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中は瓦礫の山で歩くのもやっとな状況だった。
それらを容易くかい潜って行く3人の姿に、職業柄、こういった場所は慣れなのだなと思った。
俺は身体も小さいし、こんな場所、学生の頃以外来たことがない。
学生の頃に行った場所だって、ここまで足場は悪くなったと思う。
「ルイ君、ここ危ないから抱っこしていい?」
急にエリックは振り返り、俺に向かって手を差し出してきた。
その先には到底子供の足では登れそうにない階段があり、フィリッポとロジェが勢いをつけて駆け上がっていく姿が見えた。
ここはエリックを頼った方が足手まといにはならなそうだ。
「頼むわ」
「うん。しっかり掴まっててね」
軽々と持ち上げられたことにショックを受けつつも、これは仕方ないことだと割り切るのだと自分に言い聞かせ、エリックのジャケットを握り締めた。
エリックは俺を見た後、いとも簡単なその階段を乗り越え、安全な所へと降ろしてくれた。
探偵は身軽さも重要なのか、大変だな、なんて思っていると先に屋上へ辿り着いていたフィリッポとロジェの声が聞こえてきた。
「これは………」
「何だこいつ?エリックみたいな変装してやがるな」
「ちょっと、僕が何?」
俺とエリックも彼らのいる場所へ瓦礫を乗り越えながら向かうと先程ロジェが使っていた手鏡を再びその場で使い、それを覗き込んでいた。
「いやな、ここにいた奴がお前みたいな仮面つけてフード被ってるんだよ」
「ふーん。あ、言っておくけど、格好は似てるけど僕ではないからね。その日はロジェさんと別件で依頼人の所へ行ってたし」
腕を組みながらエリックはそう言った。
俺からは鏡の中が見えないが、どうやらエリックの格好に似ている人物が写り込んでいたらしい。
それらを容易くかい潜って行く3人の姿に、職業柄、こういった場所は慣れなのだなと思った。
俺は身体も小さいし、こんな場所、学生の頃以外来たことがない。
学生の頃に行った場所だって、ここまで足場は悪くなったと思う。
「ルイ君、ここ危ないから抱っこしていい?」
急にエリックは振り返り、俺に向かって手を差し出してきた。
その先には到底子供の足では登れそうにない階段があり、フィリッポとロジェが勢いをつけて駆け上がっていく姿が見えた。
ここはエリックを頼った方が足手まといにはならなそうだ。
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探偵は身軽さも重要なのか、大変だな、なんて思っていると先に屋上へ辿り着いていたフィリッポとロジェの声が聞こえてきた。
「これは………」
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「ちょっと、僕が何?」
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「いやな、ここにいた奴がお前みたいな仮面つけてフード被ってるんだよ」
「ふーん。あ、言っておくけど、格好は似てるけど僕ではないからね。その日はロジェさんと別件で依頼人の所へ行ってたし」
腕を組みながらエリックはそう言った。
俺からは鏡の中が見えないが、どうやらエリックの格好に似ている人物が写り込んでいたらしい。
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