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第一部 異世界アーステイル編
21 歪なパーティ結成
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「てめえ……その依頼はオレが受けるんだよ」
「いえいえほぼ同時でしたしここは話し合いで」
もう一人の冒険者はローブで全身を覆い、フードを深くかぶっているために顔は見えない。けど声から男であることは分かる。
それはそれとして、あまり派手に事を起こしたくはないんだよな。レイブンのこともあるし引き下がれない。
「そもそもこれはゴールドランク以上の依頼だろうが。てめえみたいなロリっ子が受けられる訳ねえだろ」
「……いや、こう見えて俺もゴールドランクなんですよ」
あまりにも第一印象が最悪過ぎてつい拳が出そうになるが抑えろ俺。
とにかくここは穏便にゴールドランクの冒険者登録証を見せつけよう。
「……ああ、マジか。いや、よく見りゃお前……HARUか? なるほど、プレイヤーならその見た目でゴールドランクでもおかしくは無いか……けどだからと言って依頼は渡さねえぞ」
うーん、強情。と言うか認知されてる?
それにプレイヤーって言ってるし、この男も十中八九プレイヤーだな確定的に明らかだ。
「どうしたんだハル、何かあったのか?」
こっちでゴタゴタやっているのが見えたのかレイブンもこちらに来たようだ。
「ああレイブンさん。この人も同じ依頼を受けたいみたいなんです」
「レイブン……だって?」
そう言うと男はフードを取ってレイブンの方を見た。するとその中からピアスだらけの銀色のケモミミが飛び出す。……なんか見覚えがあるな。
「てめえはオレが倒す。もうゲームじゃなくなっちまったが、それならそれでこの世界で勝てば良いだけだからな」
明らかな宣戦布告。二人は知り合いなのか?
「……君は狂夜だったか。俺に何か用か?」
と思ったが、雰囲気からしてレイブン側には特に何かある訳でも無いみたいだな。
というかそうだ狂夜だ。正式には大神狂夜だったっけか。
銀髪に狼系のケモミミアクセサリーを付けてるからそれが妙に記憶に残ってたんだ。本人はカッコいいと思ってそうだけどあれ絶対にカワイイ系のアクセサリーなんだよな。モッフモフだし。
ってそんなことは良いんだよ。重要なのは彼もまたトップナインの一人だと言う事。
確か職業はサモン・オブ・デストロイだったな。召喚術を使う職業である都合上本人のステータスは上級職の中でも最低。だがそれを補って余りあるポテンシャルが召喚術にはある。
そんでもって彼が使っているのは狼型のモンスターであるデストロイ・オブ・フェンリルだったな。
コイツを特化させたビルドはただでさえ高い攻撃力と機動力がさらに強化されるから、敵を攻撃しつつかつ本人を守りながら戦える。
だから召喚術師でありながら近接戦闘に強いんだよな。召喚術師本人を叩けっていう定石が通用しないのはシンプルに強い。
「チッ、調子が狂う。ランキング2位だからって浮かれやがって。いつかオレが引きずり降ろしてやっからな」
ああ、なんか空気が悪いと思ったらランキングの話だったのか。まあ今でこそ同じプレイヤーとして仲間同士だけど、ゲームでは順位を争うライバルであり敵だったんだもんな。
というかこっちに来てまでもまだ一位になろうとしてるのかコイツ……いや最終的に俺も頂点に立とうとしてるし人の事は言えないけど。
「まあいい、てめえらはどっかいってろこの依頼はオレが受ける」
「いや、それは困る。俺もその依頼を受けたいんだ」
「あぁ? てめえはゴールドランクじゃねえだろうが」
「だからハルに受けてもらうことにした」
「あー……それでコイツが……」
狂夜は俺の方を見る。なんだその目は。
「あぁクソッ、まあいい。それだったら一緒に受けようじゃねえか」
「いいのか?」
「この際だ。オレがどれだけ強いのかをてめえらに見せてやるよ。いつか来るその日のためのデモンストレーションとしてな。別にてめえらのためじゃねえから勘違いすんなよ」
そう言い放つと狂夜は依頼書を剥がして受付へと持っていった。
なんだなんだツンデレか?
「……よくわかりませんが、ひとまず一件落着ですね」
「そのようだな」
「おい、受けて来たぞ。オレはもう行けるがそっちはどうなんだ」
「俺は問題ないですよ」
「俺もだ。元々そのつもりで来たからな」
ということで狂夜、レイブン、そして俺の3人で依頼を受けることになった。
思えば他のプレイヤーとまともに依頼を受けるのはこれが初めてなのか。RIZEとの時は実質的にエインヘリヤルが全て片付けてしまった訳だしな。
そんな訳で依頼書に書かれていた場所へと3人で向かう。目的地は龍の谷と呼ばれている所だ。
転移ポイントは龍の谷から少し離れた場所にあるからそこからは徒歩になる。
確かゲームにおいてはドラゴンとかワイバーンとかそういったモンスターが大量にいたっけか。そんな記憶がある。
だからと言うべきか、今回のターゲットはドラゴン系のモンスターであるドラグレンだ。
強力な炎を扱い真紅の鱗に身を包む大型のドラゴンであり、龍の谷におけるレイドボス。上級職のプレイヤーが10人以上は欲しい程の戦闘力を持つ強力なモンスターだったな。
装備のために何度か戦ったことがあるが、ブレスによる炎属性のスリップダメージが地味に痛かった記憶がある。
ただ今回はそれだけじゃない。なんとこのただでさえ強力なドラグレンが闇に飲まれて暴走しているらしい。
なんてこったい。
いくらトップナイン3人と言えど流石にキツい……と思ったけど、そう言えば何故かマナツカミは一撃で落ちたんだよな。
なんならそれよりもヤバイ闇に飲まれたワイバーンも簡単に倒せてしまった。
[HARU様の魔法は通常の場合よりも遥かに高威力となっておりますのでそれが原因かと思われます。そのため、今のHARU様であればドラグレン相手に苦戦する可能性は低いと思われます]
ああ、そうなのか。ならもう少し気楽に行こうかね。
気楽……気楽ね。
「……」
狂夜は常にレイブンへと殺意……と言うかなんかこう、そう言った感じの雰囲気とオーラを出していた。
これから狩りをするんだからせめてもう少し良い感じの雰囲気でいようよ。
よし、それなら話をしよう。会話だ。会話で空気をやわらげよう。
「狂夜さんのプレイヤーネームって何か名づけ理由ってあるんですか? ちなみに俺は本名にちなんでるんですけど」
「あぁ? ……んなもんカッコいいからに決まってんだろ。『大いなる神に狂う夜』。最高にカッコいいとは思わねえか?」
「……そっすね」
やべえ、空気を良くしようと思ったのに帰って来た答えがあまりにも対処に困る。
いや俺もロマンとか中二チックなのは好きっちゃ好きだけどさ。流石にここまで堂々と言い切れるのは……もはや尊敬と畏怖とかそう言ったものを感じざるを得ないな。
「アンタはどうなんだレイブン」
「俺か? 俺は本名……いや、ハルと同じく本名にちなんでいる」
「そうだったんですね」
なるほど。となると烏に関係がある名前とかなのかね。
そう言えばずっと気になっていたが……。
「レイブンさんってウに濁点が付いている方の『レイヴン』では無いんですね。こういうのもあれですけど、こういったゲームをする人ってそっちの方が多いのかと思いまして」
「そうなのか? あまり日本語とやらには詳しくは無くてな」
日本語に詳しくはない……?
もしかして海外ニキなのか。確かに転移させられたプレイヤーが全員日本人である確証は無いけども。
あーでも海外在住とかならなんか雰囲気が物々しいのもわかるか。アメリカとかだと向こうは銃社会って聞くし、そう言った文化圏の人ならこっちの世界もそこまで大きく変わるものでは無いのかもしれない。
「おい、そろそろ龍の谷の最深部に着くぞ」
狂夜の言葉によって現実へと引き戻される。
いつのまにか龍の谷の中でもかなり深い場所に辿り着きかけていた。
なんだか空気中の魔力が凄い……気がする。いやそう言ったもんを感じ取れるのかはわからないけど。
[HARU様の感覚通り、この場には高密度の魔力が漂っています]
ああやっぱりそうなんだな。まあ見た目からしてこの場所凄そうだしな。
光る石が光源になっているからか洞窟全体が青白く淡く光っている。ダンジョンRPGとかだったら間違いなく最下層だねこれは。ヤバイボスとかいそう。
まあそのおかげで視界は悪くない。松明もったまま戦うとかあまりにもハンデがデカすぎるからね。
「……妙だな」
「あぁ? 妙だってなにがだ」
「龍が少なすぎる」
……そう言えばそうだ。思えばここに来るまで一切接敵していない。龍の谷だとかいう大層な名前が付いているのにも関わらず、ドラゴンどころか数が多いはずのワイバーンにも出くわしてはいない。
「一言で言えば……異常という他無いな」
「これ、ターゲットであるドラグレンの影響なんでしょうか」
ゲームにおいてはそう言った設定とかは特に無かったはず。となるとこれはドラグレンの特徴と言うよりは闇に飲まれて暴走しているってのが原因なのか?
「ッ! 何か来るぞ!」
[警告、前方に高濃度の魔力反応を確認]
レイブンがそう言った後、一瞬遅れてナビによって警告された。
「っ!?」
物凄い地響きが洞窟全体に響く。おいおい崩れないでくれよ!?
にしてもレイブン、ナビよりも先に反応していたような……いや今はそれは良い。
「出たな……ドラグレン……!」
洞窟内にあったかなり大きな湖から現れたのは紛れも無いドラグレンだった。
ただそのサイズは他の闇に飲まれしモンスターたちと同じくかなり巨大になっていた。
「にしてもよ……ゲームじゃこんなにデカく無かったぜ」
「闇に飲まれたことで巨大化したのだろう。どちらにしろ倒すことに変わりは無い」
「わかってらぁ!!」
レイブンも狂夜もいつの間にか己の武器をとり臨戦態勢となっていた。
こちらに来てからは初めてのプレイヤーとのレイド戦。正直胸が躍ってしまっている自分がいる。
「ふぅ……よし!」
剣を抜き、ドラグレンの前へと駆けだした。
「いえいえほぼ同時でしたしここは話し合いで」
もう一人の冒険者はローブで全身を覆い、フードを深くかぶっているために顔は見えない。けど声から男であることは分かる。
それはそれとして、あまり派手に事を起こしたくはないんだよな。レイブンのこともあるし引き下がれない。
「そもそもこれはゴールドランク以上の依頼だろうが。てめえみたいなロリっ子が受けられる訳ねえだろ」
「……いや、こう見えて俺もゴールドランクなんですよ」
あまりにも第一印象が最悪過ぎてつい拳が出そうになるが抑えろ俺。
とにかくここは穏便にゴールドランクの冒険者登録証を見せつけよう。
「……ああ、マジか。いや、よく見りゃお前……HARUか? なるほど、プレイヤーならその見た目でゴールドランクでもおかしくは無いか……けどだからと言って依頼は渡さねえぞ」
うーん、強情。と言うか認知されてる?
それにプレイヤーって言ってるし、この男も十中八九プレイヤーだな確定的に明らかだ。
「どうしたんだハル、何かあったのか?」
こっちでゴタゴタやっているのが見えたのかレイブンもこちらに来たようだ。
「ああレイブンさん。この人も同じ依頼を受けたいみたいなんです」
「レイブン……だって?」
そう言うと男はフードを取ってレイブンの方を見た。するとその中からピアスだらけの銀色のケモミミが飛び出す。……なんか見覚えがあるな。
「てめえはオレが倒す。もうゲームじゃなくなっちまったが、それならそれでこの世界で勝てば良いだけだからな」
明らかな宣戦布告。二人は知り合いなのか?
「……君は狂夜だったか。俺に何か用か?」
と思ったが、雰囲気からしてレイブン側には特に何かある訳でも無いみたいだな。
というかそうだ狂夜だ。正式には大神狂夜だったっけか。
銀髪に狼系のケモミミアクセサリーを付けてるからそれが妙に記憶に残ってたんだ。本人はカッコいいと思ってそうだけどあれ絶対にカワイイ系のアクセサリーなんだよな。モッフモフだし。
ってそんなことは良いんだよ。重要なのは彼もまたトップナインの一人だと言う事。
確か職業はサモン・オブ・デストロイだったな。召喚術を使う職業である都合上本人のステータスは上級職の中でも最低。だがそれを補って余りあるポテンシャルが召喚術にはある。
そんでもって彼が使っているのは狼型のモンスターであるデストロイ・オブ・フェンリルだったな。
コイツを特化させたビルドはただでさえ高い攻撃力と機動力がさらに強化されるから、敵を攻撃しつつかつ本人を守りながら戦える。
だから召喚術師でありながら近接戦闘に強いんだよな。召喚術師本人を叩けっていう定石が通用しないのはシンプルに強い。
「チッ、調子が狂う。ランキング2位だからって浮かれやがって。いつかオレが引きずり降ろしてやっからな」
ああ、なんか空気が悪いと思ったらランキングの話だったのか。まあ今でこそ同じプレイヤーとして仲間同士だけど、ゲームでは順位を争うライバルであり敵だったんだもんな。
というかこっちに来てまでもまだ一位になろうとしてるのかコイツ……いや最終的に俺も頂点に立とうとしてるし人の事は言えないけど。
「まあいい、てめえらはどっかいってろこの依頼はオレが受ける」
「いや、それは困る。俺もその依頼を受けたいんだ」
「あぁ? てめえはゴールドランクじゃねえだろうが」
「だからハルに受けてもらうことにした」
「あー……それでコイツが……」
狂夜は俺の方を見る。なんだその目は。
「あぁクソッ、まあいい。それだったら一緒に受けようじゃねえか」
「いいのか?」
「この際だ。オレがどれだけ強いのかをてめえらに見せてやるよ。いつか来るその日のためのデモンストレーションとしてな。別にてめえらのためじゃねえから勘違いすんなよ」
そう言い放つと狂夜は依頼書を剥がして受付へと持っていった。
なんだなんだツンデレか?
「……よくわかりませんが、ひとまず一件落着ですね」
「そのようだな」
「おい、受けて来たぞ。オレはもう行けるがそっちはどうなんだ」
「俺は問題ないですよ」
「俺もだ。元々そのつもりで来たからな」
ということで狂夜、レイブン、そして俺の3人で依頼を受けることになった。
思えば他のプレイヤーとまともに依頼を受けるのはこれが初めてなのか。RIZEとの時は実質的にエインヘリヤルが全て片付けてしまった訳だしな。
そんな訳で依頼書に書かれていた場所へと3人で向かう。目的地は龍の谷と呼ばれている所だ。
転移ポイントは龍の谷から少し離れた場所にあるからそこからは徒歩になる。
確かゲームにおいてはドラゴンとかワイバーンとかそういったモンスターが大量にいたっけか。そんな記憶がある。
だからと言うべきか、今回のターゲットはドラゴン系のモンスターであるドラグレンだ。
強力な炎を扱い真紅の鱗に身を包む大型のドラゴンであり、龍の谷におけるレイドボス。上級職のプレイヤーが10人以上は欲しい程の戦闘力を持つ強力なモンスターだったな。
装備のために何度か戦ったことがあるが、ブレスによる炎属性のスリップダメージが地味に痛かった記憶がある。
ただ今回はそれだけじゃない。なんとこのただでさえ強力なドラグレンが闇に飲まれて暴走しているらしい。
なんてこったい。
いくらトップナイン3人と言えど流石にキツい……と思ったけど、そう言えば何故かマナツカミは一撃で落ちたんだよな。
なんならそれよりもヤバイ闇に飲まれたワイバーンも簡単に倒せてしまった。
[HARU様の魔法は通常の場合よりも遥かに高威力となっておりますのでそれが原因かと思われます。そのため、今のHARU様であればドラグレン相手に苦戦する可能性は低いと思われます]
ああ、そうなのか。ならもう少し気楽に行こうかね。
気楽……気楽ね。
「……」
狂夜は常にレイブンへと殺意……と言うかなんかこう、そう言った感じの雰囲気とオーラを出していた。
これから狩りをするんだからせめてもう少し良い感じの雰囲気でいようよ。
よし、それなら話をしよう。会話だ。会話で空気をやわらげよう。
「狂夜さんのプレイヤーネームって何か名づけ理由ってあるんですか? ちなみに俺は本名にちなんでるんですけど」
「あぁ? ……んなもんカッコいいからに決まってんだろ。『大いなる神に狂う夜』。最高にカッコいいとは思わねえか?」
「……そっすね」
やべえ、空気を良くしようと思ったのに帰って来た答えがあまりにも対処に困る。
いや俺もロマンとか中二チックなのは好きっちゃ好きだけどさ。流石にここまで堂々と言い切れるのは……もはや尊敬と畏怖とかそう言ったものを感じざるを得ないな。
「アンタはどうなんだレイブン」
「俺か? 俺は本名……いや、ハルと同じく本名にちなんでいる」
「そうだったんですね」
なるほど。となると烏に関係がある名前とかなのかね。
そう言えばずっと気になっていたが……。
「レイブンさんってウに濁点が付いている方の『レイヴン』では無いんですね。こういうのもあれですけど、こういったゲームをする人ってそっちの方が多いのかと思いまして」
「そうなのか? あまり日本語とやらには詳しくは無くてな」
日本語に詳しくはない……?
もしかして海外ニキなのか。確かに転移させられたプレイヤーが全員日本人である確証は無いけども。
あーでも海外在住とかならなんか雰囲気が物々しいのもわかるか。アメリカとかだと向こうは銃社会って聞くし、そう言った文化圏の人ならこっちの世界もそこまで大きく変わるものでは無いのかもしれない。
「おい、そろそろ龍の谷の最深部に着くぞ」
狂夜の言葉によって現実へと引き戻される。
いつのまにか龍の谷の中でもかなり深い場所に辿り着きかけていた。
なんだか空気中の魔力が凄い……気がする。いやそう言ったもんを感じ取れるのかはわからないけど。
[HARU様の感覚通り、この場には高密度の魔力が漂っています]
ああやっぱりそうなんだな。まあ見た目からしてこの場所凄そうだしな。
光る石が光源になっているからか洞窟全体が青白く淡く光っている。ダンジョンRPGとかだったら間違いなく最下層だねこれは。ヤバイボスとかいそう。
まあそのおかげで視界は悪くない。松明もったまま戦うとかあまりにもハンデがデカすぎるからね。
「……妙だな」
「あぁ? 妙だってなにがだ」
「龍が少なすぎる」
……そう言えばそうだ。思えばここに来るまで一切接敵していない。龍の谷だとかいう大層な名前が付いているのにも関わらず、ドラゴンどころか数が多いはずのワイバーンにも出くわしてはいない。
「一言で言えば……異常という他無いな」
「これ、ターゲットであるドラグレンの影響なんでしょうか」
ゲームにおいてはそう言った設定とかは特に無かったはず。となるとこれはドラグレンの特徴と言うよりは闇に飲まれて暴走しているってのが原因なのか?
「ッ! 何か来るぞ!」
[警告、前方に高濃度の魔力反応を確認]
レイブンがそう言った後、一瞬遅れてナビによって警告された。
「っ!?」
物凄い地響きが洞窟全体に響く。おいおい崩れないでくれよ!?
にしてもレイブン、ナビよりも先に反応していたような……いや今はそれは良い。
「出たな……ドラグレン……!」
洞窟内にあったかなり大きな湖から現れたのは紛れも無いドラグレンだった。
ただそのサイズは他の闇に飲まれしモンスターたちと同じくかなり巨大になっていた。
「にしてもよ……ゲームじゃこんなにデカく無かったぜ」
「闇に飲まれたことで巨大化したのだろう。どちらにしろ倒すことに変わりは無い」
「わかってらぁ!!」
レイブンも狂夜もいつの間にか己の武器をとり臨戦態勢となっていた。
こちらに来てからは初めてのプレイヤーとのレイド戦。正直胸が躍ってしまっている自分がいる。
「ふぅ……よし!」
剣を抜き、ドラグレンの前へと駆けだした。
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