冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

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エリーは探偵として推理する

43・求めるべき真実(7)

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 いまアイリのボディに触れているのが黒幕もしくはその手下なのは確かだった。でも、確かめようにもこのデータはアーカイブなので、その時なにかを注意して感じる事は出来なかった。そこにいたアイリはダミーだから。愛莉は少し悔しかった。

 「ところで、今度ゆずりは首相が視察と講演会をするためにここにくるが大丈夫か? あいつは結構ここを疑っているようだ。この前の機密漏えい事件は我々の陰謀だと」

 男は何かを飲んでいるようだったが、映像がないので想像だけだった。それにしても首相をあいつ呼ばわりする連中は何者だろう?

 「それは大丈夫。首相といえども連合与党の勢力争いの仲裁役としてリリーフ登板しただけだから、国家機密なんて殆ど知らないわよ。疑ったところでこちらがやろうとしているのは分からないわよ。せいぜい御用マスコミが垂れ流した情報以上のことは知らないはずだよ」

 女はその時男と接近して何かをしているようであったが、それが何かは分からなかった。なんとなく衣擦れの音を立てているようであった。

 「あいつは正義感だけは人一倍強いと思い込んでいるからな。あんまり首を突っ込まないうちに退陣してもらいたいところだけど。まあ、去年の暮れに就任したばかりだから応じるわけはなかったがな。
 この前の国防省機密漏えい事件で連帯責任といってもらいたかったが、おかげで政権支持率も危険水域に突入しているからな。
 あとはエキゾチック・ブレインを稼働させれば、我々にとって都合の良い奴を首相にするだけさ! さしずめ・・・」

 そこまでいったところで、女の甘い声が聞こえてきた。何をしているのかを想像しただけで愛梨は思春期のそういった色恋事に嫌悪感を感じる少女のように震える気分だった。すると、そこでアイリの記録が終了した。どうやら完全にログオフ状態になったようだ。

 「はあ・・・誰なんだろうね、あたいを嵌めて機械にした連中は。板倉教授の部屋に入れるなんて理工学部の上層部なんだろうけど、誰なんだろうね。女は二十代前半だけど、男は多分四十代って、ことは不倫なの?」

 愛莉は、ただでさえいい感情を持っていなかったあのカップルに嫌悪感をかんじていた! 人を機械にして、自分たちはお楽しみなのかよって! もっとも、愛莉はまだ恋愛経験がないので具体的に何をするのかははっきりとは分からなかった。

 「とりあえず、敵は理工学部にいるというのはわかったけど、誰なんだろうね」

 そのとき、あることを思った。同級生だった畔地晴美のことだ。彼女は自殺したとされていたが。頭部に酷い損傷があった。もしかすると彼女はエキゾチック・ブレインの被験者にされたのではないかと。
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