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穴があったら入りたい
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奴は微笑を浮かべながらドアの方へと向かい扉を開けると、そこには。
「よう、宝生。久方ぶりだな」
「こんばんは、遅くなったね」
アキと亮太がいた。
え、何でここに2人が居るんだ。
「ほら忘れてた。この間言ってただろ?皆に会いたいって」
そういえば奴の家に行ったときに宿のチラシを見ながらそんなこと言った気がする。
でもあれは何気なく呟いただけだった気がするんだが。
「言った……が」
「あれ?宝生君目が赤いけど大丈夫?」
亮太が心配してくれているのだが、俺は驚きすぎて頭がうまく働いてくれないぞ。
「これはこいつのせいだから気にすんな」
「そうなのだ、これは俺のせいなのだよ。だから気にするな、亮太」
奴、俺のためにこの宿を取り、2人をここに呼んでいたのか。
もう穴があったら入りたい。
誰か俺を隠してくれ。
「どうしたんだ?宝生は」
「放っておいて良いってアキちゃん。それより思ったより早かったね。さっきもっとかかるかもって言ってたじゃない?」
「事故渋滞が思いの外、すぐに解消されたんだ。なぁ、亮太」
「そうだね。もう少しかかるってナビに書いてあったんだよ」
部屋の端で丸まっていながらそれを聞いていたんだが、つまり外に出て連絡を取っていたのはこの2人だったというわけか。
俺の反応を確かめるために。
それから暫くして、久しぶりに4人で話したが、あの頃と大きく変わったことはなかった。
アキは相変わらず人に好かれているし、亮太は高校の頃から良い奴のままだし。
やっぱりこのメンバーでいると楽しいなと思っていたのだが、2人は明日バイトがあるということで今日のうちに帰ってしまうとか。
「もっと話がしたかったな……」
「また会えば良いじゃないか」
「そうだね。また会おう、宝生君」
「さっきまで壁とお友達になってたくせによく言うぜ、全く」
「それはもう言わないでくれ……」
奴の言うように暫くは壁とお友達で居たけども、それには触れないでくれ。
恥ずか死ねるではないか。
「仲が良いな、お前たちは」
「アキちゃんたちも仲良いでしょ」
「俺と亮太か?そうだな!」
爽やかにアキは答えたが、2人の言う仲が良いはあくまで友達としての仲が良いだ。
あの時から関係性が全く変わっていないのだな、とやり取りを聞くだけで分かる。
亮太も何も言えずに2人のやり取りを見てるだけでそれ以上の反応を示さないようにしているし。
「お、もう日付も変わっているな。それじゃ、またな2人とも」
「お邪魔しました」
「あぁ、またな」
「気をつけて帰れよ」
2人に手を振って部屋に戻れば、さっきまで賑わっていた部屋が一気に静まり返った。
「よう、宝生。久方ぶりだな」
「こんばんは、遅くなったね」
アキと亮太がいた。
え、何でここに2人が居るんだ。
「ほら忘れてた。この間言ってただろ?皆に会いたいって」
そういえば奴の家に行ったときに宿のチラシを見ながらそんなこと言った気がする。
でもあれは何気なく呟いただけだった気がするんだが。
「言った……が」
「あれ?宝生君目が赤いけど大丈夫?」
亮太が心配してくれているのだが、俺は驚きすぎて頭がうまく働いてくれないぞ。
「これはこいつのせいだから気にすんな」
「そうなのだ、これは俺のせいなのだよ。だから気にするな、亮太」
奴、俺のためにこの宿を取り、2人をここに呼んでいたのか。
もう穴があったら入りたい。
誰か俺を隠してくれ。
「どうしたんだ?宝生は」
「放っておいて良いってアキちゃん。それより思ったより早かったね。さっきもっとかかるかもって言ってたじゃない?」
「事故渋滞が思いの外、すぐに解消されたんだ。なぁ、亮太」
「そうだね。もう少しかかるってナビに書いてあったんだよ」
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俺の反応を確かめるために。
それから暫くして、久しぶりに4人で話したが、あの頃と大きく変わったことはなかった。
アキは相変わらず人に好かれているし、亮太は高校の頃から良い奴のままだし。
やっぱりこのメンバーでいると楽しいなと思っていたのだが、2人は明日バイトがあるということで今日のうちに帰ってしまうとか。
「もっと話がしたかったな……」
「また会えば良いじゃないか」
「そうだね。また会おう、宝生君」
「さっきまで壁とお友達になってたくせによく言うぜ、全く」
「それはもう言わないでくれ……」
奴の言うように暫くは壁とお友達で居たけども、それには触れないでくれ。
恥ずか死ねるではないか。
「仲が良いな、お前たちは」
「アキちゃんたちも仲良いでしょ」
「俺と亮太か?そうだな!」
爽やかにアキは答えたが、2人の言う仲が良いはあくまで友達としての仲が良いだ。
あの時から関係性が全く変わっていないのだな、とやり取りを聞くだけで分かる。
亮太も何も言えずに2人のやり取りを見てるだけでそれ以上の反応を示さないようにしているし。
「お、もう日付も変わっているな。それじゃ、またな2人とも」
「お邪魔しました」
「あぁ、またな」
「気をつけて帰れよ」
2人に手を振って部屋に戻れば、さっきまで賑わっていた部屋が一気に静まり返った。
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