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14.嫌だった?
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ソファーでの激しい行為のあと、藤崎さんは身を離すと、私にキスをして、「ごめん、ちょっと曲を書いてきていい?」と言った。
早速、曲が浮かんだらしい。
曲作りのために抱かれているのだから、私に異論はない。
「もちろんです」
「その間、休んでてもいいし、風呂に入っててもいいよ。好きなようにしてていいから」
「はーい」
身繕いすると、藤崎さんはリビングを出ていった。
その後ろ姿を見送ると、深い溜め息が出た。
「はぁぁ……」
私はソファーで三角座りをして、膝に顔を埋めた。
まだ身体中に藤崎さんの感触が残っている。
自分にとってずっと特別だった人に抱かれるのって、意外と切ない。
役得だとは思う。あの藤崎東吾に抱かれるなんて。
うれしい気持ちもあるにはある。
でも、甘く優しくされると胸が痛い。契約の関係なのにと思ってしまって。
もっと不遜に、私の意志など構わず、奪ってくれたらよかったのに。
それとも淡々と抱かれたら、もっと割り切れたかな。
作曲のためだから、淡々としてたらダメなのか……。
ぽたっと脚に水滴が落ちた。
「……希? 泣いてるの?」
ふわっと全身を包むように抱きしめられた。
そっと目もとを拭って顔を上げると、心配そうな藤崎さんの顔が目の前にあった。
「藤崎さん? どうして?」
「パジャマ代わりの服を持ってきたんだ」
早く曲を作りたいはずなのに、私のことを考えてくれてたんだ。
申し訳なさと喜びの二重の感情が生まれ、どんな顔をしていいのかわからない。
「そんなに嫌だった? それなら、もう抱くのは止めるよ。でも、こうして顔を見て、触れるのは許してほしいけど」
ずるい。頬を優しくなでられて、そんな悲しげな目で見られたら、なんでもしてあげたくなってしまう。だって私は藤崎東吾の大ファンだから。
「嫌なんかじゃないです! 私が曲作りに協力すると言ったんだから、ここにいる間は藤崎さんの好きにしていいんですよ?」
そう言うと、藤崎さんは複雑な表情で、私の目もとにキスして、つぶやいた。
「でも、希をこんなふうに泣かせてまで抱きたいとは思わない。それに……」
藤崎さんは言うのをためらった後に続けた。
「君を抱かなくても、たぶん曲作りはできる。そばにいてくれるのなら。ただ僕が希を抱きたいだけなんだ」
そっか、性欲処理も兼ねてるんだ。
男の人だもんねー。
抱いた方が曲が浮かぶのかもしれないけど。
せっかくいびつな関係を止めるチャンスなのに、私は明るく笑って言ってしまった。
「別に抱いていいですよ。そもそも泣いてませんし。今はちょっと疲れて、あくびが出ただけです」
切なくても、やっぱり藤崎さんに抱かれたいんだなぁ。
他人事のように思って、私は苦笑した。
「希……」
藤崎さんは私を判断しかねたのか、途方に暮れたような顔をした。そんな顔を藤崎さんにさせてしまうのが申し訳なくて、その頬に手を当てて、私からキスをした。
藤崎さんは驚いて目を見開いた。
「いいんですよ。藤崎さんがしたいようにして」
「ありがとう」
ぎゅっと抱きしめられて、熱い口づけを落とされる。
あの藤崎東吾が曲のためとはいえ、私を求めてくれている。それを振り払うことなど、私にはできなかった。
私はそのキスに応えた。
しばらくして、藤崎さんが困ったように言った。
「……希、とりあえず、服を着て? 裸で好きにしていいとか言われると、さすがに抑えが効かなくなる。今は君を休ませてあげたいのに」
「わぁっ!」
私は慌てて身体を隠した。
顔が沸騰する。
藤崎さんがTシャツと短パンを渡してくれる。
くしゃっと私の髪をなでると、「シャワーでも浴びておいで」と言って、リビングを出ていった。
私はソファーの下に落ちてた下着と貸してもらった服を着て、ワンピースをたたむ。
そして、買ってもらった下着を持って、浴室に向かった。
洗面台にはこないだ買った歯ブラシが置いてあって、そんなささやかなことに喜びを感じる。
藤崎さんの生活の中に私がいる……。
結局、私は藤崎さんのそばにいるのがうれしいみたいだ。
シャワーを浴びて、スッキリする。
気分も一緒にスッキリして、さっきまでウジウジしてたのが一新した。
藤崎さんに優しくされるのはうれしい。
抱かれるのもうれしい。
曲ができるのもうれしい。
それでいいじゃない。
単純な話だわ。
うん、物事のいい面を見ないとね。
反対側には目をつぶって。
リビングに戻って、喉が乾いたので、冷蔵庫からミネラルウォーターをもらう。
ソファーでスマホを弄ってネットチェックをして時間を潰すことにした。
私がネットを見ていると、ほどなくして藤崎さんが戻ってきた。
「もうできたんですか?」
まだ一時間ぐらいしか経っていない。
びっくりして、問いかけた。
それに答えず、藤崎さんはソファーにいる私を引き寄せて、頬にキスを落とした。
眉をひそめて、私の髪をなでる。
「……君がまた泣いてないか、気になって気になって、集中できなかった」
耳もとでささやかれて、ドキッとする。
でも、深い溜め息をつく藤崎さんに、すぐ申し訳ない気持ちになった。
曲作りに協力すると言ったのに、邪魔をしてるみたいだ。
「だから、泣いてないですって! それに、シャワー浴びたらスッキリしました」
そう言って、微笑んでみせる。今度は本当にムリをしていない。
藤崎さんはじっと私を観察して、納得したように頷いた。
「僕は案外、君の涙に弱いみたいだ」
「じゃあ、なにかすごいお願いするときは泣いて頼むようにします」
私が冗談で言ったのに、藤崎さんは「そんなことされたら断れる気がしない……。頼むから、とんでもないお願いは止めてよ?」と本気で困った顔をする。
その顔が本当に情けない顔で、藤崎さんでもこんな顔をするんだと私は吹き出す。
「もう、冗談ですよー。変なお願いなんてしないですって」
「ほどほどのお願いなら、いくらでも聞いてあげるよ。プロモーションに駆り出してもいい。もちろん、事務所の許可は必要だけど」
「すごく有り難いですけど、あんまり仕事の融通を利かせてもらうと、変に勘ぐられても困るので……」
身体で仕事を取ったなんて思われるのは絶対嫌だ。
今でもかなり危ういところにいる気がするのに。
「そうか、下手に僕が動いたら、君に迷惑をかけるんだね……」
額に手を当て、また悲しげに藤崎さんがつぶやくから、私は急いで言葉を重ねた。
「迷惑なんて! 藤崎ファンとしては、早くアルバムを作ってくれたらそれでいいんです」
「アルバムね……。希の頭の中はそればかりだね。君の期待に応えられるように頑張るよ」
苦笑いして、藤崎さんはうなずいた。
早速、曲が浮かんだらしい。
曲作りのために抱かれているのだから、私に異論はない。
「もちろんです」
「その間、休んでてもいいし、風呂に入っててもいいよ。好きなようにしてていいから」
「はーい」
身繕いすると、藤崎さんはリビングを出ていった。
その後ろ姿を見送ると、深い溜め息が出た。
「はぁぁ……」
私はソファーで三角座りをして、膝に顔を埋めた。
まだ身体中に藤崎さんの感触が残っている。
自分にとってずっと特別だった人に抱かれるのって、意外と切ない。
役得だとは思う。あの藤崎東吾に抱かれるなんて。
うれしい気持ちもあるにはある。
でも、甘く優しくされると胸が痛い。契約の関係なのにと思ってしまって。
もっと不遜に、私の意志など構わず、奪ってくれたらよかったのに。
それとも淡々と抱かれたら、もっと割り切れたかな。
作曲のためだから、淡々としてたらダメなのか……。
ぽたっと脚に水滴が落ちた。
「……希? 泣いてるの?」
ふわっと全身を包むように抱きしめられた。
そっと目もとを拭って顔を上げると、心配そうな藤崎さんの顔が目の前にあった。
「藤崎さん? どうして?」
「パジャマ代わりの服を持ってきたんだ」
早く曲を作りたいはずなのに、私のことを考えてくれてたんだ。
申し訳なさと喜びの二重の感情が生まれ、どんな顔をしていいのかわからない。
「そんなに嫌だった? それなら、もう抱くのは止めるよ。でも、こうして顔を見て、触れるのは許してほしいけど」
ずるい。頬を優しくなでられて、そんな悲しげな目で見られたら、なんでもしてあげたくなってしまう。だって私は藤崎東吾の大ファンだから。
「嫌なんかじゃないです! 私が曲作りに協力すると言ったんだから、ここにいる間は藤崎さんの好きにしていいんですよ?」
そう言うと、藤崎さんは複雑な表情で、私の目もとにキスして、つぶやいた。
「でも、希をこんなふうに泣かせてまで抱きたいとは思わない。それに……」
藤崎さんは言うのをためらった後に続けた。
「君を抱かなくても、たぶん曲作りはできる。そばにいてくれるのなら。ただ僕が希を抱きたいだけなんだ」
そっか、性欲処理も兼ねてるんだ。
男の人だもんねー。
抱いた方が曲が浮かぶのかもしれないけど。
せっかくいびつな関係を止めるチャンスなのに、私は明るく笑って言ってしまった。
「別に抱いていいですよ。そもそも泣いてませんし。今はちょっと疲れて、あくびが出ただけです」
切なくても、やっぱり藤崎さんに抱かれたいんだなぁ。
他人事のように思って、私は苦笑した。
「希……」
藤崎さんは私を判断しかねたのか、途方に暮れたような顔をした。そんな顔を藤崎さんにさせてしまうのが申し訳なくて、その頬に手を当てて、私からキスをした。
藤崎さんは驚いて目を見開いた。
「いいんですよ。藤崎さんがしたいようにして」
「ありがとう」
ぎゅっと抱きしめられて、熱い口づけを落とされる。
あの藤崎東吾が曲のためとはいえ、私を求めてくれている。それを振り払うことなど、私にはできなかった。
私はそのキスに応えた。
しばらくして、藤崎さんが困ったように言った。
「……希、とりあえず、服を着て? 裸で好きにしていいとか言われると、さすがに抑えが効かなくなる。今は君を休ませてあげたいのに」
「わぁっ!」
私は慌てて身体を隠した。
顔が沸騰する。
藤崎さんがTシャツと短パンを渡してくれる。
くしゃっと私の髪をなでると、「シャワーでも浴びておいで」と言って、リビングを出ていった。
私はソファーの下に落ちてた下着と貸してもらった服を着て、ワンピースをたたむ。
そして、買ってもらった下着を持って、浴室に向かった。
洗面台にはこないだ買った歯ブラシが置いてあって、そんなささやかなことに喜びを感じる。
藤崎さんの生活の中に私がいる……。
結局、私は藤崎さんのそばにいるのがうれしいみたいだ。
シャワーを浴びて、スッキリする。
気分も一緒にスッキリして、さっきまでウジウジしてたのが一新した。
藤崎さんに優しくされるのはうれしい。
抱かれるのもうれしい。
曲ができるのもうれしい。
それでいいじゃない。
単純な話だわ。
うん、物事のいい面を見ないとね。
反対側には目をつぶって。
リビングに戻って、喉が乾いたので、冷蔵庫からミネラルウォーターをもらう。
ソファーでスマホを弄ってネットチェックをして時間を潰すことにした。
私がネットを見ていると、ほどなくして藤崎さんが戻ってきた。
「もうできたんですか?」
まだ一時間ぐらいしか経っていない。
びっくりして、問いかけた。
それに答えず、藤崎さんはソファーにいる私を引き寄せて、頬にキスを落とした。
眉をひそめて、私の髪をなでる。
「……君がまた泣いてないか、気になって気になって、集中できなかった」
耳もとでささやかれて、ドキッとする。
でも、深い溜め息をつく藤崎さんに、すぐ申し訳ない気持ちになった。
曲作りに協力すると言ったのに、邪魔をしてるみたいだ。
「だから、泣いてないですって! それに、シャワー浴びたらスッキリしました」
そう言って、微笑んでみせる。今度は本当にムリをしていない。
藤崎さんはじっと私を観察して、納得したように頷いた。
「僕は案外、君の涙に弱いみたいだ」
「じゃあ、なにかすごいお願いするときは泣いて頼むようにします」
私が冗談で言ったのに、藤崎さんは「そんなことされたら断れる気がしない……。頼むから、とんでもないお願いは止めてよ?」と本気で困った顔をする。
その顔が本当に情けない顔で、藤崎さんでもこんな顔をするんだと私は吹き出す。
「もう、冗談ですよー。変なお願いなんてしないですって」
「ほどほどのお願いなら、いくらでも聞いてあげるよ。プロモーションに駆り出してもいい。もちろん、事務所の許可は必要だけど」
「すごく有り難いですけど、あんまり仕事の融通を利かせてもらうと、変に勘ぐられても困るので……」
身体で仕事を取ったなんて思われるのは絶対嫌だ。
今でもかなり危ういところにいる気がするのに。
「そうか、下手に僕が動いたら、君に迷惑をかけるんだね……」
額に手を当て、また悲しげに藤崎さんがつぶやくから、私は急いで言葉を重ねた。
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