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啓子が啓子を着る!
わすれられない感覚(2)
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わたしたちが暮らしていた扶桑帝国はよく分からない理由で戦争を継続していた。女学校に通っていたけど勉強に興味がわかなかったし、両親も将来お嫁さんになるのだからと、あまり熱心に学業をするようにいわれなかった。だけど、裁縫だけは好きなのでそちらの方だけは職業婦人にすぐできるといわれていたほどだ。
そうそう戦況であるけど、あまり芳しくないようだった。闇雲に戦場を広げてしまったために、補給路が確保できなくなったとかで、帝都ですら食料品が配給制になったということだ。ここ橘花宮も皇族で軍人という事で優先配給されているそうだけど、貧しい男爵家の実家にいた時よりも質も量も良くないと思えるほどであった。
橘花宮の屋敷があるのは帝都から遠く離れた丘陵地で、通ってくるのは敷地内にある農地を耕作する農民ぐらいだった。生活物資は源五郎さんなどのお抱え運転手が時々搬送してくるので、情報が隔絶された陸の孤島みたいなところだ。しかも主人たる哲彦は殆ど軍務で不在にしているので、この屋敷は維持管理する使用人と人形が暮らしている変なところだった。
わたしといえば、悪く言えばその他大勢、良くいったとしても悪役の令嬢(一応処女だから令嬢という事にするわ)でしかなかった。間違っても悲劇のヒロインではないといえる。だって、あんまり使用人以外の仕事なんかしてないし、とりたてて凄い事をしていないしね。
そんな大したことをしていないメイドのわたしが何故か殿下と同じ姿になったのが不思議だった。床に入ってもわたしの身体はまだ人形だった時の感覚がのこっていた。
そうそう戦況であるけど、あまり芳しくないようだった。闇雲に戦場を広げてしまったために、補給路が確保できなくなったとかで、帝都ですら食料品が配給制になったということだ。ここ橘花宮も皇族で軍人という事で優先配給されているそうだけど、貧しい男爵家の実家にいた時よりも質も量も良くないと思えるほどであった。
橘花宮の屋敷があるのは帝都から遠く離れた丘陵地で、通ってくるのは敷地内にある農地を耕作する農民ぐらいだった。生活物資は源五郎さんなどのお抱え運転手が時々搬送してくるので、情報が隔絶された陸の孤島みたいなところだ。しかも主人たる哲彦は殆ど軍務で不在にしているので、この屋敷は維持管理する使用人と人形が暮らしている変なところだった。
わたしといえば、悪く言えばその他大勢、良くいったとしても悪役の令嬢(一応処女だから令嬢という事にするわ)でしかなかった。間違っても悲劇のヒロインではないといえる。だって、あんまり使用人以外の仕事なんかしてないし、とりたてて凄い事をしていないしね。
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