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迷宮魔道な場所へ
105・メンテナンスブースのエリー(2)
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「おはようございます。ところでエルンストさん、どこかでお会いいたしました? 申し訳ないのですが、思いだせないのですが」
真由美は思い出そうと頭をひねったが、思い出すことが出来なかった。父の会社のパーティーに何度か出席した事があるので、もしここまで特徴的な大男だったら覚えていてもおかしくないというのに、なんでだろう? と思った。
エルンストは何かを言おうとしたが、なぜか淳司が肩に手を置いた。それはまるで制止するかのようだった。そしてエリーの傍に行ってから一冊の本を持ってきた。
「あなたとは、ここでお話したのですよ。もしかすると覚えておられないかもしれないですね。ごめんなさい」
そういって差し出したのは、父の会社がいつも出展している人型機械産業展のパンフレットだった。父に無理矢理同行させられた事はあったが、表紙にある都市名にいった覚えはなかった。いろんなことを質問したかった真由美であったが、早く行かないと一時限目の講義に間に合わない事に気づき、急いで研究所を後にした。
「おい、エルンスト。気を付けろよ! 彼女も知らないんだぞ自分の秘密を! バレたら安養寺のおっさんにお前クビだぞ!」
淳司はエルンストの腰に軽く肘鉄するようなしぐさをした。
「そうだな淳司。それにしても彼女の・・・まあ、今日は関係ないな、とりあえず。まあ、早いうちに彼女の調整を・・・」
エルンストが話を続けようとしたが、淳司は早くもといた場所に戻れという仕草をするので、それに従った。
「そうだ! 今日は彼女の方が重要だぞ! ガイノイド・アイリのシステムと同調させているんだ。どうだ?」
「いまのところは順調! リアルタイムで向こうのアイリの動作が分かるぞ! でも、大丈夫なのか? 連中だってバカじゃないんだろ?」
エルンストは3Dモニターをみてアイリがいま知覚している状況を確認していた。彼女は理工学部内で清掃作業をしていた。
「あーら、愛莉ちゃんたら、ここよりも激しい労働をさせられているんだ。全身拘束刑は機械奴隷だという、どこかの人権派弁護士先生が主張するそのままのことだな」
淳司はモニターに映し出されるガイノイド・アイリの様々な動作情報を見ながらつぶやいでいた。
「エルンスト、分かっているな! 万が一の時には。これを」
「わかってるぜ! でも、最低限は連中の誰かが分からないといけないからな!」
二人の顔は真剣そのものだった。
真由美は思い出そうと頭をひねったが、思い出すことが出来なかった。父の会社のパーティーに何度か出席した事があるので、もしここまで特徴的な大男だったら覚えていてもおかしくないというのに、なんでだろう? と思った。
エルンストは何かを言おうとしたが、なぜか淳司が肩に手を置いた。それはまるで制止するかのようだった。そしてエリーの傍に行ってから一冊の本を持ってきた。
「あなたとは、ここでお話したのですよ。もしかすると覚えておられないかもしれないですね。ごめんなさい」
そういって差し出したのは、父の会社がいつも出展している人型機械産業展のパンフレットだった。父に無理矢理同行させられた事はあったが、表紙にある都市名にいった覚えはなかった。いろんなことを質問したかった真由美であったが、早く行かないと一時限目の講義に間に合わない事に気づき、急いで研究所を後にした。
「おい、エルンスト。気を付けろよ! 彼女も知らないんだぞ自分の秘密を! バレたら安養寺のおっさんにお前クビだぞ!」
淳司はエルンストの腰に軽く肘鉄するようなしぐさをした。
「そうだな淳司。それにしても彼女の・・・まあ、今日は関係ないな、とりあえず。まあ、早いうちに彼女の調整を・・・」
エルンストが話を続けようとしたが、淳司は早くもといた場所に戻れという仕草をするので、それに従った。
「そうだ! 今日は彼女の方が重要だぞ! ガイノイド・アイリのシステムと同調させているんだ。どうだ?」
「いまのところは順調! リアルタイムで向こうのアイリの動作が分かるぞ! でも、大丈夫なのか? 連中だってバカじゃないんだろ?」
エルンストは3Dモニターをみてアイリがいま知覚している状況を確認していた。彼女は理工学部内で清掃作業をしていた。
「あーら、愛莉ちゃんたら、ここよりも激しい労働をさせられているんだ。全身拘束刑は機械奴隷だという、どこかの人権派弁護士先生が主張するそのままのことだな」
淳司はモニターに映し出されるガイノイド・アイリの様々な動作情報を見ながらつぶやいでいた。
「エルンスト、分かっているな! 万が一の時には。これを」
「わかってるぜ! でも、最低限は連中の誰かが分からないといけないからな!」
二人の顔は真剣そのものだった。
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