冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

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迷宮魔道な場所へ

79・ひとを捨てたものたち

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 愛莉の意識がエリーの中に閉じ込められているあいだ、真由美たち理工学部見学の一行は、巨大な地下空間に案内されていた。そこのは大型の工作機械や実験道具が行われていた。通常、こういった巨大構造物は屋外に作られるものであるが、ここは情報の機密性が大事な技術が研究されていた。

 そのうち、なにかは分からないが数多くの人型工作機械のようなモノが稼働しているエリアがあった。この時、一行にいた迫水悠平という新入生が操に質問した。

 「あそこにいる人型ロボットは大きさも形状もバラバラですがどうしてですか?」

 その質問で歩みを止めた操はそのうちの一体を呼び寄せた。近づいて来たロボットは武骨なブラウンカラーの軍事用機動兵器のような姿をしていた。

 「丁度良かった。さっきお会いしたグレン教授のように人間よ!」

 その言葉に一行はざわついたが何故か真由美は無反応だった。悠平は少し困惑していた。この悠平はただ大学受験が唯一の人生の目的にしていた男で、世間一般の常識に疎い面があった。この前も高校野球の聖地である甲子園を知らなかった事で、学内ではちょっとした話題になっていた。

 「でも、その・・・機械じゃないですかそれは!」

 悠平の言葉にブラウンカラーの機械が人工音声で語って来た。

 「そこの学生! 知らないのですか? 近年人間の姿を機械そのものに変身することが流行しているのですよ。我々は軌道エレベータ建設要員としてここで訓練しているのです。もちろん作業の大半は大型自動工作機が行いますが、どうしても人が行わないとならない部分もあります。
 でも、そこは宇宙空間ですよ!  猛烈な放射線と太陽熱に真空空間でいちいち宇宙服に着替えることなんて出来ないです。だから作業用宇宙服と人体を融合させたのですよ。こんな身体になって気持ち良いのですよ。まあ不快なら一ヶ月も脱げない事に耐えられませんけど」

 そのあともそのブラウンカラーの機械は話し続けたが、どうやらこの理工学部研究所には作業員だけでなく学生も機械の姿になっているモノもいるようであった。

 「とりあえず、そういうことよ! そこにいるアイリやエリーのようなロボットの中に人間が潜り込んでいるわけなのよ。まあ世間では機ぐるみなんていうけどね」

 そういうと操はまた次の見学エリアへと向かっていた。その途中で探査ビームの照射がなくなったのでエリーの中に愛莉の意識が戻って来た。すぐエリーの行動記録を確認した愛莉は気づいてしまった、どういうことなのよ、ここ半年の間にひとを捨てたものたちがこの理工学部という空間で異常に増殖しているのは?
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