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第21話 ②
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「じ、じゃあ、朝食の準備をしますね! 温室で待って貰っていいですか?」
「それは申し訳ない。俺も何か手伝いたいのだが」
「え? え? えっと、じゃあ、サラダに使う野菜とクラテールを採りに行くので、手伝って貰っていいですか?」
「わかった」
高位貴族のジルさんに野菜の収穫なんてさせちゃって良いのかな、と思いつつ、ジルさんは意外と土いじりが好きなのだと知っている私は、まあいっか、と考えを改める。
(ここにいる間だけでも、好きなことをして過ごして欲しいしね)
私はジルさんからコートを預かり、ハンガーに掛けると、奥の棚からエプロンを取り出した。
「ジルさん、服が汚れるといけないのでエプロンを付けて下さいね」
私が用意していたエプロンは、黒い首掛けタイプのもので丈が長く、腰紐を前で結ぶものだ。
「ああ、有難う、助かる」
ジルさんはエプロンを受け取るとバッと広げ、手際良く着用していく。
首に紐をかけ、後ろで腰紐をクロスさせキュッと縛り、腰紐を前に持ってくると器用に蝶結びをする。
腰紐の位置を浅目にしているのに、それでも足が長いってわかるのがすごい。しかも意外と腰が細くて驚いた。これは盲点である。
(……くっ……!! と、尊い……っ!! ヤバい……っ!!)
絶対似合うと思っていたけれど、予想以上に似合っていて直視するのが辛い。しかしジルさんは更に私を追い込んでいく。
ジルさんが白いシャツの袖を捲ると、綺麗な筋肉が付いた腕が現れた。いつもはきっちりとした騎士団の服を着ているので、全く肌の露出がない分、こんな風に露出されてしまうと、何とも言えない耐え難い気持ちになってしまう。
「すっ、すごく似合ってますねっ!! ジルさんみたいな格好良い店員さんがいたら毎日通っちゃいそうです!!」
……声が上擦ってしまったのは不可抗力だ。挙動不審になるのも仕方がない。全ては格好良すぎるジルさんのせいなのだ。
「む。そうか。似合っているのなら良かった」
「似合い過ぎです!!」
ジルさんは自分の容姿がどれだけ優れているのか全く理解していない。そこは自覚して欲しいと思うものの、ここで私が下手にアドバイスなんてして、ジルさんの魅力を令嬢達に知られてしまうのも嫌だ。
だから私はもう少しだけ、こんなラフで格好良いジルさんの姿を独り占めしたいと思う。
思わずジルさんのエプロン姿で一人フィーバーしてしまったけれど、ジルさんがお店に来てからまだ10分程しか経っていないことに驚いた。
10分間でこれだけ興奮しているのに……。このままでは早々に燃え尽きてしまう。
「ごほんっ! では、温室へ行きましょう!」
「うむ」
私は咳払いをして気持ちを切り替えると、ジルさんを伴い、温室の一区画で育てているラウケとバジリコを収穫する。
ラウケはセサミ風味の味と香りがするとても美味しいクラテールだ。主にサラダに使われることが多いけれど、炒めても美味しいしパスタに入れても美味しいからとても重宝している。
バジリコはさわやかで甘く、独特の芳香があるクラテールだ。ラウケと同じようにサラダに入れたり、ソースにして料理に使ったりピザに乗せたりと大活躍してくれるのだ。
「うむ。いい香りだな」
収穫するだけでクラテールの爽やかな香りが広がって、とても食欲を刺激される。
「この2つのクラテールとトマーテに、ブーファラのモッツァレッラを使ったサラダを作ろうと思うんですけど……苦手なものはないですか?」
「苦手なものは無いから大丈夫だ。……楽しみだな」
ジルさんが嬉しそうに微笑んだ。本当に楽しみなんだなってよくわかる笑顔だ。
クラテールを収穫し終え、キッチンに戻った私はパンに目玉焼き、ヴルストを焼いてお皿に盛り付ける。
その隣にサラダとヒューナーズッペを添えると、とても豪華な朝食になった。
「これは……すごく美味そうだ」
見かけによらず、食べるのが大好きなジルさんが目を輝かせている。その反応に私は心の中でガッツポーズをする。
「普段はもっと質素なんですけど、今日はジルさんが一緒なので張り切ってみました」
ちょっと自慢気に言っているけど、ヒューナーズッペは昨日の残りである。それでも野菜によく味が染みているから、昨日より美味しくなっていると思う。
* * * * * *
❀名前解説❀
カフェー→コーヒー
ケーゼ→チーズ
ケーゼトルテ→チーズケーキ
ラウケ→ルッコラ
バジリコ→バジル
トマーテ→トマト
ブーファラ→水牛の乳
モッツァレッラ→モッツアレラ
ヴルスト→ソーセージ
ヒューナーズッペ→チキンと野菜のスープ
「それは申し訳ない。俺も何か手伝いたいのだが」
「え? え? えっと、じゃあ、サラダに使う野菜とクラテールを採りに行くので、手伝って貰っていいですか?」
「わかった」
高位貴族のジルさんに野菜の収穫なんてさせちゃって良いのかな、と思いつつ、ジルさんは意外と土いじりが好きなのだと知っている私は、まあいっか、と考えを改める。
(ここにいる間だけでも、好きなことをして過ごして欲しいしね)
私はジルさんからコートを預かり、ハンガーに掛けると、奥の棚からエプロンを取り出した。
「ジルさん、服が汚れるといけないのでエプロンを付けて下さいね」
私が用意していたエプロンは、黒い首掛けタイプのもので丈が長く、腰紐を前で結ぶものだ。
「ああ、有難う、助かる」
ジルさんはエプロンを受け取るとバッと広げ、手際良く着用していく。
首に紐をかけ、後ろで腰紐をクロスさせキュッと縛り、腰紐を前に持ってくると器用に蝶結びをする。
腰紐の位置を浅目にしているのに、それでも足が長いってわかるのがすごい。しかも意外と腰が細くて驚いた。これは盲点である。
(……くっ……!! と、尊い……っ!! ヤバい……っ!!)
絶対似合うと思っていたけれど、予想以上に似合っていて直視するのが辛い。しかしジルさんは更に私を追い込んでいく。
ジルさんが白いシャツの袖を捲ると、綺麗な筋肉が付いた腕が現れた。いつもはきっちりとした騎士団の服を着ているので、全く肌の露出がない分、こんな風に露出されてしまうと、何とも言えない耐え難い気持ちになってしまう。
「すっ、すごく似合ってますねっ!! ジルさんみたいな格好良い店員さんがいたら毎日通っちゃいそうです!!」
……声が上擦ってしまったのは不可抗力だ。挙動不審になるのも仕方がない。全ては格好良すぎるジルさんのせいなのだ。
「む。そうか。似合っているのなら良かった」
「似合い過ぎです!!」
ジルさんは自分の容姿がどれだけ優れているのか全く理解していない。そこは自覚して欲しいと思うものの、ここで私が下手にアドバイスなんてして、ジルさんの魅力を令嬢達に知られてしまうのも嫌だ。
だから私はもう少しだけ、こんなラフで格好良いジルさんの姿を独り占めしたいと思う。
思わずジルさんのエプロン姿で一人フィーバーしてしまったけれど、ジルさんがお店に来てからまだ10分程しか経っていないことに驚いた。
10分間でこれだけ興奮しているのに……。このままでは早々に燃え尽きてしまう。
「ごほんっ! では、温室へ行きましょう!」
「うむ」
私は咳払いをして気持ちを切り替えると、ジルさんを伴い、温室の一区画で育てているラウケとバジリコを収穫する。
ラウケはセサミ風味の味と香りがするとても美味しいクラテールだ。主にサラダに使われることが多いけれど、炒めても美味しいしパスタに入れても美味しいからとても重宝している。
バジリコはさわやかで甘く、独特の芳香があるクラテールだ。ラウケと同じようにサラダに入れたり、ソースにして料理に使ったりピザに乗せたりと大活躍してくれるのだ。
「うむ。いい香りだな」
収穫するだけでクラテールの爽やかな香りが広がって、とても食欲を刺激される。
「この2つのクラテールとトマーテに、ブーファラのモッツァレッラを使ったサラダを作ろうと思うんですけど……苦手なものはないですか?」
「苦手なものは無いから大丈夫だ。……楽しみだな」
ジルさんが嬉しそうに微笑んだ。本当に楽しみなんだなってよくわかる笑顔だ。
クラテールを収穫し終え、キッチンに戻った私はパンに目玉焼き、ヴルストを焼いてお皿に盛り付ける。
その隣にサラダとヒューナーズッペを添えると、とても豪華な朝食になった。
「これは……すごく美味そうだ」
見かけによらず、食べるのが大好きなジルさんが目を輝かせている。その反応に私は心の中でガッツポーズをする。
「普段はもっと質素なんですけど、今日はジルさんが一緒なので張り切ってみました」
ちょっと自慢気に言っているけど、ヒューナーズッペは昨日の残りである。それでも野菜によく味が染みているから、昨日より美味しくなっていると思う。
* * * * * *
❀名前解説❀
カフェー→コーヒー
ケーゼ→チーズ
ケーゼトルテ→チーズケーキ
ラウケ→ルッコラ
バジリコ→バジル
トマーテ→トマト
ブーファラ→水牛の乳
モッツァレッラ→モッツアレラ
ヴルスト→ソーセージ
ヒューナーズッペ→チキンと野菜のスープ
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