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エリーは探偵として推理する

42・求めるべき真実(6)

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 大抵の家庭用などのアンドロイドやガイノイドは、人造筋肉で稼働するので一定の休息が必要だった。休息中にメンテナンスを行うのが固定具だった。その固定具が置かれているのは、エリーが丹下教授の研究所に固定具が置かれているように、大抵は管理者の身近なところのはずだった。しかし、アイリの管理者は板倉教授ではなく、理工学部教授会になっていた。だから、どの教授でも問題ないのであったが、違和感はあった。それは板倉教授も同じようだった。

 「うーん、アイリというのかお前さんは? 学部長に言われるがままに固定具を置いたけど、なんで山村君と同じ名前なんだ? まあ、偶然だろうけどね。取りあえず今日は定時で帰らせてもらいから電源を切るぞ! 明日はいろいろとしてもらうからな、じゃあな」

 そういうと、板倉教授はアイリを固定具に入れてシステムダウンをした。その時、午後6時だった。そのあとはアイリは半ばスリープ状態だった。このアイリの電脳は人間由来のように偽造されたものなので、俗に魂というようなものはなく、本当に情報処理しかなかった。でも、このあたりは愛莉にとってつらいモノであった。ああ、もし淳司が人格再構成プログラムをインストールしてくれなかったら、こんな風な反応だったんだと。

 そんなスリープ状態が続いていたら八時前になって部屋が明るくなった。そのとき、アイリの視覚センサーはシャットダウンしていたので、光の明暗しか感知していなかった。満足に稼働していたのは聴覚センサーであったが、それも解析度が低かった。

 「これがアイリです。注文通りにガイノイドに生まれ変わっております。後は準備ができ次第ですね」

 その声は、聴いたことがある声であったが女である以外は誰なのかわからなかった。

 「ふん、君も悪魔のような事をするよな。わざわざ脱法的な手法で合法的に世界最高水準のガイノイド用電脳にしてもらうとはな! しかもタダで! まあ、改造するのに高級水素動力車を買えるぐらいはかかっているはずだぞ! ここまで改造されるのは死刑囚なみだぞ!」

 男と思われる声は下品な声の響きがあったが、記憶にないモノであった。

 「しかたありませんわ! エキゾチック・ブレインの稼働にはコアとなる電脳が必要なのですから。今までみたいに、大学OBでそれなりに能力を持つ者をこちらで改造したって上手くいかなかったんでしょ? こいつの素体は良い素材だったのよ! それに家族もいないからね。適任ですわ、のこガイノイドの頭の中身は!」

 そういってアイリの頭部を触る手を感じた。この触っている手が罠に嵌めた女なんだと思った愛莉であった。
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