【R18】Fランク冒険者の俺が外れスキル≪プレイヤー≫で世界最強へと成り上がるまで

遠野紫

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第一章『俺がCランク冒険者へと成り上がるまで』

20 襲い来るドレッドオロチ

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 ドレッドオロチと戦っていた場所からそこそこ離れた辺りで、俺はアレンを下ろした。
 この距離ならそう簡単には見つからないだろう。

「ケアリーさん、回復をお願いします」

「言われなくても分かっています……! 慈悲深き我が神よ。我らを癒したまえ……! モアヒール!!」

 ケアリーが回復魔法を発動させた瞬間、さっきよりも強い光がアレンの全身を包み込んだ。
 すると彼の額の傷はみるみる塞がって行き、荒かった息も少々落ち着いたものへと変わる。
 少なくともこれで命の危機は脱したはずだ。

 ただ、安静にしておいた方が良いのは今も変わらない。
 外側の傷は塞がったものの、内側へのダメージは回復しきっていないのだ。
 
 正直なところ、この状態の彼を連れたまま森を出るのは難しいと言わざるを得なかった。
 
 それから少しして、ドレッドオロチの気を引いていた二人がこちらへと走って来る。

「はぁ……はぁ……。ようやく逃げ切れたぜ……」

「ふへぇ、死ぬかと思ったよ……」

 二人共、五体満足で逃げ切れたようだ。
 相当疲弊してはいるものの、目立った怪我などは無いように見える。

「お二人共、ご無事のようで何よりです。それで、ドレッドオロチは……?」

「ああ、ここに来るまでに何度も視線切りをしてきたからな。かなりかく乱出来たはずだぜ。しばらくは大丈夫だろうよ。それよりアレンの方はどうだ?」

「落ち着きはしましたが、これ以上運ぶのは危険と言う他ありませんね」

「そうか……まあ、この状況じゃ生きているだけで充分だな」

 デュークはそう言うと、安堵したように座り込んだ。
 
「はぁ~……疲れた~……」

 同時にエルシーもまた、ばったりと地面に倒れ込む。
 相当に疲れているらしい。
 これではとてもじゃないがアレンを運んで森を出るなんて無理そうだ。

「そうだ、荷物持ちお前……一体どういうトリックを使いやがったんだ? あの重量をFランク如きが持てる訳がねえ」

「そうそう、フル装備のアレンを運ぶなんて屈強な男でも一人じゃ難しいのにさ」

「あぁ、えっとですね……」

 どう言えばいいのか。
 レベルが上がったので身体能力も上がったんですよ……なんて言っても理解されないだろう。

 かと言って、俺は身体能力上昇系のスキルを持っている訳でもないし。
 そもそも登録情報と違うスキルを伝えたらそれはそれでややこしくなりそうだ。

 と、その時……
 
「ん、話はそこまで」

 突然リリィが割って入ってきた。

「リリィ? どうかしたのか?」

「ん、何か来てる。大きな魔力を持った何か」

「大きな魔力……? なあそれ、もしかして……」

 嫌な予感がする。
 今この状況で大きな魔力を持つ存在が来るなんて、それはもう一つしかないだろう。

「おいおい嘘だろ……!? 何でもうここまで来てんだよ……!?」

 叫ぶデュークの視線の先にいたのはやはりと言うか、もはや予想通りと言った魔物だった。
 ……ドレッドオロチだ。

「デュークさん!? 貴方、先程は大丈夫だと言ったではありませんか!!」

「俺が知るかよ! 俺たちは確かに奴の視界から外れていたはずだ!! こんなにすぐに気付かれる訳がねえんだよ!!」

 デュークは取り乱したかのように叫び続ける。
 奴が突然現れたことでパニックになっていると言うのもあるのだろう。

 だが、確信をもって行ったはずの視線切りが効果を成していないことの方が、今の彼にとっては大問題のような気がしてならなかった。
 それだけ自信があったのだろう。

 勿論、彼らがミスをしたと言うだけであればそれまでだ。
 けどもしそうでないのなら、このまま逃げ続けてもまた同じことが起こるだけだろう。

 一体どういう事なのか。
 それを知るためにも、俺は奴のステータスを表示させた。

 ◇――――――――――――――◇

  個体名:ドレッドオロチの成体
  レベル:68
  所持スキル:透視、毒強化
  状態:軽傷

 ◇――――――――――――――◇

 透視スキル?
 ……そうか。そう言うことか。

「デュークさん。どうやら奴は透視スキルを持っているようです」

「なに!? それじゃいくら視線を切ろうが意味ねえじゃねえか!」

 そう、デュークたちのかく乱が効かなかったのも、全てはこの透視スキルのせいって訳だ。

 そりゃ意味ないよな。
 透視出来るんじゃ、いくら木々に隠れて視界から外れようが向こうからは丸見えなんだから。

「そんな……! ど、どうするのさ!? アレンがいないんじゃあんなのに勝てっこないって!!」

 デュークに続き、エルシーも叫び始める。

 これは不味いな。
 情報を共有することで少しでも落ち着かせようとしたが、どうやら余計にパニックを広げてしまったらしい。
 
「……いや待て。どうしてFランクのアンタにそんなことが分かるんだ。もしや出鱈目言って、俺たちをアイツと戦わせようとしてるんじゃねえだろうな!?」

「た、確かに! 瀕死の私たちを囮にすれば、その間に逃げられるだろうし!」

「待ってくれ! 俺はそんなつもりじゃ……!」

「ん、その通り。ノアはそんなことしない」

「黙れ! この状況で信じられるとでも!?」

 デュークは感情を露わにしながらそう言って来る。

 駄目だ、ただでさえパニック状態だからかまともに話が出来そうにない。
 いや、そもそもFランクの俺の話なんて、仮に平常時だったとしても聞いてくれたかは怪しいか。

「クソッ……! 誰がアンタなんかに!!」

「待ってくださいデュークさん! 一人は危険です!」

 止めようとしたものの、聞き入れることなくデュークは走っていってしまった。
 こういう時は出来るだけ単独行動は避けた方が良いんだが……

「ま、待ってよデューク! 置いて行かないで……!」

「すみませんアレンさん。どうか、お許しを……!!」

 残りの二人も逃げて行ってしまった。
 それもリーダーであるアレンを置いて。

 ……随分と白状な奴らだな。
 アレンが負傷したのはアンタらを守るためだったろうに。

 まあ、否定はしないさ。
 結局、最後は自分の命が一番大事なんだからな……。

「ノア、これからどうする?」

「そうだな。ドレッドオロチが相手となれば、このまま逃げても誰も文句は言わないだろう。……けど、アレンを残して行く訳にはいかない。だから戦うさ。そして、勝つ」

「ん、そう言うと思った。なら、援護は任せて」

「ああ、頼りにしてるぞ」
 
 俺がそう言い終えるなり、俺とリリィの二人は戦闘態勢をとった。
 と同時に、ドレッドオロチは強い殺意を向けてくる。

 本格的に、戦いの火ぶたが切られた訳だ。
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