁かれ、リオはびくりと肩を跳ね上げる。
続き、続きとは、つまり。アルトの腕の中で、ドキドキと煩い心音に耳を傾けながら。リオが何も答えられずに身体を強張らせていると、いきなり脇腹をくすぐられた。
「ひゃっ?」
慌てて彼の手を掴まえようとすればあっさりと躱されて、逆に両手の指を絡め取られてしまう。そのまま仰向けに押し倒されて、為すすべなく転がった身体をシーツの上に縫い止められる。
「ふふ。アルトくん、いきなり……」
どうしたの? と。無邪気に笑おうとしたリオは、彼の稀なる美貌の中に滲んだ、隠しようもない情欲の炎を見咎めて。ごくり、と。唾を飲み込んだ。
「……リオ」
低く掠れた声が、懇願を滲ませながらリオに迫る。鼻先が触れ合う距離で、情愛を込めた眼差しに熱っぽく見つめられてしまえば、リオにはもう抗う術がなかった。
どうか、と。吐息を吹き込まれた耳が真っ赤に紅潮し、背筋が震える。リオは熱い息を浅く吐き出すと――灯りを、消してくれるのなら、と。精一杯回りくどい、是の返答を口にした。
71
あなたにおすすめの小説
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】
晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。
発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。
そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。
第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。
【完結済】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜
キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」
平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。
そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。
彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。
「お前だけが、俺の世界に色をくれた」
蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。
甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー
【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました
ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。
タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる