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第六章
第十話 喧嘩のバーゲンセール
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~大気釈迦流視点~
「芝の場合はトウカイテイオー、砂の場合はハルウララが予想される。芝なら問題ないが、砂の場合は一気に勝率が下がってしまうな。課題としては、万が一にでも、砂だった場合でも、東海帝王とハルウララのコンビに勝てる作戦を考えなければならない」
空中ディスプレイに表示されている画面を覗き込みながら、俺は対東海帝王戦を試行錯誤していた。
芝の場合は、共に中距離が得意だ。差が出るとすれば、アビリティと騎手としての力量だろう。だが、やつのこれまで使用したアビリティは、一応頭の中に入っている。新しくアビリティを購入していない限りは、ある程度のパターンは絞り込むことができそうだな。
「芝の場合は、勝率95パーセント、砂の場合は勝率63パーセントと言ったところか。やっぱり、適性が低いことへのハンデはでかい。今更他の霊馬を召喚したところで、また作戦を練り直す必要もあるし、やはりいかにしてエアシャカールで勝つかを考えなければならない」
ブツブツと独り言を漏らしながら時間を確認する。すると、そろそろ見回りの時間となっていた。
「さてと、今日も学園の平和を守るために巡回と行くか」
風紀委員の部屋を出ると、廊下を歩く。すると、生徒たちが群がっているのが視界に入る。
何か揉め事か? いや、確か今日は皐月賞への出走メンバーが発表される日だったな。
それを見に来たのだろう。
「おい、アレを見ろよ。鬼の風紀委員だ!」
「逃げろ! 捕まったら罰則と称して金を巻き上げられるぞ!」
俺の姿を見るなり、男子生徒のほとんどが逃げて行く。残ったのは一部の男子生徒と女子生徒たちだ。
噂と言うのは尾鰭が付くものだが、いったいいつ! 俺が罰則に乗じて生徒から金を巻き上げていることになる!
ため息を吐きたい気持ちになり、廊下にある電子掲示板へと向かい、内容を確認する。
やっぱり、皐月賞出走メンバーだったか。各学園の選ばれた霊馬騎手の名前を確認する。
俺の名前が載っていた。まぁ、当然と言えば当然だろう。俺はクラシック二冠を達成したエアシャカールと契約を結んでいる。皐月賞に選ばれるのは明白だ。
さて、他に知っている奴らは?
他に知人が居ないか名前を確認すると、黄金の破天荒船の名前が記されてあった。
「やつが皐月賞に出るだと!」
俺は思わず声を上げる。
馬に関しては全く接点がないが、霊馬騎手である俺は、あいつとはある意味因縁の仲だ。
まさか、あいつとも戦うことになるとはな。
だが、中学の時の決着を霊馬競馬で決めると言うのも悪くない。
他には、知り合いはいるだろうか。
そう思い、他の名前を見る。18名に選ばれた人物に、周滝音は居なかった。その代わりに東海帝王の名はある。
それを見た俺はニヤリと口角を上げる。
これで俺から勝負を挑む必要性がなくなった。皐月賞まで待ち、そこで勝負をすれば、俺の勝率が高い状態となる。
出走メンバーの名前を暗記し、これから出走するであろう名馬の洗い出しを行おうと決めたところで、女子生徒を引き連れた黒髪の男子生徒がこちらに向かっていた。
男の頭に覆い被さるように、競走馬のヌイグルミが載っている。
「東海帝王か。お前、皐月賞の出走メンバーを見たか?」
「いや、これから見ようとしたところだ」
「そうか。お前の二つ名は載っていた。そして俺のもな」
俺たちの名前が載っていることを告げると、彼の表情は少しだけ険しくなる。
「悪いが、皐月賞は俺が95パーセントの確率で勝たせてもらう」
「95パーセントか。それなら一層のこと、100パーセントと言えば良いのに」
「バカを言うな。どんな強者であろうと、ゴール板を駆け抜けるまでは何が起きるか分からない。それが霊馬競馬だ。100パーセントなんて言うやつは愚か者の言うセリフだ。賢者であれば、例え0.1パーセントであっても、己が敗北する可能性を考慮して、限りなく100パーセントに近付けるように努力するものだ」
『敵ながら格好良いことを言うね。でも、その0.1パーセントの確率を潜り抜けて勝つのが帝王だから。だから、君のその努力も泡となって消えるよ』
俺が決め台詞を言うと、ハルウララは言い返して来た。
面白い。本当に俺の計算を狂わせられるのであれば、狂わせてもらいたものだ。
「言っておくが、今回の皐月賞、俺だけではない。黄金の破天荒船にも気を付けることだな」
捨て台詞を吐き、俺はこの場を去る。
そしてその日の放課後、俺は用事で学園を出ていた。
その理由は、一通の手紙だ。ハートのシールが貼ってあり手紙には『あなたに会って、話したいことがあります。どうかここに来てください』と書かれ住所も書かれてあった。
だが、この手紙、一見ラブレターのようにも見えるが、これはラブレターなどではない。
執筆の文字は女性らしい丸みを帯びているものではなく、男のように大胆に書き殴られた文面だった。そして指定されてある場所にも問題がある。
指定された場所は、現在廃ビルとなって一般人は立ち入り禁止となっている場所だ。
どこからどう見ても果し状。最悪の場合、一対一ではなく、一対複数のケンカのバーゲーセールの可能性だってあり得る。
こんな物を寄越すのは、俺の知る限りあいつぐらいだ。今回のこの果し状は、あの男が出したのだろう。
目的地である建物の前に辿り着き、中に入る。
最初は薄暗かったが、目の細胞が切り替わったようで、視界が次第に環境に適応して見えるようになってきた。
そのまま奥に進むと広い部屋に出た。
そこには、複数の柄の悪い人がおり、どこからどう見ても不良の溜まり場だった。そして柱には、1人の女子生徒が括り付けられていた。
「おい、貴様誰だよ。誰に許可を得てこの場所にやって来た?」
「俺は招待状を頂いたからここに来た。どうやら、バーゲンセールの会場のようだな」
「はぁ? バーゲーンセール? こいつ覚醒剤でも使って頭がおかしくなっているのか? 面倒臭いやつが入って来やがったなぁ! おい、てめーら! このピアス野郎を追い出せ!」
柄の悪い男が声を上げると、部屋の中に居た男たちが俺に距離を詰めて来た。
「ケンカのバーゲーンセールの始まりだな。悪いが勝者と言う名の商品は、俺が掻っ攫っていくぜ」
「芝の場合はトウカイテイオー、砂の場合はハルウララが予想される。芝なら問題ないが、砂の場合は一気に勝率が下がってしまうな。課題としては、万が一にでも、砂だった場合でも、東海帝王とハルウララのコンビに勝てる作戦を考えなければならない」
空中ディスプレイに表示されている画面を覗き込みながら、俺は対東海帝王戦を試行錯誤していた。
芝の場合は、共に中距離が得意だ。差が出るとすれば、アビリティと騎手としての力量だろう。だが、やつのこれまで使用したアビリティは、一応頭の中に入っている。新しくアビリティを購入していない限りは、ある程度のパターンは絞り込むことができそうだな。
「芝の場合は、勝率95パーセント、砂の場合は勝率63パーセントと言ったところか。やっぱり、適性が低いことへのハンデはでかい。今更他の霊馬を召喚したところで、また作戦を練り直す必要もあるし、やはりいかにしてエアシャカールで勝つかを考えなければならない」
ブツブツと独り言を漏らしながら時間を確認する。すると、そろそろ見回りの時間となっていた。
「さてと、今日も学園の平和を守るために巡回と行くか」
風紀委員の部屋を出ると、廊下を歩く。すると、生徒たちが群がっているのが視界に入る。
何か揉め事か? いや、確か今日は皐月賞への出走メンバーが発表される日だったな。
それを見に来たのだろう。
「おい、アレを見ろよ。鬼の風紀委員だ!」
「逃げろ! 捕まったら罰則と称して金を巻き上げられるぞ!」
俺の姿を見るなり、男子生徒のほとんどが逃げて行く。残ったのは一部の男子生徒と女子生徒たちだ。
噂と言うのは尾鰭が付くものだが、いったいいつ! 俺が罰則に乗じて生徒から金を巻き上げていることになる!
ため息を吐きたい気持ちになり、廊下にある電子掲示板へと向かい、内容を確認する。
やっぱり、皐月賞出走メンバーだったか。各学園の選ばれた霊馬騎手の名前を確認する。
俺の名前が載っていた。まぁ、当然と言えば当然だろう。俺はクラシック二冠を達成したエアシャカールと契約を結んでいる。皐月賞に選ばれるのは明白だ。
さて、他に知っている奴らは?
他に知人が居ないか名前を確認すると、黄金の破天荒船の名前が記されてあった。
「やつが皐月賞に出るだと!」
俺は思わず声を上げる。
馬に関しては全く接点がないが、霊馬騎手である俺は、あいつとはある意味因縁の仲だ。
まさか、あいつとも戦うことになるとはな。
だが、中学の時の決着を霊馬競馬で決めると言うのも悪くない。
他には、知り合いはいるだろうか。
そう思い、他の名前を見る。18名に選ばれた人物に、周滝音は居なかった。その代わりに東海帝王の名はある。
それを見た俺はニヤリと口角を上げる。
これで俺から勝負を挑む必要性がなくなった。皐月賞まで待ち、そこで勝負をすれば、俺の勝率が高い状態となる。
出走メンバーの名前を暗記し、これから出走するであろう名馬の洗い出しを行おうと決めたところで、女子生徒を引き連れた黒髪の男子生徒がこちらに向かっていた。
男の頭に覆い被さるように、競走馬のヌイグルミが載っている。
「東海帝王か。お前、皐月賞の出走メンバーを見たか?」
「いや、これから見ようとしたところだ」
「そうか。お前の二つ名は載っていた。そして俺のもな」
俺たちの名前が載っていることを告げると、彼の表情は少しだけ険しくなる。
「悪いが、皐月賞は俺が95パーセントの確率で勝たせてもらう」
「95パーセントか。それなら一層のこと、100パーセントと言えば良いのに」
「バカを言うな。どんな強者であろうと、ゴール板を駆け抜けるまでは何が起きるか分からない。それが霊馬競馬だ。100パーセントなんて言うやつは愚か者の言うセリフだ。賢者であれば、例え0.1パーセントであっても、己が敗北する可能性を考慮して、限りなく100パーセントに近付けるように努力するものだ」
『敵ながら格好良いことを言うね。でも、その0.1パーセントの確率を潜り抜けて勝つのが帝王だから。だから、君のその努力も泡となって消えるよ』
俺が決め台詞を言うと、ハルウララは言い返して来た。
面白い。本当に俺の計算を狂わせられるのであれば、狂わせてもらいたものだ。
「言っておくが、今回の皐月賞、俺だけではない。黄金の破天荒船にも気を付けることだな」
捨て台詞を吐き、俺はこの場を去る。
そしてその日の放課後、俺は用事で学園を出ていた。
その理由は、一通の手紙だ。ハートのシールが貼ってあり手紙には『あなたに会って、話したいことがあります。どうかここに来てください』と書かれ住所も書かれてあった。
だが、この手紙、一見ラブレターのようにも見えるが、これはラブレターなどではない。
執筆の文字は女性らしい丸みを帯びているものではなく、男のように大胆に書き殴られた文面だった。そして指定されてある場所にも問題がある。
指定された場所は、現在廃ビルとなって一般人は立ち入り禁止となっている場所だ。
どこからどう見ても果し状。最悪の場合、一対一ではなく、一対複数のケンカのバーゲーセールの可能性だってあり得る。
こんな物を寄越すのは、俺の知る限りあいつぐらいだ。今回のこの果し状は、あの男が出したのだろう。
目的地である建物の前に辿り着き、中に入る。
最初は薄暗かったが、目の細胞が切り替わったようで、視界が次第に環境に適応して見えるようになってきた。
そのまま奥に進むと広い部屋に出た。
そこには、複数の柄の悪い人がおり、どこからどう見ても不良の溜まり場だった。そして柱には、1人の女子生徒が括り付けられていた。
「おい、貴様誰だよ。誰に許可を得てこの場所にやって来た?」
「俺は招待状を頂いたからここに来た。どうやら、バーゲンセールの会場のようだな」
「はぁ? バーゲーンセール? こいつ覚醒剤でも使って頭がおかしくなっているのか? 面倒臭いやつが入って来やがったなぁ! おい、てめーら! このピアス野郎を追い出せ!」
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