冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

文字の大きさ
上 下
42 / 199
エリーは探偵として推理する

41・求めるべき真実(5)

しおりを挟む
 淳司のプランとは理工学ビルに入った時にある場所に特殊通信装置を設置するという物であった。そしてそれで理工学部にいるダミーのアイリとシンクロできるようにするという。その方法があまりにもアナクロだった。誰か協力者がいてその部屋に入り込んで設置すると思ったのに、なんとどの階でも良いから真由美と一緒に障害者用トイレに入った時にでも死角に設置するということだった。しかも電源が超小型原子力電池という、どこで入手したのか分からないシロモノだった。一応、被爆ひばくと探知をかわすために放射線が漏れないとはいうけど。

 「本当に淳司に頼っていて、大丈夫かしらん? もし、人間に戻れたらあいつの正体を確かめてやりたいわ!」

 愛莉は、その時アイリの行動をチェックしていた。三日のタイムラグがあるので昨日までの日誌情報だった。アイリが配属されたのは、愛莉が所属していた「先端技術研究所」であった。そこで実験などの雑用をさせられていた。それは二年生までの学生などがやることであった。あんまりにも単調な活動でみるべきものはなかった。そして昨日は校舎の前で接近してしまった。

 「うーん、アイリはまだこれっといった活動をしていないわね。本当はあたいがそのようにしていたはずだから不思議よね。まあ、退屈には変わりないけどね」

 そう思ったとき、あの接近の後にアイリに板倉秀樹教授が話しかけているのが分かった。もしかするとアイリは自分の教え子なのか? それを知っているのかもしれないと思ってドキッとした。しかし、次の会話は拍子抜けだった。

 「アイリ、お前さんと同じガイノイドがいたぞ! あれって量産品だよな? 本当に同じものを作っていけるなんて工業化社会もすごいもんだな?」

 いったい何をいいたかったんか? そんな風に思った。たしかに板倉教授は変わり者で研究者としては超一流でもその正体はただのヲタクといわれていた。趣味が二十世紀末のPCコレクションで、ひどく反応速度の遅いウィンドウズ95で当時のパソコンゲームをするのが休日の楽しみで、何人もついていけないと言われていた。教授の部屋にはそんな二十世紀末のパソコンゲームのポスターがたくさん貼られていてその時代錯誤に頭がクラクラしたことがあった。

 そんな教授室にアイリが入っていた。そこに何故かアイリの固定具が置かれていた。普通に考えれば板倉教授も一味の可能性が高かったが、それにしてもなんであんな頓珍漢な事を聞いたのだろうか?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

恥ずかしい 変身ヒロインになりました、なぜならゼンタイを着ただけのようにしか見えないから!

ジャン・幸田
ファンタジー
ヒーローは、 憧れ かもしれない しかし実際になったのは恥ずかしい格好であった! もしかすると 悪役にしか見えない? 私、越智美佳はゼットダンのメンバーに適性があるという理由で選ばれてしまった。でも、恰好といえばゼンタイ(全身タイツ)を着ているだけにしかみえないわ! 友人の長谷部恵に言わせると「ボディラインが露わだしいやらしいわ! それにゼンタイってボディスーツだけど下着よね。法律違反ではないの?」 そんなこと言われるから誰にも言えないわ! でも、街にいれば出動要請があれば変身しなくてはならないわ! 恥ずかしい!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【SF短編集】機械娘たちの憂鬱

ジャン・幸田
SF
 何らかの事情で人間の姿を捨て、ロボットのようにされた女の子の運命を描く作品集。  過去の作品のアーカイブになりますが、新作も追加していきます。  どちらかといえば、長編を構想していて最初の部分を掲載しています。もし評判がよかったり要望があれば、続編ないしリブート作品を書きたいなあ、と思います。

AIアイドル活動日誌

ジャン・幸田
キャラ文芸
 AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!  そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。

バイトなのにガイノイドとして稼働しなくてはならなくなりました!

ジャン・幸田
SF
 バイトの面接に行ったその日からシフト?  失業して路頭に迷っていた少女はラッキーと思ったのも束の間、その日から人を捨てないといけなくなった?  機械服と呼ばれる衣装を着せられた少女のモノ扱いされる日々が始まった!

昼は学生・夜はガイノイド

ジャン・幸田
SF
 昼間は人間だけど夜になるとガイノイドに姿を変える。もう、そんな生活とはいったい?  女子校生のアヤカは学費と生活費を出してもらっている叔父夫婦の店でガイノイド”イブ”として接客していた。そんな彼女が気になっていた客は、機械娘フェチの担任教師の風岡だった!   彼女の想いの行方はいかなるものに?

クリスタルレディ との逃亡

ジャン・幸田
恋愛
 少女のチズルは、兄のように慕いながらも恋人になるのを許されない、宇宙士官候補生のタクマと一緒に訓練航海に同行するため、クリスタルレディと呼ばれるサイボーグに改造してもらった。  訓練航海の最中にふとしたことで二人は遭難してしまった。敵対勢力地域から故郷地球に戻るための逃亡劇が今始まる! (あんまり人気もなく、乗り気にならないので、途中の話を飛ばして投稿します。後半はダイジェストみたいにします)

機械娘フェチ作品撮影!

ジャン・幸田
SF
 わたし、とあるプロダクションに所属するモデルだったの。一応十八禁作品出演OKとしていたけど、恥ずかしかったの。  そいで顔出ししないでもいいという撮影があったので行ってみると、そこでわたしはロボットのようになれということだったの。わたしはガイノイドスーツフェチ作品に出演することになった。

処理中です...