パパLOVE

卯月青澄

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それからも僕と彼女は何度もメールを交わした。

授業中も先生に隠れてメールをしたし、休み時間も飯田くんと彼女に気付かれないようにメールをした。

彼女も僕のメールの返信を隠れてしていた。

学食でも食べながら隠れてメールをした。

学校が終わってからも電車の中でメールをした。

芝居の練習や歌やダンスのレッスンの休憩時間の合間も彼女にメールをした。

メールの内容は学校や教室内で起きている噂話の話題や互いの好きな食べ物、好きな飲み物、好きなアーティスト、好きなテレビ番組、好きなYouTube、好きな映画、好きな小説、今何していると言ったようなものだった。

いくらでも話題はあった。

いくらでも聞きたいことはあった。

無限に彼女のことを知りたいと思った。

次の日からも毎日毎日メールをした。

日が経つにつれて互いのことを知り合えた。

互いの好きなこと嫌いなこと、彼女の感情や考え方、心の部分にも触れることが出来た。

知れば知るほど彼女を好きになっていった。

好きになればなるほどNである自分に嫉妬した。

僕だけど僕ではないNに嫉妬した。

僕と僕であるNは彼女が好きだった。

でも彼女が求めているのは僕ではなくNである僕…いや違う。

誰でもないNに彼女は惹かれている。

もし彼女が僕がNであることを知ってしまったら、彼女とNの関係は終わりを迎えてしまうかもしれない。

隣の席にいて、いつも一緒にいた僕がNだとわかったら裏切られたと思うかもしれない。

騙されたと思い嫌われてしまうかもしれない。

だから、絶対にバレてはいけない。

知られてはいけない。

また、彼女のことを知れば知るほど彼女との接し方に注意しなければならなかった。

Nが知っているけど僕が知らないこと。

僕が知っているけどNが知らないこと。

まぁ、僕が知っていることはNは殆んど知っていて、問題なのはNが知っていることを僕が知っていることで、僕が知り得ないことを会話の中で出さないようにすることだった。

Nにしか知らないことを僕が話したら矛盾が起こってしまう。

十分に注意する必要があった。

【あと2日で期末テストですね。何かわからないことはありませんか?】

夜の11時半。

2日後には1学期最後の期末テストが控えていた。
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