冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

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迷宮魔道な場所へ

106・メンテナンスブースのエリー(3)

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 「ところで淳司、なんか周り路のような事をしているな。やはり、いつも以上に慎重にしているってことかい?」

 エルンストは現在ガイノイド・アイリがどのような作業をしているのかを確認していた。この日は連休前の金曜日、もしかすると事態が動き出す可能性があった、連中の・・・連中とはエキゾチック・ブレインを復活させようとしている陰謀を張り巡らせてきた奴らだ。世界各国の政財界を侵食しており、様々な工作をしているのは間違いないが、首謀者をいまだに特定できていなかった。

 「そうだ! なんだって正攻法が利かねえ連中だろ? この前だって裏切りにあったしな! ところでおたく買収されていねえだろうな」

 淳司はエルンストの肩を小突いていた。

 「決まってるだろ、俺だってやられているんだからするはずはないぞ。そうやって不信感を蔓延させるのが連中の常套手段だろ! いまさら引っかかるわけにいかねえだろ!」

 そういいながらエルンストはやり返した。

 「そうだな、そうしてもらいたいな。頼むから」

 淳司はそういってクライアントの所にメールした。するとすぐ返信があった。

 「で、ボスはなんだというのだ」

 「とりあえず続行でいいそうだ。ボスの手の者が司法省行刑局の統括システムをハッキングして、エリーとアイリの電脳意識を統合したそうだ。ただ、いまから72時間を超えると不都合な事が起きるから、それは言わなくっても分かるだろ! それまでに作戦の成否にかかわらず、終えるようにしろだってさ」

 淳司の言葉にエルンストは3D画面にカウントダウンをセットした。

 「三日以内か・・・月曜日の午前9時39分までに・・・か」

 「そうだ、そうしないと、そこのエリーいや山村愛莉だったガイノイドは本当のただの機械になってしまうんだからな。頼むぞ」


 淳司がそういうとエルンストはメンテナンスブースに固定しているガイノイドに目をやった。そこにいたのは元は人間だったと思えないほど改造されてしまった、ロボットにしか見えない物体が横たわっていた。
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