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婚約編
11.運命
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「私は現実主義なので、運命だとか、巡り合わせだとか、そういう曖昧なものは信じる気にならなかったんですよ。人を好きになるということは、相手の過去も未来も、丸ごと受け入れるということでしょう?それは、少しずつ相手に歩み寄り、相手を知って初めて『好意』という感情が生まれるものだと思っていたのです。………だから、あなたを見て自分の中に生まれた感情に、自分自身で驚きましたよ。………ああ、これが『運命』か、とね」
ラファエロの告白を聞いて、次第に鼓動が早まる。
そして、それと同時にラファエロが何故誰に対してもどこか一線を画したような態度を取っていたのかという疑問に対する答えが、何となくわかった気がした。
「本当に、僥倖だったとしか思えません。運命の姫君に巡り会えた事も、こうしてあなたの心を得られた事も、そしてあなたとこうして共にあることが出来るという事も。………想いを寄せる相手が見つかったとしても、相手もまた、その気持ちに応えてくれるかといえば、必ずしもそうではありませんからね………」
続いて紡ぎ出された言葉は甘いのに、どこか悲しさが含まれているような気がして、リリアーナは不安そうに瞳を揺らした。
確かに、ラファエロの言っていることは正しい。
自分がどんなに相手を愛していたとしても、相手も同じかと言えばそうではない。
だからこそ人を好きになるということは苦しいし切ないのだ。
だが、ラファエロの言葉は、まるで叶わぬ恋をした経験があるかのように聞こえて、リリアーナの心はざわつく。
ラファエロは先程、リリアーナに「運命を感じた」と言ってくれた。
その言葉を疑うつもりはないし、おそらくラファエロの言葉に偽りはないだろう。
そう思っているのに、どうしてこんなにも不安になるのだろう。
「そうですわね」
リリアーナは波立つ感情を隠しながら、にっこりと綺麗な作り笑いを浮かべた。
そうでもしないと、落ち着いた気持ちでいられそうになかったからだ。
「一体どうしたんですか、リリアーナ?」
ラファエロはそんなリリアーナの僅かな変化を目敏く見つける。
気が付いてほしくないところばかりを、見つける天才なのではないかと思ってしまう。
嫉妬心を含んだ動揺をラファエロに知られたくなくて、それを精一杯隠しながら、リリアーナはラファエロを見つめたのだった。
ラファエロの告白を聞いて、次第に鼓動が早まる。
そして、それと同時にラファエロが何故誰に対してもどこか一線を画したような態度を取っていたのかという疑問に対する答えが、何となくわかった気がした。
「本当に、僥倖だったとしか思えません。運命の姫君に巡り会えた事も、こうしてあなたの心を得られた事も、そしてあなたとこうして共にあることが出来るという事も。………想いを寄せる相手が見つかったとしても、相手もまた、その気持ちに応えてくれるかといえば、必ずしもそうではありませんからね………」
続いて紡ぎ出された言葉は甘いのに、どこか悲しさが含まれているような気がして、リリアーナは不安そうに瞳を揺らした。
確かに、ラファエロの言っていることは正しい。
自分がどんなに相手を愛していたとしても、相手も同じかと言えばそうではない。
だからこそ人を好きになるということは苦しいし切ないのだ。
だが、ラファエロの言葉は、まるで叶わぬ恋をした経験があるかのように聞こえて、リリアーナの心はざわつく。
ラファエロは先程、リリアーナに「運命を感じた」と言ってくれた。
その言葉を疑うつもりはないし、おそらくラファエロの言葉に偽りはないだろう。
そう思っているのに、どうしてこんなにも不安になるのだろう。
「そうですわね」
リリアーナは波立つ感情を隠しながら、にっこりと綺麗な作り笑いを浮かべた。
そうでもしないと、落ち着いた気持ちでいられそうになかったからだ。
「一体どうしたんですか、リリアーナ?」
ラファエロはそんなリリアーナの僅かな変化を目敏く見つける。
気が付いてほしくないところばかりを、見つける天才なのではないかと思ってしまう。
嫉妬心を含んだ動揺をラファエロに知られたくなくて、それを精一杯隠しながら、リリアーナはラファエロを見つめたのだった。
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