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エリーは探偵として推理する

49・自由な時間(2)

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 愛莉は保護施設で二年間過ごしたが、両親を失い魂の抜け殻のようになっていた。その時、天才的な素質があることに周囲の大人たちは色めきたっていたが、愛莉からすれば周囲に流されているだけのように思っていた。そのころ只の勉強をし学力向上だけをさせられている少女であった。それ以外の事はなんら関心はなかった。そんな少女だから養子縁組の話がまとまることはなかった。人間性を喪失した少女を家庭に迎え入れようとする家庭はなかった。だから保護施設では愛莉をどこかの進学校で全寮制の学校に特待生として厄介払いしようとしたわけだ。

 そんな扱いでも愛莉はなんら反抗しなかった。今から思えばその時の愛莉は機械のようだったとおもう。そんな少女が今では本当に機械と一体化するのは何の因果だというのだろうか? ともかくその時よりは人間らしいというのにである。

 その保護施設にいた時、麗華民主共和国と大蔡民国を中心とした動乱が世界中に飛び火し、世界中が動乱状態だった。それを伝えるニュースがますます愛莉の心を暗くしていた。でも、それに対する感想を周囲の者たちに言う事はなかった。しかし例外があった。

 それは、とある戦場からの中継でロボット兵たちによる戦闘を見ていた時の事だ。その中継は生放送であったため事前の検閲なしだったので恐ろしい事になっていた。中継リポーターの前に砲弾が着弾し、猛烈な炎と煙が画面中に広がり、その中から先ほどまで戦っていたロボット兵が出てきたのだ。しかし、そのロボット兵だと思っていたのはパワードスーツを纏った兵士で、粉砕された外骨格の中から身体を粉砕され血肉が飛び散っている生身の人間が露出した。その直後、中継は打ち切られ放送事故であるとのアナウンスが流れた。

 そんなロボット兵のような姿になっていることに今の愛莉は驚愕したのだ! このガイノイドの外骨格はそんな女性型ロボット兵の外骨格であったからだ。いくら動乱が収束し七年が経過しているとはいえ、あの時の戦争のはらわたのような惨状がフラッシュバックで思い出したのだ。おそらく、保護施設にいた時で唯一の少女らしい反応をしたときの事を。そのあと愛梨は泣き出してどのまま気絶したのだ、恐怖のために。

 「あのときは、本当に・・・あの兵士の事を想ったのよね、なんであんな姿で戦わないといけなかったのよねと。でも今の私は誰に対してどんなふうに戦おうとしているのかしら?」

 愛莉は自分の姿を姿見で確認したが、どんな表情なのかは自分でもわからなかった。フェイスガードに覆われた今の顔を。
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