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囚愛Ⅱ《雅side》
囚愛Ⅱ《雅side》4
しおりを挟む翌朝スマホの通知が物凄いことになっていることに気付き、リビングでコーヒーを飲みながらSNSを開く。
「wow…!文化祭のあのダンス動画拡散されてさ、俺のフォロワー800人だったのに1万人越えてる。JEESは凄いんだなぁ」
「素敵なライブとダンスでしたからね」
昨日の夜、いや…ほぼ朝方まであんなに乱れて抱かれてたのに普段と変わらないエリックを見て大人だなと思った。
―…早く俺のものになってほしい
高校を卒業したら、最高のプロポーズをしたい。
あと半年で卒業だ。
その前にエリック・ブラウンとしての最後の誕生日を最高なものにしてあげたい。
「テリー…頼みがあるんだけど。エリックには絶対バレないようにしたい」
2月22日はエリックの誕生日。
そして偶然にも土曜日。
夜景の綺麗なホテルを手配して、
いつもの白薔薇を用意して、
プロポーズの前のプレプロポーズってとこかな?
最高の誕生日にしたいから、プランをテリーに伝え、手配を頼んだ。
「素敵なプランですね。お任せください」
4月に大学生になるから次の土曜日は買い物に付き合って欲しいとエリックに伝え、エリックの誕生日当日。
―2月22日―
当日、行きつけのセレクトショップで打ち合わせ通り店員にエリックを任せる。
「エリック様、こちらへどうぞ」
「―…私ですか?」
「そうだよ、誕生日おめでとうエリック」
数名の店員がエリックを衣装室へ連れていく。
それに戸惑うエリック。
「今日は執事としてじゃなくて、エリック・ブラウンとデートするんだ」
「しかし…」
「いーから!今日は俺がエスコートするの。おしゃれな髪型にしてね。あと、用意していた服を」
「お任せください」
エリックを待っている間に時間をかけて店内を周り、春から着るための洋服やアクセサリーを購入した。
エリックとお揃いのアクセサリーを身に付けるのもいいなと妄想して。
「お待たせ致しました」
1時間足らずでエリックの髪のセットと着替えが終った。
呼ばれた声の方へ振り返ると、そこには普段のエリックとは別人のエリックがいた。
「エリック…?」
ネイビーのウィンドペンジャケット
ブラックのタートルネックニットセーター
スリムなホワイトジーンズ
俺が用意したものを想像以上に着こなし、長くて綺麗なブロンドの髪を肩まで切った愛しい人がこちらへ歩いてきた。
「髪型…変、ですか?」
「ううん。とても素敵だよ」
そしてエリックの首に手を回し、待っている間に買っておいたお揃いのネックレスを装着した。
そして手を繋いで街中へと繰り出す。
軽くランチを済ませ、タクシーでフラワーパークへと向かった。
エリックは昔から花が好きだからとても喜んでいた。
「この花の花言葉は?」
「フリージアですか。親愛。友情。卒業のシーズンにはぴったりのお花ですよ」
「へぇ」
たくさんの花に囲まれて、俺が花言葉を問うと優しい顔で答えてくれる。
その顔が花なんかよりも綺麗で、ずっとずっと俺の傍に居て欲しいと思った。
夕方になり、予約していたホテルにチェックインをして荷物を置いた。
そして屋上にあるルーフトップレストランで夜景を見ながらディナーを堪能する。
「こんなに豪華な食事とホテル…金額もお安くなかったでしょう?」
「これはね、俺が今まで貯めてたお金だから。この日のために。でもプロポーズはもっと凄いところでさせてね」
10歳のときにエリックに恋をして、8年後にはプロポーズするんだと決めた時から貯めていたお金。
ダンスの賞金は好きに使っていいと母さんに言われていたけど、この日と、プロポーズのために全て使わないでおいた。
計画通りだ。
「それは…きちんとお礼をお返ししないといけませんね」
「愛で返してくれればいいよ。これ以上ないぐらいの愛でね」
俺がそう言うと、エリックは少しだけ間をおいて微笑み、ワインを飲みながら夜景を見ていた。
食事を終え、落ち着いてから部屋に戻る。
「一緒にバスルームに行かない?」
エリックの返事を聞かずに、コートを脱ぎ、彼の手を引いてバスルームのドアを開けた。
ライトアップされた広いジャグジーに浮かぶ無数の白い薔薇を見てエリックが驚く。
「誕生日おめでとうエリック。今年は3本の白薔薇を君に」
そう言っていつものようにエリックの誕生日にプレゼントしている包装された白い薔薇をプレゼントした。
「今年で11本目。3本と11本の白薔薇の花言葉…エリックなら分かるよね?」
「…いつもありがとうございます」
そう言って深いキスをし、服を脱いでから共にジャグジーへ入った。
バスルーム内の暗さに比例して、ジャグジー内のライトとその光が白薔薇に照らされて白ではなく様々な色に変化していた。
「このお湯…少しとろみがありますか?」
「ホテルにお願いして、少しだけローションを混ぜてもらった。エリックと入浴なんて初めてだからさ、ちょっと楽しみたくて」
その発言に少し微笑み、とろみのある湯船に浮いている白薔薇を手に掬ってエリックが言う。
「この白薔薇はいくつ用意したのですか?」
「101個」
101個の白薔薇の意味をエリックはすぐに理解したようだ。
「…ありがとうございます。素敵な誕生日になりました」
「来年は俺の奥さんとしての初めての誕生日になるから、今日よりも素敵にするよ」
来年は今以上にエリックを愛して、俺がパートナーで良かったと思ってもらえるように愛を伝え続けるから。
その言葉にエリックは微笑み、彼から腕を回してキスをしてきた。
「エリック、愛し…」
愛してると伝えたいのに、言葉すら言わせてもらえないぐらい情熱的なキス。
いつしか俺も時間を忘れて、白薔薇に囲まれている愛しい人とのキスを堪能した。
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