ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

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第七章

第十話 サウザーの正体っていったいなんなんだ?

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~フェルディナン視点~



「ぎゃあああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 俺ことフェルディナンは、悲鳴を上げながら上体を起こした。

「どうやら目が覚めたようだな」

 隣からサウザーの声が聞こえると、横を見る。隣には執事の格好をした七十代の老人がおり、木の枝を焚き火に放り投げていた。

「サウザー、ここはどこだ?」

「三番エリアの洞窟の中だ。お主が気を失った後、ここまで運んできた」

「三番エリアだと! クイーンフレイヤーとジャドーミストレスはどうした!」

「お主が気を失った後、興味をなくしたみたいでな。二匹ともどこかに飛んで行った」

 サウザーの言葉に、俺は耳を疑った。

 モンスターが俺を見逃しただと!

 そんなことあり得ない。クイーンフレイヤーなら万が一考えられるが、ジャドーミストレスの方は執着心が強い。一度獲物と決めた相手は、こときれるまで甚振いたぶる。龍の女帝に標的とされれば、どちらかが死ぬまで闘争することになる。

 つまり、俺が気を失った後に、サウザーが追い返した。それか倒したかの二択だ。

 この爺さんいったい何者なんだ?

「サウザー、お前、いったい何者なんだ?」

「言ったであろう。ワシはとあるお方にお仕えしている執事だと」

「それは知っている! 俺が知りたいのはそれ以外のことだ! 本当のお前は何者で、仕えているとある方とは誰なんだ!」

 声を上げて叫んだ瞬間、サウザーは刃のように鋭い視線を俺に向けてくる。

「度を過ぎた好奇心は身を滅ぼすぞ。そんなに死に急ぎたいのなら話してやっても良いが、明日の太陽を拝むことはないと思え」

 いつもよりも低い声で言うサウザーの姿に、異様な雰囲気を感じた。

 やつは本気だ。これ以上深入りをすれば、俺の命が狩られる。

「わ、分かった。これ以上は何も聞かない」

「聞き分けの良い小僧で助かる。ムダな殺生は極力したくないのでな」

 サウザーはゆっくり立ち上がると、俺を見る。

「そろそろ出発するとしよう。今度はあのメスどもと出逢いたくないものだ」

「それは俺も同感だ。あいつらに出会でくわしたら、今度こそやられるだろうからな」

 俺も立ち上がると、洞窟の中を歩き始める。

 洞窟は三番エリアと四番エリアに分かれており、この洞窟を抜けなければならない。

 この洞窟なら、龍の女王と龍の女帝は入って来ることはない。問題は洞窟の抜けた先だな。

 緊張で心臓の鼓動が早くなる中、俺たちは洞窟の中を突き進む。

 結局洞窟内では小型モンスターと出会すこともなく、五番エリアに到達することができた。

「五番エリアの崖からは、二匹の龍と戦った荒野を見渡すことができる。

 うん? あれは旅人か? ローブを着ているから容姿が分からないな。

 二番エリアに人が歩いているのがここから分かった。

 こんなところを護衛も付けずに歩くなんて自殺行為だな。何かモンスターを引き寄せないアイテムでも持っているのか? まぁ、そんなことはどうでもいい。俺には関係ないことだからな。

 二番エリアに現れた旅人を気にすることなく、俺は更に進む。そして九番エリアに到達した。

「この坂を登れば神殿のある十番エリアだ」

「この先に神殿があるんだな」

 俺は周囲を見渡す。

 九番エリアには神殿を守護するモンスターがいるって言う話だった。だが、そのようなモンスターは見当たらない。

「こいつはラッキーだな。どうやら守護モンスターは暇すぎて散歩にでも行っているみたいだ」

 どうやら俺はついているようだ。守護モンスターがどんなやつなのか気になるが、いないのならしょうがない。

 このまま十番エリアにある神殿に行ってやる。そうすれば、リュシアンに依頼を委託しなくても、俺が依頼を達成することが可能だ。

 超高難易度の依頼をギルドマスターが達成したと言う話が広まれば、信頼を失った俺のギルドは一気に回復することになるだろう。

 俺は口角を上げた。

「気持ち悪い笑みをするではない。油断大敵だぞ」

「ハハハ! サウザーは心配性だな。十番エリアに行こうとした途端に、モンスターが現れるなんてことはない」

 自信満々に言うと、俺は十番エリアに繋がる道に向かう。

『キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェェェェェェェェェェェェェ!』

 上空から鳴き声が聞こえ、俺は顔を上げた。そこには巨大な鳥が飛翔している。そして鋭い爪がある足を俺たちに向け、急降下してきた。

「まさかこいつが神殿を守護するモンスター!」

 俺は後に飛ぶように跳躍し、そのまま前転をして起き上がった。

『キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェェェェェェェェェェェェェ!』

 モンスターを見ると、やつは十番エリアに繋がる道の前に立ち、両翼を広げて鳴き声を上げていた。

 モンスターの言葉なんて理解できないが、ここは通さないと訴えていることは雰囲気で分かる。

「赤い羽毛に鋭い嘴、そしてドラゴンのような翼! 間違いない! 神殿を守護するモンスター、ラープロテクション!」

 突然現れたモンスターの名をサウザーが叫ぶ。

「やっぱりこいつが守護モンスターだったってわけか。まぁいい。現れたのなら最初の予定どおり、どれだけやばいのか試させてもらう!」

 俺は大剣を鞘から抜く。そして構えながら守護モンスターである、ラープロテクションに突っ込んだ。











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