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最低な奴
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何でこいつは俺の心を掴んで離してくれないのだろう。
嬉しい言葉をくれるのだろう。
ホント、こいつのことが好きだ。
「ちょっと泣きすぎじゃない?泣きたいのはいきなり別れるとか言われた俺の方なんだけど」
よしよし、と頭と背中を撫でられている間も涙は止まらない。
奴の方に額を乗せているが、離れた方が拭く濡れなくて済むのではと提案したのに、濡れたって良いと言って離してくれない。
「すまん。止まらん」
「別に良いけど」
それから暫くそのままの状態が続き、やっと涙が止まったと思って顔を上げれば奴に笑われた。
「目が真っ赤じゃん。冷やさねぇと大変なことになるぜ」
「うっさいな。放っといてくれ」
「放っておいたら今回みたいに1人空回りするから放っておきません」
それに関しては否定できないな。
きっとあの場にこいつがいて、否定でもしていたら俺は今回のような別れ話をしようとは思わなかったしだろうし。
「で?別れませんけど、それで良いよな?」
「何だその否定は許しませんという問いかけは。まぁ、お前がそれで良いと言うのであれば俺はそれで良い」
こいつが俺と共にいて幸せを感じてくれるのなら。
家族は俺だけで良いとこいつが言うのなら、その間は俺はこいつの側に居たいと思う。
「にしても酷いよな、お前」
「何がだ」
「お前がここの宿に泊まりたいって言ってたの覚えてる?」
「は?」
そんなこといつ言ったんだ、俺。
「ほら、覚えてなかった。だと思ったんだよ。宿見ても何も言わねぇし、中の景色見ても風呂入っても食事しても一切気付かねぇ。知らねぇうちに今日1日だけで2回も逆ナンはされてるし、お前何なの」
「いや、逆ナンのことはよく分からんが、宿のことは本当にすまん」
だからこいつは俺のことを見てたし、こいつの趣味とは思えない宿だったわけだ。
俺の好きな宿だと思ったら俺が選んだからか。
本当に俺って最低な人間だな。
よくこんな最低人間と付き合ってくれるな、こいつ。
本当に良い奴過ぎて俺には勿体ないくらいだ。
他に譲る気はないが。
「ということはこの後のこともお前覚えてないかもな?」
「この後?」
何が待っているのだと思ったら、扉をノックされた。
誰だこんな遅くにやってくるとは。
宿の人だろうか。
嬉しい言葉をくれるのだろう。
ホント、こいつのことが好きだ。
「ちょっと泣きすぎじゃない?泣きたいのはいきなり別れるとか言われた俺の方なんだけど」
よしよし、と頭と背中を撫でられている間も涙は止まらない。
奴の方に額を乗せているが、離れた方が拭く濡れなくて済むのではと提案したのに、濡れたって良いと言って離してくれない。
「すまん。止まらん」
「別に良いけど」
それから暫くそのままの状態が続き、やっと涙が止まったと思って顔を上げれば奴に笑われた。
「目が真っ赤じゃん。冷やさねぇと大変なことになるぜ」
「うっさいな。放っといてくれ」
「放っておいたら今回みたいに1人空回りするから放っておきません」
それに関しては否定できないな。
きっとあの場にこいつがいて、否定でもしていたら俺は今回のような別れ話をしようとは思わなかったしだろうし。
「で?別れませんけど、それで良いよな?」
「何だその否定は許しませんという問いかけは。まぁ、お前がそれで良いと言うのであれば俺はそれで良い」
こいつが俺と共にいて幸せを感じてくれるのなら。
家族は俺だけで良いとこいつが言うのなら、その間は俺はこいつの側に居たいと思う。
「にしても酷いよな、お前」
「何がだ」
「お前がここの宿に泊まりたいって言ってたの覚えてる?」
「は?」
そんなこといつ言ったんだ、俺。
「ほら、覚えてなかった。だと思ったんだよ。宿見ても何も言わねぇし、中の景色見ても風呂入っても食事しても一切気付かねぇ。知らねぇうちに今日1日だけで2回も逆ナンはされてるし、お前何なの」
「いや、逆ナンのことはよく分からんが、宿のことは本当にすまん」
だからこいつは俺のことを見てたし、こいつの趣味とは思えない宿だったわけだ。
俺の好きな宿だと思ったら俺が選んだからか。
本当に俺って最低な人間だな。
よくこんな最低人間と付き合ってくれるな、こいつ。
本当に良い奴過ぎて俺には勿体ないくらいだ。
他に譲る気はないが。
「ということはこの後のこともお前覚えてないかもな?」
「この後?」
何が待っているのだと思ったら、扉をノックされた。
誰だこんな遅くにやってくるとは。
宿の人だろうか。
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