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三姉妹との邂逅

158・三姉妹との邂逅(5)

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 愛莉は麗華の三姉妹の記憶と知恵を受け入れてしまった。それは恐ろしい事を意味していた。三姉妹の視点から見た2020年代の世界の狂気とその背後の闇を解明する情報であったから。その中には技術が十分確立していないときにされた、おぞましい電脳化措置の苦痛と恐怖も刻まれていた。幸いな事に技師クラウゼの措置で愛莉の電脳に一種の安全機能が付加されていたので、愛莉の自我がそれにより崩壊することはなかったが。


 「愛莉さん、今ここにいる私たち三姉妹はデータだけの幽霊みたいなものです。現在の私たちがどうなっているかですが、丹下教授によれば、長女の私は秘密の場所で眠っています。二女は”連中”の陣営にいます。三女は人格設定パーソナル・データを上書きして別人として生活しています」

 「別人ですか? それって?」

 「三女の電脳は高負荷の実験によって激しく損傷したのです。それで、三姉妹の、私たちの電脳はエキゾチックブレインとの接続を解除して取り出されたのです。そのあとは丹下教授の協力者の手で長女と三女の電脳だけ持ち出すことに成功したのです。そのあとで、三女の電脳だけ別の少女の身体に移植したのです


 三女だけ別人になった? すると、誰かを犠牲にしたのかと思うと愛莉は嫌な気分になった。そんなことを丹下教授がするなんて。じゃあ、その三女はどこにいったというのだろうか? そう感じていたが、話は続いた。

 「そのあとの細かい経緯は知らないのですが、その直後に危機の13週間が勃発したのです。危機の13週間は”連中”によるエキゾチックブレインの操作ミスです。”連中”は人類の人工進化を早急に行おうとして失敗したわけです。急いては事を仕損じるということです。失敗してよかったですけど」

 「失敗ですか? それでも私の両親は殺されました!」

 愛莉にとって、危機の13週間と悲劇の13日間を引き起こされたで両親が奪われた事に変わりはなかった。いくら麗華の三姉妹が引き起こしたものでないと分かっていても悔しかった。すると、三姉妹の長女は優しくまた抱いてくれた。そのとき、気持ちが共有されたかも様な感覚がして優しい気持ちになれた。しばらくすると彼女が別れの言葉を言ってきた。

 「愛莉さん、淳司さん。後の事は頼みます。それと私たちの妹の事をよろしくお願いしますね」

 愛莉が目を覚ましたのは現実世界であった。機械にされたおぞましい姿の自分の機体で!

 
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