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ラファエロ編
70.断罪(6)※残酷描写あり
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「痛いですか?………しかし、あなたに傷付けられ、あなたの采配で命を落とした人の痛みはこんなものではありませんよ?………何年にも渡って苦しめられたリリアーナ嬢とて、心の傷はこんな痛み程度では済まないでしょう。………その節穴だらけの眼球でも抉り出せば、少しは己の愚かさが身に染みますか?」
「ひっ…………!」
ラファエロは懐に忍ばせていた短剣を空いた手に握ると、ゆっくりとアマンダの顔に近付けた。
エドアルドですらも、驚いたようにラファエロを見つめている事に気が付き、ラファエロは小さく笑った。
自分自身でも、こんなにも怒りを露わに出来るのだということに、驚いているくらいだった。
それほどまでに、怒りが込み上げてくる。
「あ、謝りますっ………、謝ればいいんでしょう?!」
反省の色など全く見られない台詞だったが、アマンダを屈服させられたという事実に、ラファエロは僅かに落ち着きを取り戻して殺気を抑えた。
「………わ、悪かったわね…………」
心底悔しそうに体を震わせながら、リリアーナに視線を向けようともせず、アマンダは蚊の鳴くような声での謝罪と言えないような謝罪を口にした。
「………謝罪の仕方もご存知ないのですか?本当に、ブラマーニ家の人間は碌でもない………」
呆れたようにわざとらしく溜息をつくと、ラファエロは押さえつけたアマンダの頭を力任せに前に倒した。
椅子に縛り付けられたままの体勢で、無理矢理頭部を押さえつけられたせいで、体を縛る鎖に胸が圧迫されたらしいアマンダから声にならない悲鳴が漏れる。
「『今まで本当に申し訳ございませんでした。愚かな私をお許しください』と言うんですよ。………さあ、私が優しくしているうちに、とっとと謝罪してください。でないと、公開処刑前にあなたの体をズタズタにしてしまいそうです」
優しくそう囁くと、どこまでも甘い、妖艶な笑みを浮かべて見せる。
「処刑するときに、息さえしていれば、形状はどうであれ構わんが、せめて民衆の目に触れても問題なさそうな状態にしておいてくれ」
横からエドアルドが声を掛けてきた。
つまりは人目に付く場所以外は、死なない程度ならいくらでも痛め付けて構わないというお墨付きを貰ったという事だろう。
「い………まで、………も………しわけ………ござい………っ、でした………っ。おろか………、わた………を……、おゆるし……くださ………」
途切れ途切れに、苦しそうに言葉を吐き出すアマンダに、ラファエロは底冷えのするような冷たい視線を向けていた。
「王弟殿下。私の為に怒ってくださって、ありがとうございます。………この女の口から謝罪が聞けるなんて思ってもみませんでしたわ。お陰で、溜飲を下げる事が出来ました」
ふと、リリアーナが自分の元へと歩み寄ってきたかと思うと、そう告げてからふわりと微笑んだ。
それは、見慣れた彼女の作り笑いではなく、ラファエロが切望した心からの笑顔だった。
「ひっ…………!」
ラファエロは懐に忍ばせていた短剣を空いた手に握ると、ゆっくりとアマンダの顔に近付けた。
エドアルドですらも、驚いたようにラファエロを見つめている事に気が付き、ラファエロは小さく笑った。
自分自身でも、こんなにも怒りを露わに出来るのだということに、驚いているくらいだった。
それほどまでに、怒りが込み上げてくる。
「あ、謝りますっ………、謝ればいいんでしょう?!」
反省の色など全く見られない台詞だったが、アマンダを屈服させられたという事実に、ラファエロは僅かに落ち着きを取り戻して殺気を抑えた。
「………わ、悪かったわね…………」
心底悔しそうに体を震わせながら、リリアーナに視線を向けようともせず、アマンダは蚊の鳴くような声での謝罪と言えないような謝罪を口にした。
「………謝罪の仕方もご存知ないのですか?本当に、ブラマーニ家の人間は碌でもない………」
呆れたようにわざとらしく溜息をつくと、ラファエロは押さえつけたアマンダの頭を力任せに前に倒した。
椅子に縛り付けられたままの体勢で、無理矢理頭部を押さえつけられたせいで、体を縛る鎖に胸が圧迫されたらしいアマンダから声にならない悲鳴が漏れる。
「『今まで本当に申し訳ございませんでした。愚かな私をお許しください』と言うんですよ。………さあ、私が優しくしているうちに、とっとと謝罪してください。でないと、公開処刑前にあなたの体をズタズタにしてしまいそうです」
優しくそう囁くと、どこまでも甘い、妖艶な笑みを浮かべて見せる。
「処刑するときに、息さえしていれば、形状はどうであれ構わんが、せめて民衆の目に触れても問題なさそうな状態にしておいてくれ」
横からエドアルドが声を掛けてきた。
つまりは人目に付く場所以外は、死なない程度ならいくらでも痛め付けて構わないというお墨付きを貰ったという事だろう。
「い………まで、………も………しわけ………ござい………っ、でした………っ。おろか………、わた………を……、おゆるし……くださ………」
途切れ途切れに、苦しそうに言葉を吐き出すアマンダに、ラファエロは底冷えのするような冷たい視線を向けていた。
「王弟殿下。私の為に怒ってくださって、ありがとうございます。………この女の口から謝罪が聞けるなんて思ってもみませんでしたわ。お陰で、溜飲を下げる事が出来ました」
ふと、リリアーナが自分の元へと歩み寄ってきたかと思うと、そう告げてからふわりと微笑んだ。
それは、見慣れた彼女の作り笑いではなく、ラファエロが切望した心からの笑顔だった。
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