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アリスティア、ジルドアまで旅をする
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そうして今日はリーラお姉様の出発式典。
王城に住む王族のほか、偉い大臣たちが皆正装して謁見の間に勢ぞろいしている。
右を向いても左を向いてもきらびやか。
我が国は他国と比べると貧乏なので、ちょっと古めかしい衣装の人も混じってはいるが、さすがは王族・貴族階級、という感じだ。
リーラお姉様は、ファルメディア式の婚礼衣装として、艶やかなシルク地の(ような)真っ白なマーメイドドレスに、赤い生地に金糸で豪奢な刺繍をされたたすきのようなものをかけている。
ふわふわとした栗色の髪を今日は結い上げ、精巧な細工の白金のティアラには瑠璃色の目に合わせて同色の宝石があしらわれている。
サファイヤかラピスラズリだろうか。
「以上をもちまして、婚姻報告及び出発の儀、全て終了とさせていただきます。」
よく謁見の間にいる一番偉そうな大臣がそう言って締めくくる。
「なんとお美しい」
「これでジルドアとは安泰でしょう」
「レナルド様も幸せ者ですな!」
リーラお姉様が周囲にお辞儀をすると皆拍手とともに口々に讃えている。
ちょっぴりセクシーな感じのマーメイドドレスでミスコンテストのような衣装のリーラお姉様。
普段のほわほわとした感じとのギャップもあり、私もすごくかわいいと思う。
このドレスは丁寧に保管され、ジルドアで結婚式を挙げる際にも使われる。
遠距離で見ることができない人のために、という配慮だそうだ。
逆にレナルド王子から我が国への挨拶については、私が転生する直前頃に済まされていたらしい。
とはいえ、謁見の間ってこんながやがやしていいものなんだなぁとちょっと驚いた。
このぐらいは目こぼされる程度に我が王家と臣下とが仲良く協力しながら国を支えてきたのだろう。
その後、晩餐会場でもリーラお姉様は皆から祝福の言葉をかけられ、幸せそうな様子だった。
装いは瞳の色に合わせ、朝焼けが始まる直前のような、神秘的な青色のドレス。
ふんわりしていて、リーラお姉様の魅力を最大限に引き出している。
ドーラ様はにこにことそれに寄り添い、祝いの言葉を受けていた。
王様はたびたび、目を潤ませていて、王妃様がそのフォローをしていた。
ドーラ様はこの後の道中も同伴するが、王様はほとんど今生の別れとなる。
色々思うことがあるのだろう。
この世界の通信手段は手紙だけ。
…魔素を使った通信網か、ビデオとか…無理ならせめて写真とか開発できないだろうか。
カメラの仕組みぐらいならチートで持ち込んだ本に載っていたはず…
旅の間に考えてみよう。
そうして、リーラお姉様がファルメディアで過ごす最後の夜が過ぎていくのだった。
王城に住む王族のほか、偉い大臣たちが皆正装して謁見の間に勢ぞろいしている。
右を向いても左を向いてもきらびやか。
我が国は他国と比べると貧乏なので、ちょっと古めかしい衣装の人も混じってはいるが、さすがは王族・貴族階級、という感じだ。
リーラお姉様は、ファルメディア式の婚礼衣装として、艶やかなシルク地の(ような)真っ白なマーメイドドレスに、赤い生地に金糸で豪奢な刺繍をされたたすきのようなものをかけている。
ふわふわとした栗色の髪を今日は結い上げ、精巧な細工の白金のティアラには瑠璃色の目に合わせて同色の宝石があしらわれている。
サファイヤかラピスラズリだろうか。
「以上をもちまして、婚姻報告及び出発の儀、全て終了とさせていただきます。」
よく謁見の間にいる一番偉そうな大臣がそう言って締めくくる。
「なんとお美しい」
「これでジルドアとは安泰でしょう」
「レナルド様も幸せ者ですな!」
リーラお姉様が周囲にお辞儀をすると皆拍手とともに口々に讃えている。
ちょっぴりセクシーな感じのマーメイドドレスでミスコンテストのような衣装のリーラお姉様。
普段のほわほわとした感じとのギャップもあり、私もすごくかわいいと思う。
このドレスは丁寧に保管され、ジルドアで結婚式を挙げる際にも使われる。
遠距離で見ることができない人のために、という配慮だそうだ。
逆にレナルド王子から我が国への挨拶については、私が転生する直前頃に済まされていたらしい。
とはいえ、謁見の間ってこんながやがやしていいものなんだなぁとちょっと驚いた。
このぐらいは目こぼされる程度に我が王家と臣下とが仲良く協力しながら国を支えてきたのだろう。
その後、晩餐会場でもリーラお姉様は皆から祝福の言葉をかけられ、幸せそうな様子だった。
装いは瞳の色に合わせ、朝焼けが始まる直前のような、神秘的な青色のドレス。
ふんわりしていて、リーラお姉様の魅力を最大限に引き出している。
ドーラ様はにこにことそれに寄り添い、祝いの言葉を受けていた。
王様はたびたび、目を潤ませていて、王妃様がそのフォローをしていた。
ドーラ様はこの後の道中も同伴するが、王様はほとんど今生の別れとなる。
色々思うことがあるのだろう。
この世界の通信手段は手紙だけ。
…魔素を使った通信網か、ビデオとか…無理ならせめて写真とか開発できないだろうか。
カメラの仕組みぐらいならチートで持ち込んだ本に載っていたはず…
旅の間に考えてみよう。
そうして、リーラお姉様がファルメディアで過ごす最後の夜が過ぎていくのだった。
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