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はじめての次の日ですが、登校するよ!

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「とりあえず、リユィのかあちゃんから貰って来た、リユィに無理矢理嵌めようとすると折れる防御魔法掛けとくから」


 制服を着せてくれたディゼが、ぽわんと俺に魔法を掛けてくれる。


 おぉ!
 かあちゃんのたすけが降ってきた!
 ありがとう、かあちゃん!

 思わず拝んだ。


 そうだよな、淫魔って、節操ないとか、倫理観念ないとか思われて、めちゃくちゃ虐められたり、回されそうになったりするんだよ。

 自衛のために、物凄く強くなる淫魔もいるし、自衛の魔法も発達してる。

 18になったから、かあちゃんに自衛を教えてもらう筈だったのに、魔界の王子に無体を働こうとする輩なんていないし、ゆっくりでいいんじゃない? のんびりしてたら、親父に飛ばされた!


 ぐすぐす鼻を啜ったら、ディゼのおっきな掌が、俺の頭を撫でてくれる。

「何かあったら、すぐ俺を呼べ。
 今度は早く!!」

 こくりと頷いた俺は、ディゼを見あげる。


 ディゼを呼んだら、きっと、ディゼはすぐに助けに来てくれる。
 でもディゼに頼りきりは、情けないと思うんだ。

 ディゼを守れるような、かっちょいー男になりたいな!

 俺は、ちっちゃな拳を握った。


「俺、がんばるよ、ディー!」

 ディゼが、わしゃわしゃ俺の頭を撫でてくれる。


「なあ、リユィって、なんでそんな、かわいーの?
 可愛いの塊か!」

 ぎゅうぎゅう抱きしめられた俺は、熱い頬で、ディゼを抱きしめる。


「ディーは、かっこいーの塊だよ。
 あ、あの、あの、気が向いたら、あの、いつでも、えっちしてね」

 いい匂いのするディゼの胸に顔を埋めて囁いたら、ディゼの抱きしめる腕が強くなる。


「……毎日したい」

「うれしい、ディー♡」

 ちゅ、ちゅ、と口づけたら、ディゼの指がお尻の割れ目を辿って、喜んだ俺が足を開いたら、咳払いが降ってきた。


「あー、登校の時間だ!
 えっちは止めて、すみやかに登校するように!!」

 むきむきゾイの言葉に、ディゼと一緒に跳びあがる。


「まだいた!」

 仰け反った俺に、ゾイは頷く。


「このおんぼろ寮の寮生は、リユィひとりだからな!
 俺は、魔界の元魔王からも、人界の王からも、リユィを監視するよう、言いつけられている!」

 …………うわぁ。
 おんぼろ寮にひとりな俺。

 あ、でも、昨日のえっちを聞かれたのは、ゾイだけか!
 それはまだよかった!


「すみやかに登校せよ!」

 鞄を押しつけられた俺は、仕方なく頷いた。




 このまま魔界に帰っても、親父は俺を認めてくれないだろう。


 主人公も、攻略対象の皆も、めちゃくちゃ怖いけど。

 モブレも、怖いけど。


 俺のはじめては、ディゼがもらってくれたから♡♡♡


 きゃっは────!!
 踊りあがりたいくらい、俺は、しあわせだ。


 えへへへへ♡

 かあちゃんがくれた魔法が、きっと俺のお尻の貞操を守ってくれる!

 だから、張り切って、行ってみよ────!



「俺、頑張ってみるよ、ディー」

 ちっちゃな拳を握ったら、ディゼが、わしゃわしゃ、俺の頭を撫でてくれた。


「あーもー、かわい──!」

 赤い顔で、抱きしめてくれた。









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