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エリーは探偵として推理する

51・自由な時間(3)

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 フェイスガードの下がどうなっているのか、愛莉は直接見たことなかった。そもそも全身拘束刑でも最高レベルの人体改造を受けた愛梨の身体はガイノイドの外骨格と完全に融合していた。たしか全身拘束刑を受ける前に本当に簡単な説明を受けたけど、ある程度は人間に戻れるけど相当な部分は人間に戻れない部分もあるという事だった。その意味を深く考える事も抗議することもできなかったが、だいたいの想像が出来た。愛梨を冤罪に陥れた黒幕に愛莉を人間に戻す気などないと!

 フェイスガードの下がどうなっているかであるが。愛莉が自覚しているのはこんなところであった。まず口や鼻にチューブが挿入され、歯茎は完全に固定され、口内はジェル状のなにかで充填されていた。そして眼球は摘出され、代わりに人工眼球が挿入され、直接電脳に画像データなどを送受信するターミナル装置に改造されていた。そして顔全体の皮膚は変化し、フェイスガードの基礎組織として機能していた。だから・・・

 「この下の顔って人間の顔じゃないのよね? そんなの真由美ちゃんに見せてもあたしだと分かんないじゃないのよ! あんまりにもキモイといって逃げるかもしれないしね」

 自分の顔がどんなふうに改造されているのかを想像しただけで少し気分がわるかった。それにしても機械になっても顔は大事よねと思う愛莉であった。

 「さあて、こうしてはおられないわよ! 今できる事をしようね!」

 そういうと、愛莉は淳司のデスクの上に置かれたタブレット端末とエリーの頭部にある外部データ入力挿入口
を有線ケーブルで接続してから、自分の待機場所に移動した。これからは情報収集をするためであった。なぜ、こんなことをしたのかといえば、淳司の端末は通信機密装置が付いていて、アクセスを誤魔化すことができる機能があるし、無線LANだと、大学内のセキュリティーシステムに検知される危険があるからだ。その方法も淳司が信用できるかもしれないから使うだけの事だった。

 このとき、愛莉が逮捕される直前の事を思い出していた。そもそも研究所にはスカウトされてはいったが、スカウトのきっかけになったのが、大学の授業後に同級生から声掛けをされたからだ。そのとき、もう一人スカウトされたのが畦地晴美だった。その同級生って誰だったのかを思い出せずにいたが、この時になって記憶が復活した。

 「ま、まさか、あの人が私を罪に陥れたというの? それって酷い!」

 愛莉の電脳化された心は揺れていた。 
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