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エリーは探偵として推理する

39・求めるべき真実(3)

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 居なくなっても誰にも気づかれず、どこかへ消えて行ってしまう。そんなことを想像したのは児童保護施設で暮らしてからずっとだった。いくら全寮制のお嬢様学校に通っていても、どうしてもいろんな面で浮いていたから、本当にこのまま排除されるのではないかという恐怖を抱いていた。その恐怖は今、現実のものとなり山村愛莉という人間は存在しない事にされている。いま、エリーの中にいるのは材料とされた元愛莉の肉体ものだ。

 一応、淳司には冤罪を晴らし自分をこんな身体にした連中を白日の下にさらすことが出来たら、元の姿に復元してやるといわれているが、そんなのあてに出来なかった。そもそも、ここまで機械と融合している肉体を復元って、どうするのか見当もつかなかった。


 「まあ、最低限真由美ちゃんにあたしだと認識してもらえる程度にはしてもらいたいわね・・・って、そんなことを考えている時じゃないんよ! 愛莉!」

 そういうと愛莉はエリーを淳司のタブレットにケーブルを接続した。これは淳司に言われていたことで、今回に事件に関するファイルが収納されていた、そこからダウンロードしたデータで簡単な推理をすることにした。

 まず裁判記録は国家機密として非開示になっていた部分と合わせて辿ると、こんなことが分かった。まず愛莉は旧麗華民主共和国政府の関係者から接触があって、一部軍部が戦略自衛隊と結託して行った人体実験を暴露するためのハッキングを依頼されたという。それで国防省の電子記録庫から機密ファイルを盗み出して、ネット上に暴露し世間を混乱させたと事実認定されていた。ただ、奇妙な事に依頼した人物が特定されていないし、依頼の報酬も触れていないし、なによりもネット上に暴露した証拠がまったくないほか、状況証拠として挙げられたものも帝央大学の端末に愛莉の指紋があったというものだった。その指紋があった端末って私の私物だったから当たり前であった。

 それらの事から裁判は有罪ありきで進められたのが確実であった。しかも「国家機密」などといって以後50年間不開示が決定されているので、適当にしていても誰にもバレないということで。本当にいい加減な裁判をしていたようだ。もっとも、愛莉も(その他大勢の一般的に刑事裁判なんか知らないのと一緒)裁判がいい加減であったのも気づいていなかった。

 「そういうことは、裁判所の判事たちって本物じゃないのかもしれないわ。今から考えると裁判をしたところって裁判所じゃないみたいだわ」

 そう愛莉が思うのは、どうも裁判所だと思っていたのは実際は帝央大学法科大学院にある模擬法廷のセットと酷似している事に気付いたのだ。どうやら愛梨は逮捕されたあとも目隠しをされて大学内で監禁されていたのかもしれないのだ! そういうことは、帝央の関係者も事件の首謀者に関係しているのかもしれなかった。
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