冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

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エリーは探偵として推理する

48・自由な時間(1)

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 真由美が帰宅し研究所にはエリー一体だけが取り残された。すると、エリーを愛梨は自分の意志で自由に動かせるようになった。それはまるで、子供部屋のおもちゃが子供が眠りに落ちたら、自分で遊び出すのと一緒だった。

 「ふー、それにしても全身拘束刑の受刑者ってきついわよね。こんなふうに自我があるのも考えものだよね。そういえば丹下教授の蔵書にも全身拘束刑についての書籍があったよね」

 そういって丹下教授のデータベースにアクセスした。そこには古今東西の犯罪に関する書籍のうち電子化したものを閲覧した。そこには一般に公開されていない全身拘束刑にいままで処せられた受刑者の記録があった。

 「やっぱりだわ! あの柴田のおばちゃんがしたのは絶対的終身刑相当の受刑者への措置だったんだわ。本当に十年でここまで厳しくするとは、疑問に思わなかったんだろうね」

 愛莉は計画的大量殺人に相当する程度の改造をされていた。おそらく全身の四分の三以上は機械化されたようである。そこまでくると本当にロボットといっても差し支えないレベルだった。そういえば、幼い頃に実父の趣味で昭和時代の特撮ものの作品を見せられたことがあったけど、そこでは改造人間の悲哀なんていう話があったような気がした。まさに今の愛莉は改造人間だった。

 愛莉は姿見の前にたって、自分の身体を確認した。エリーは神原瑛梨という女受刑者が改造された機体と入れ替えたものだった。彼女の罪状も相当凶悪だったようだが、本来は愛莉ほどの改造を受けないはずだったという。取りあえず外見だけ同じにしたという。また、セキュリティーが少し甘くなるのでデータの入れ替えがしやすくなったという。その方法だけど、淳司によれば今後の任務遂行に支障があるからといって教えてもらえなかった。

 「それにしても、戦闘用の外骨格なのよね? なんでこんな姿にしたんかしらん? すこしは女らしく見えるからいいかしら?」

 姿見に映る身体を動かしている自分の姿を見つめていた。女らしくくびれたウエスト、女性であると主張するバストとヒップ、そしてメタリックで流線形の外骨格。もし、そのなかに自分がいないのであれば、あこがれたのかもしれないと思った。

  そのとき、ある光景を思い出した。それは保護施設にいた時にテレビで見た光景で、ニュース映像であったがトラウマになるものであった。
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