145 / 198
三姉妹との邂逅
128・丹下犯罪学研究所三階
しおりを挟む
愛莉はとりあえず丹下犯罪学研究所の整理を始めた。自分を拘束していたブースはクラウゼに触らないようにと言われたのでそれ以外であったが、その時、クラウゼが何かをブース内に隠したことに気が付かなかった。
「それにしても、膨大ですわね。まるで倉庫!」
ガイノイドモードの時は「人間的」な主観を持たずに作業していたが今は愛莉として感じる事ができた。姿形はまだガイノイド・エリーのままだが。
「愛莉くん、といわせてもらおうか。この研究所の事はどこまで知っているのか君は?」
愛莉が振り返るとクラウゼはすぐ後ろにいた。どうもセンサーの一部が無効化しているのに気付いた。
「わかりません、実はまだ人間だった時に、ここにこんな古びた建物があるのも知りませんでした」
丹下犯罪学研究所は、帝央大学法学部最古の建物で、半世紀以上もほとんどリフォームもされず、時代に取り残されたようだった。内部も電子化されていない紙媒体の資料が蓄積されており「古新聞倉庫」と陰口があった。また書籍も本棚にすら整理されていないものも多かった。
「そうだろうな、丹下教授はここではまともに研究しているわけではないからな。教授がこの研究所を大学に使用許可を出された理由があるんだよな」
そういうとクラウゼは愛莉を三階へと案内した。そこに入るのは愛莉ははじめてだった。入らなかったのは興味がなかったわけではなく、ガイノイド・エリーの行動フィールドに入力されていなかったためだ。存在すらしらなかった。
三階にいくとそこは小さな扉が廊下に並んでいた。この丹下犯罪学研究所は小さな建物で、三階の床面積は下二階の半分ぐらいしかなかった。その三階の廊下は薄暗かったが、これは周囲が法学部の建物に囲まれ日が差し込まないためであった。
「ここに入ってもいいのですか?」
「大丈夫、愛莉くん。淳司の指示だからな。おっと、教授の許可はもらっていないからな、そのつもりで」
クラウゼの言葉に愛莉は不安を感じていたが、この感覚って人間らしいものだと感じ少し感動的だった。このとき、少しずつ電脳化されていても人間らしい感情が蘇っているのを感じていた。
一人と一体、いや二人はある扉を開けた。その扉には「最高機密」とあった。その中には古いサーバーらしきものと、数多くのファイルが並べられた本棚があって、その中央に今では博物館にでも所蔵されているようなブラウン管のモニターが置かれていた。そのモニターの前には事典のような装丁が施されたファイルがあった。そのファイルをクラウゼが開いた。そこにはびっちりとドイツ語の筆記文字が綴られていた。
「これはいったい?」
「これか? 全身拘束刑のための人体機械化技術の下書きだよ。全てはここから始まったんだよ」
クラウゼはそういうと、あるページを開いた。そこにはおぞましい画像があった。人間が切り刻まれているようにしかみえないものが!
「それにしても、膨大ですわね。まるで倉庫!」
ガイノイドモードの時は「人間的」な主観を持たずに作業していたが今は愛莉として感じる事ができた。姿形はまだガイノイド・エリーのままだが。
「愛莉くん、といわせてもらおうか。この研究所の事はどこまで知っているのか君は?」
愛莉が振り返るとクラウゼはすぐ後ろにいた。どうもセンサーの一部が無効化しているのに気付いた。
「わかりません、実はまだ人間だった時に、ここにこんな古びた建物があるのも知りませんでした」
丹下犯罪学研究所は、帝央大学法学部最古の建物で、半世紀以上もほとんどリフォームもされず、時代に取り残されたようだった。内部も電子化されていない紙媒体の資料が蓄積されており「古新聞倉庫」と陰口があった。また書籍も本棚にすら整理されていないものも多かった。
「そうだろうな、丹下教授はここではまともに研究しているわけではないからな。教授がこの研究所を大学に使用許可を出された理由があるんだよな」
そういうとクラウゼは愛莉を三階へと案内した。そこに入るのは愛莉ははじめてだった。入らなかったのは興味がなかったわけではなく、ガイノイド・エリーの行動フィールドに入力されていなかったためだ。存在すらしらなかった。
三階にいくとそこは小さな扉が廊下に並んでいた。この丹下犯罪学研究所は小さな建物で、三階の床面積は下二階の半分ぐらいしかなかった。その三階の廊下は薄暗かったが、これは周囲が法学部の建物に囲まれ日が差し込まないためであった。
「ここに入ってもいいのですか?」
「大丈夫、愛莉くん。淳司の指示だからな。おっと、教授の許可はもらっていないからな、そのつもりで」
クラウゼの言葉に愛莉は不安を感じていたが、この感覚って人間らしいものだと感じ少し感動的だった。このとき、少しずつ電脳化されていても人間らしい感情が蘇っているのを感じていた。
一人と一体、いや二人はある扉を開けた。その扉には「最高機密」とあった。その中には古いサーバーらしきものと、数多くのファイルが並べられた本棚があって、その中央に今では博物館にでも所蔵されているようなブラウン管のモニターが置かれていた。そのモニターの前には事典のような装丁が施されたファイルがあった。そのファイルをクラウゼが開いた。そこにはびっちりとドイツ語の筆記文字が綴られていた。
「これはいったい?」
「これか? 全身拘束刑のための人体機械化技術の下書きだよ。全てはここから始まったんだよ」
クラウゼはそういうと、あるページを開いた。そこにはおぞましい画像があった。人間が切り刻まれているようにしかみえないものが!
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説

AIアイドル活動日誌
ジャン・幸田
キャラ文芸
AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!
そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。

機械娘として転移してしまった!
ジャン・幸田
SF
わたしの名前、あれ忘れてしまった。覚えているのはワープ宇宙船に乗っていただけなのにワープの失敗で、身体がガイノイドになってしまったの!
それで、元の世界に戻りたいのに・・・地球に行く方法はないですか、そこのあなた! 聞いているのよ! 教えてちょうだい!

昼は学生・夜はガイノイド
ジャン・幸田
SF
昼間は人間だけど夜になるとガイノイドに姿を変える。もう、そんな生活とはいったい?
女子校生のアヤカは学費と生活費を出してもらっている叔父夫婦の店でガイノイド”イブ”として接客していた。そんな彼女が気になっていた客は、機械娘フェチの担任教師の風岡だった!
彼女の想いの行方はいかなるものに?

【SF短編集】機械娘たちの憂鬱
ジャン・幸田
SF
何らかの事情で人間の姿を捨て、ロボットのようにされた女の子の運命を描く作品集。
過去の作品のアーカイブになりますが、新作も追加していきます。
どちらかといえば、長編を構想していて最初の部分を掲載しています。もし評判がよかったり要望があれば、続編ないしリブート作品を書きたいなあ、と思います。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

機械娘の機ぐるみを着せないで!
ジャン・幸田
青春
二十世紀末のOVA(オリジナルビデオアニメ)作品の「ガーディアンガールズ」に憧れていたアラフィフ親父はとんでもない事をしでかした! その作品に登場するパワードスーツを本当に開発してしまった!
そのスーツを娘ばかりでなく友人にも着せ始めた! そのとき、トラブルの幕が上がるのであった。

バイトなのにガイノイドとして稼働しなくてはならなくなりました!
ジャン・幸田
SF
バイトの面接に行ったその日からシフト?
失業して路頭に迷っていた少女はラッキーと思ったのも束の間、その日から人を捨てないといけなくなった?
機械服と呼ばれる衣装を着せられた少女のモノ扱いされる日々が始まった!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる