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アリスティア、ジルドアまで旅をする

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「アリスがついてきてくれるなら安心ね~。」

いよいよ出発3日前。
前日には盛大な出発式があるので、ゆっくりできるのは明日までだ。
直前の打ち合わせと称し、アーモンドの替わりにきな粉を使ったポルボローネを手土産にリーラお姉様のところに遊びに来ていた。
テーブル上にはミニチュアのような椅子がのせられ、ジュピが座って口いっぱいにポルボローネを頬張っている。

「とはいえ、まだまだ未熟ですが…みんなの助けもあるので頑張ります。」

「ふがひむばみひまむめもみひって」

「ジュピ様、それだと何を言っているかわかりませんわよ?」

ああ、口の中のものが飛びそうになってる…!
リーラお姉様に指摘されてやっとと口の中のものを飲み込んだジュピは得意顔をして、

「だから、そんなに心配いらないって~。アリスの力はだいぶ強くなってきてるし。僕らも全員で行くしさ~。」

「んー、そう?でも南のメルディア地方はまだ貧しい土地が多いから夜盗も出るし、それにまだ十分…土地の持つ力回復しきってないところがあるんでしょ?」

魔素、と言いそうになりながらも、そういえばこの話って言って大丈夫なんだっけ?と不安になりとりあえず濁す。

「まあね。でも魔宝珠があればなんとかなると思うよ~。」

と能天気なジュピ。

「精霊さまのお墨付きなら安心だわ~」

とほほ笑むリーラお姉様。

「それより、アリスは今回の旅行が終わったらどうするの?精霊さま6人と契約しているのであれば、早めに学院に通うことも可能なんじゃない?」

「そうですね…でもロミア様から何か指示があるかもしれませんから、学院に入ってしまうと身動きがとりにくそうだな~と…」

実は、最近ロミア様からの連絡が途絶えている。
結構腕によりをかけてお菓子作りをしているんだけど。
何かあったんだろうか。

「それもそうよね~。アリスには大事な使命があるから…その年で本当にしっかりしてるわね。」

「それほどでも…」

何せ、中身はリーラお姉様よりもずっと年上だ。
アラサー女子が8歳の中身となると、そりゃ達観しても見えるだろう。

「ちなみに、ルートは変更ないんですよね?」

「ええ、そのまま、メルディアを経由し、我が国南端からそのままジルドアに入って向こうの王都を目指すわ。どうして?」

「いえ、なんでもないです。」

実は、精霊たちから事前に「ここは気を付けて」と言われているところいくつかある。
その中でも特に問題なのが、先ほどから名前が出ている、南方メルディア地方の中央にある、精霊たちからは「闇刻の泉」と言われる大きな泉。
…予定では、現地ではミルトメルト湖と呼ばれているこの湖を、船で渡る予定なのだ。
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