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第一章『俺がCランク冒険者へと成り上がるまで』
19 負傷
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着地するや否や、リリィが駆け寄って来た。
「ん、どうだった」
「ああ、かなり良い感じに戦っていたよ。このまま勝ってしまうんじゃないかってくらいにはな」
「でもそれだとノアの冒険者ランクが上がらない」
「確かにそうだが、皆が無事に帰れるならそれが一番良い。俺のランク昇格はまた別の機会にやればいいさ」
リリィの言う通り、このまま彼らがドレッドオロチを討伐すれば俺の活躍は認められず、ランクが上がることも無いだろう。
けどそれならそれで、ギルドマスターからまた別のクエストを受ければ良い。
結局、犠牲が出ないのが一番なんだからな。
「ま、待ってください……!」
リリィに続いてケアリーも駆け寄ってきた。
「ケアリーさん? どうされました?」
「どうも何も、今のは一体何なのですか……!? それだけの荷物を持ったままあの高さまで跳ぶなど、ありえるはずが……!」
「そう言われましても……」
ケアリーはかなり驚いているようだった。
とは言え、ありえるはずが無いと言われた所で俺の身体能力が人間離れしていることに変わりは無い。
そういう物だと納得してもらうしか無いだろう。
――と、その時だった。
「ケアリー! 回復魔法だ!!」
回復魔法を求むデュークの叫びが、辺りに響き渡ったのだった。
「わ、分かりました……! 慈悲深き我が神よ。我らを癒したまえ……エリアヒール!」
ケアリーが回復魔法によって生み出されたであろう光の束を前方へと飛ばす。
恐らくは範囲回復魔法だろう。
熟練の聖職者にしか使えないと聞くし、こうして実際に見るのは初めてだ。
それにしてもデュークのあの焦り方……どう考えてもただ事じゃない。
俺が着地してから今までの間に一体何が……
「クソッ……まさかこんなことになるなんて……! おい、そこの荷物持ち! アレンを運ぶのを手伝え!」
「ッ!? わ、分かりました!」
デュークの指示に従い、俺はすぐさま駆け出した。
よりにもよってアレンが負傷してしまったらしい。
盾役である彼が負傷したとなると、もう前線を維持することは出来ない。
すぐにでも逃げた方が良いだろう。
とは言え、これがもし軽装備のエルシーだったなら一撃で死んでいた可能性だってある。
負傷したのが彼だったのはせめてもの幸いと言うべきなのかもしれないな……。
「助かったぞケアリー! ふぅ、これでひとまず首の皮一枚繋がったか……」
「デュークさん、アレンさんの状態は?」
「ケアリーの回復魔法のおかげで辛うじて息はある。けど、長くは持ちそうにねえ」
デュークの言葉通り、アレンは今なお頭から血を流していた。
それに意識も無いようだ。
このままだと出血量が多すぎて間違いなく死ぬだろう。
すぐにでも安静にしないと不味いなこれは。
「それならアレンさんは俺に任せて、二人は奴の気を引いていてください」
そう言って俺はアレンを担ごうとする。
彼らがドレッドオロチの気を引いている内に、少しでもアレンを遠くへと運ぼうと言う訳だ。
しかしその瞬間、デュークとエルシーの二人は揃って口を開いた。
「はぁっ!? 馬鹿かアンタは! 全身を金属装備で包むアレンがFランク一人で持ち運べるわけ無ぇだろ!!」
「そうよ! 一体何十キロあると思ってるの!? こんな時に冗談言うとかありえないんだけど!!」
中々の言いようだが、言っていることは正しい。
いや、正確には「今までの俺であれば正しかった」だろうか。
とは言え今はそれを訂正している場合でも無い。
ここは強引にでも彼を連れて行こう。
「なっ!? ア、アンタ……一体どうやって……」
「話は後です。今は何よりも彼の命を優先しましょう」
「チッ、何で俺がアンタなんかの指図を……」
「いいじゃんそんな事! 今はアレンの命の方が大事だよ!」
「はぁ……分かった。いいか、絶対に落とすなよ。もしアレンを殺したらただじゃおかねえからな」
エルシーの言葉が効いたのか、デュークとエルシーの二人はドレッドオロチの方へと向かって行った。
盾役がいない以上、長くはもたないかもしれない。
それでも彼を安全な場所まで運ぶだけなら充分だろう。
「ケアリーさん、一旦撤退します! 着いて来てください!」
「貴方それ……担いで……え?」
アレンを担いで走っている俺の姿を見たケアリーはその場で固まってしまった。
不味いな。
聖職者の彼女が一緒に来てくれないと回復が……
「ん、心配ない。私が運ぶ」
「リ、リリィさん!?」
「おぉ! ナイスだリリィ!」
リリィはケアリーを担ぎ上げ、俺の隣まで走って来た。
そう言えば彼女には上級肉体強化もあったんだ。
これくらいならお手の物ってことだな。
――と、リリィの活躍もあり、ひとまず俺たち4人は無事に安全そうな場所まで撤退出来たのだった。
「ん、どうだった」
「ああ、かなり良い感じに戦っていたよ。このまま勝ってしまうんじゃないかってくらいにはな」
「でもそれだとノアの冒険者ランクが上がらない」
「確かにそうだが、皆が無事に帰れるならそれが一番良い。俺のランク昇格はまた別の機会にやればいいさ」
リリィの言う通り、このまま彼らがドレッドオロチを討伐すれば俺の活躍は認められず、ランクが上がることも無いだろう。
けどそれならそれで、ギルドマスターからまた別のクエストを受ければ良い。
結局、犠牲が出ないのが一番なんだからな。
「ま、待ってください……!」
リリィに続いてケアリーも駆け寄ってきた。
「ケアリーさん? どうされました?」
「どうも何も、今のは一体何なのですか……!? それだけの荷物を持ったままあの高さまで跳ぶなど、ありえるはずが……!」
「そう言われましても……」
ケアリーはかなり驚いているようだった。
とは言え、ありえるはずが無いと言われた所で俺の身体能力が人間離れしていることに変わりは無い。
そういう物だと納得してもらうしか無いだろう。
――と、その時だった。
「ケアリー! 回復魔法だ!!」
回復魔法を求むデュークの叫びが、辺りに響き渡ったのだった。
「わ、分かりました……! 慈悲深き我が神よ。我らを癒したまえ……エリアヒール!」
ケアリーが回復魔法によって生み出されたであろう光の束を前方へと飛ばす。
恐らくは範囲回復魔法だろう。
熟練の聖職者にしか使えないと聞くし、こうして実際に見るのは初めてだ。
それにしてもデュークのあの焦り方……どう考えてもただ事じゃない。
俺が着地してから今までの間に一体何が……
「クソッ……まさかこんなことになるなんて……! おい、そこの荷物持ち! アレンを運ぶのを手伝え!」
「ッ!? わ、分かりました!」
デュークの指示に従い、俺はすぐさま駆け出した。
よりにもよってアレンが負傷してしまったらしい。
盾役である彼が負傷したとなると、もう前線を維持することは出来ない。
すぐにでも逃げた方が良いだろう。
とは言え、これがもし軽装備のエルシーだったなら一撃で死んでいた可能性だってある。
負傷したのが彼だったのはせめてもの幸いと言うべきなのかもしれないな……。
「助かったぞケアリー! ふぅ、これでひとまず首の皮一枚繋がったか……」
「デュークさん、アレンさんの状態は?」
「ケアリーの回復魔法のおかげで辛うじて息はある。けど、長くは持ちそうにねえ」
デュークの言葉通り、アレンは今なお頭から血を流していた。
それに意識も無いようだ。
このままだと出血量が多すぎて間違いなく死ぬだろう。
すぐにでも安静にしないと不味いなこれは。
「それならアレンさんは俺に任せて、二人は奴の気を引いていてください」
そう言って俺はアレンを担ごうとする。
彼らがドレッドオロチの気を引いている内に、少しでもアレンを遠くへと運ぼうと言う訳だ。
しかしその瞬間、デュークとエルシーの二人は揃って口を開いた。
「はぁっ!? 馬鹿かアンタは! 全身を金属装備で包むアレンがFランク一人で持ち運べるわけ無ぇだろ!!」
「そうよ! 一体何十キロあると思ってるの!? こんな時に冗談言うとかありえないんだけど!!」
中々の言いようだが、言っていることは正しい。
いや、正確には「今までの俺であれば正しかった」だろうか。
とは言え今はそれを訂正している場合でも無い。
ここは強引にでも彼を連れて行こう。
「なっ!? ア、アンタ……一体どうやって……」
「話は後です。今は何よりも彼の命を優先しましょう」
「チッ、何で俺がアンタなんかの指図を……」
「いいじゃんそんな事! 今はアレンの命の方が大事だよ!」
「はぁ……分かった。いいか、絶対に落とすなよ。もしアレンを殺したらただじゃおかねえからな」
エルシーの言葉が効いたのか、デュークとエルシーの二人はドレッドオロチの方へと向かって行った。
盾役がいない以上、長くはもたないかもしれない。
それでも彼を安全な場所まで運ぶだけなら充分だろう。
「ケアリーさん、一旦撤退します! 着いて来てください!」
「貴方それ……担いで……え?」
アレンを担いで走っている俺の姿を見たケアリーはその場で固まってしまった。
不味いな。
聖職者の彼女が一緒に来てくれないと回復が……
「ん、心配ない。私が運ぶ」
「リ、リリィさん!?」
「おぉ! ナイスだリリィ!」
リリィはケアリーを担ぎ上げ、俺の隣まで走って来た。
そう言えば彼女には上級肉体強化もあったんだ。
これくらいならお手の物ってことだな。
――と、リリィの活躍もあり、ひとまず俺たち4人は無事に安全そうな場所まで撤退出来たのだった。
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