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第6話 ①
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初めて育てたマイグレックヒェンが満開になったのが嬉しかった私は、鉢から切り取って花瓶に入れ、店に飾ることにした。
もちろん切り取った後の鉢は来年も花をつけるようにお世話している。
そしてジルさんにアルペンファイルヒェンの鉢植えをおすすめした日からしばらく、久しぶりにヴェルナーさんがお店にやって来た。
「やっほー! アンちゃん元気だった?」
ジルさんと違い軽い調子でやって来たヴェルナーさんは、店の中をキョロキョロと見渡している。
「いらっしゃいませ。そんなに見渡すほど広いお店じゃありませんよ。何かお探しですか?」
「いや、もしかして団長が来ているのかな、と思って」
ヴェルナーさんが言う団長とは言わずもがな、騎士団長のことだろう。
街の人が噂している騎士団長は超強いらしいので、さぞや屈強な大男なのだろうな、と想像する。
「そんな大層なご身分の方がこんな小さい店に来るわけ無いと思いますよ? もし行かれるなら、王宮の近くにある『プフランツェ』じゃないですか?」
王都でも王宮に近ければ近いほど土地代が高くなる。貴族の邸宅が多く集まるその一帯は貴族街と呼ばれ、貴族御用達の高級店が立ち並ぶという。
(一度は行ってみたい気がするけれど、きっと場違いなんだろうな)
「プフランツェ」はそんな貴族街にある、大きな生花店だ。花の種類も値段もうちとは比較にならないだろう。
「アンちゃんもそう思う? やっぱり俺の勘違いかもな」
「よくわかりませんけれど、騎士団の方ならジルさんと仰る方が時々いらっしゃいますよ」
「ん? ジル? そんな名前の奴いたっけなぁ……?」
私はジルさんの名前を出すけれど、ヴェルナーさんはジルさんを知らないようだ。
あんなに目立つ顔をしているのに知らないなんて、と思いつつ、きっと騎士団は人が多いのだろう、と結論づける。
「それで、今日はどんな花束をお求めですか?」
「あ、そうそう、今日は赤い花を中心に束ねて欲しいんだ」
ヴェルナーさんの注文に、今日花束を贈る相手は大人な女性なのかな、と想像する。
毎回注文する花のイメージが違うから、贈る人も毎回違うのかもしれない。
まあ、私には関係ないことだし恋愛は自由なので、人に迷惑さえかけなければ好きにすればいいけれど。
(そう考えたらジルさんは誠実だよね。病気の彼女のために花束を贈り続けているんだから……って、いけないいけない。今はお仕事中!)
私は雑念を取り払い、とにかくヴェルナーさんの注文をこなそうと花を選ぶことにする。
大人っぽい赤い花といえばローゼだけれど、ローゼだけでは面白くないので、濃いめのピンク色をしたガーベラを足して雰囲気を明るめにする。ピンクのガーベラでも芯は黒い品種なので、落ち着いた色合いとなっている。
全体的に重い雰囲気にならないように、クリーム色のリシアンサスを追加し、グリーンにブプレリウムを使う。ブプレリウムは軽やかな草姿と明るいライムグリーン色が可愛くて、どの花束にも合う優れものだ。
更に私はアクセントとしてヒペリカムを選ぶ。ヒペリカムは明るい茶色の実がついた植物で、花が咲いた後の実の方がよく使われる。
「お待たせしました。こんな感じで如何でしょう?」
「おお! 良いねぇ! 予想以上に素敵な花束だよ!」
ヴェルナーさんは私が作った花束をいたく気に入ってくれたらしく、お会計を済ませて花束を渡すと、私にお礼を言って颯爽と店から出ていった。
「有難うございました」
花束を贈る相手がヴェルナーさんの恋人なのか親兄弟なのかはわからないけれど、受けっ取った人が喜んでくれたら良いな、と思う。
それからしばらくお客さんの相手をし、閉店時間が近づいた頃、ジルさんがやって来た。
「いらっしゃいませ。……あれ? どうかされました?」
お店のドアを開けて、お店の中に入ってきたジルさんを見た私は驚いた。
もちろん切り取った後の鉢は来年も花をつけるようにお世話している。
そしてジルさんにアルペンファイルヒェンの鉢植えをおすすめした日からしばらく、久しぶりにヴェルナーさんがお店にやって来た。
「やっほー! アンちゃん元気だった?」
ジルさんと違い軽い調子でやって来たヴェルナーさんは、店の中をキョロキョロと見渡している。
「いらっしゃいませ。そんなに見渡すほど広いお店じゃありませんよ。何かお探しですか?」
「いや、もしかして団長が来ているのかな、と思って」
ヴェルナーさんが言う団長とは言わずもがな、騎士団長のことだろう。
街の人が噂している騎士団長は超強いらしいので、さぞや屈強な大男なのだろうな、と想像する。
「そんな大層なご身分の方がこんな小さい店に来るわけ無いと思いますよ? もし行かれるなら、王宮の近くにある『プフランツェ』じゃないですか?」
王都でも王宮に近ければ近いほど土地代が高くなる。貴族の邸宅が多く集まるその一帯は貴族街と呼ばれ、貴族御用達の高級店が立ち並ぶという。
(一度は行ってみたい気がするけれど、きっと場違いなんだろうな)
「プフランツェ」はそんな貴族街にある、大きな生花店だ。花の種類も値段もうちとは比較にならないだろう。
「アンちゃんもそう思う? やっぱり俺の勘違いかもな」
「よくわかりませんけれど、騎士団の方ならジルさんと仰る方が時々いらっしゃいますよ」
「ん? ジル? そんな名前の奴いたっけなぁ……?」
私はジルさんの名前を出すけれど、ヴェルナーさんはジルさんを知らないようだ。
あんなに目立つ顔をしているのに知らないなんて、と思いつつ、きっと騎士団は人が多いのだろう、と結論づける。
「それで、今日はどんな花束をお求めですか?」
「あ、そうそう、今日は赤い花を中心に束ねて欲しいんだ」
ヴェルナーさんの注文に、今日花束を贈る相手は大人な女性なのかな、と想像する。
毎回注文する花のイメージが違うから、贈る人も毎回違うのかもしれない。
まあ、私には関係ないことだし恋愛は自由なので、人に迷惑さえかけなければ好きにすればいいけれど。
(そう考えたらジルさんは誠実だよね。病気の彼女のために花束を贈り続けているんだから……って、いけないいけない。今はお仕事中!)
私は雑念を取り払い、とにかくヴェルナーさんの注文をこなそうと花を選ぶことにする。
大人っぽい赤い花といえばローゼだけれど、ローゼだけでは面白くないので、濃いめのピンク色をしたガーベラを足して雰囲気を明るめにする。ピンクのガーベラでも芯は黒い品種なので、落ち着いた色合いとなっている。
全体的に重い雰囲気にならないように、クリーム色のリシアンサスを追加し、グリーンにブプレリウムを使う。ブプレリウムは軽やかな草姿と明るいライムグリーン色が可愛くて、どの花束にも合う優れものだ。
更に私はアクセントとしてヒペリカムを選ぶ。ヒペリカムは明るい茶色の実がついた植物で、花が咲いた後の実の方がよく使われる。
「お待たせしました。こんな感じで如何でしょう?」
「おお! 良いねぇ! 予想以上に素敵な花束だよ!」
ヴェルナーさんは私が作った花束をいたく気に入ってくれたらしく、お会計を済ませて花束を渡すと、私にお礼を言って颯爽と店から出ていった。
「有難うございました」
花束を贈る相手がヴェルナーさんの恋人なのか親兄弟なのかはわからないけれど、受けっ取った人が喜んでくれたら良いな、と思う。
それからしばらくお客さんの相手をし、閉店時間が近づいた頃、ジルさんがやって来た。
「いらっしゃいませ。……あれ? どうかされました?」
お店のドアを開けて、お店の中に入ってきたジルさんを見た私は驚いた。
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