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白の脅威
第55話 ひろし、最強伝説
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ナオルは両手剣を大きく振りかぶると走り込んで黒ちゃんに斬りかかった。
ズガン!
しかし、黒ちゃんはそれを物ともせずに肩で受けると、そのまま豪快な水平斬りを放った。
ドガン!!
ナオルは黒ちゃんの剣をまともに受けて吹き飛ばされると、少し怯んで呟いた。
「さすが3位だ。一撃でHP4分の3以上持っていかれたわ。くそっ!」
すると突然、ナオルは逃げ回り始めた。
「なら、痺れるまで待つだけだ!」
しかしその時、黒ちゃんはすでに動ける限界を迎えていた。
「仕方がない。それにしても、また麻痺でやられるとは。麻痺には気を付けろと言う教訓だな」
そう呟くと「リタイア」のボタンを押して脱落した。
プゥァァアアア!
するとラッパが鳴り、画面には「勝者、ナオル」と表示された。
おじいさんたちが不思議に思っていると黒ちゃんが青い椅子にリスポーンして、メッセージをしてきた。
ーーーーーーーーーーーーー
漆黒の剣士:床に痺れ粉が撒かれています
アカネ:はぁ?ズルじゃん
めぐ:そんな事してたんだ
イリューシュ:でも、ひろしさんのジャージなら大丈夫ですね
ひろし:そうなのですか
イリューシュ:ひろしさんの着ている「厚手のジャージ」は★4防具で、防御力は低いですが麻痺や毒などに耐性があります
アカネ:やった!じいちゃん、やっちゃえ!
めぐ:おじいちゃん、頑張って!
ひろし:はい
ーーーーーーーーーーーーー
おじいさんは、画面に「次鋒、ひろし」と表示されると、ゆっくりと立ち上がって前へ出た。
そして、痺れ粉が撒かれた床の上で準備運動を始めると「麻痺(蓄積中)【軽減】」と表示されたが問題なく体を動かすことができた。
その様子を見たナオルは驚いて呟いた。
「……あいつ、痺れ粉が効かないのか? ……あっ、よく見たらチーム名がひろしだ。あいつがリーダーなのか?」
おじいさんは準備運動を終えると笑顔でナオルに頭を下げた。
しかし暗い部屋と下から当たる派手な照明のせいで、ナオルには、おじいさんが悪魔のような笑みで頭を下げたように見えた。
「あ、あいつ、絶対強いはずだ……」
ナオルは少し怯えながら呟くと、震える手で両手剣を構えた。
おじいさんはポケットから小さい石を取り出し、投球フォームに入って両手を振りかぶった。
「あ、あいつ両手を上げやがった! 何かの詠唱か??」
焦るナオルに、おじいさんは大きく踏み込むと、なんと下に撒かれている痺れ粉で足が滑ってしまった。
ズルッ
「あっ」
おじいさんは体勢を大きく崩してしまい、石は指からすっぽ抜けて飛んでいった。
ヒュゥゥ…………
しかしなんと、すっぽ抜けた石はゆっくりと弧を描いて飛んでゆき、ナオルの肩に当たった。
カン!
「えっ!?」
しかし、暗い部屋のせいでナオルには石が見えておらず、突然HPが減って動揺した。
「な! あ、あいつ何をした! 急にHPが減ったぞ!」
ナオルが驚きながらおじいさんを見ると、おじいさんは恥ずかしそうに照れ笑いをしていた。
しかし、下からの照明のせいでナオルには悪魔のような笑みで不敵に笑うおじいさんに見えていた。
「はっ、そうか! イベント優勝と3位がいるのに、こいつがリーダーだ……。しまった、こいつが最強なんだ!」
ナオルはガクガクと震えながら、おじいさんを見た。
すると、おじいさんが必死にポケットをあさっていた。
「あ……、あいつ何をするつもりだ!」
おじいさんはポケットを探したが、なんと、もう石が無かった。
「あぁ、しまった!」
おじいさんは慌てた顔でポケットをゴソゴソした。
しかし、ナオルにはおじいさんが怒りに満ちた表情で何かを手に塗りつけているようにしか見えなかった。
「あ! あいつ手に何か付けてやがる! 何するつもりだ!」
おじいさんは、ポケットに石が無い事を確認すると、恥ずかしくなって照れ笑いした。
しかし、おじいさんは少し前方に石が転がっているのを見つけて、思わず大きな声を上げた。
「ああ、よかった。石が落ちていた。ははは」
おじいさんは、ゆっくりと石を拾いに前へ歩き出した。
しかし、ナオルには手に何かを付けたおじいさんが不敵に笑いながら何かを言ったように見えた。
「な、なんだ! あいつ何か詠唱したぞ!」
そして、歩き出したおじいさんに恐怖しながら両手剣を構えると、大声を上げて斬りかかった。
「くそう! 悪魔め!!」
スカッ
その瞬間、おじいさんは石を拾うために屈み、両手剣は空を切った。
「しまった!」
ナオルはそのままバランスを崩し、ちょうど立ち上がったおじいさんの頭がナオルにあたった。
ゴン!
「うわっ!」
「あっ」
ナオルは、おじいさんの頭突きとみなされた一撃でHPがゼロになり赤い椅子へリスポーンした。
ナオルもメンバーたちも、一体何が起こったのか分からず、ひどく動揺した。
プゥァァアアア!
「勝者、ひろし」
画面を見たおじいさんは一安心し、石を無くして冷や汗ものだった戦いに一息つくと、アゴの汗をゆっくりと拭った。
しかし、ナオルたちには眼光鋭く親指を下にして首を切るような動作をしているようにしか見えなかった。
ナオルたちは全員が恐怖に震え、ついでに配信を視聴している人たちも謎の攻撃に驚いた。
しばらくすると、画面に「次鋒、準備してください」の文字が浮かび、女性武闘家にライトが当たった。
しかし恐怖が最高潮に達していたナオルたちは、皆で申し合わせて「棄権」ボタンを押した。
「勝者、チームひろし」
画面に勝者が表示されると、おじいさんたちは「?」な表情になった。
試合を終えて全員外に出ると、ナオルたちは一列に並んでおじいさんたちに頭を下げた。
「「疑ってすみませんでした!」」
それを見たアカネが言った。
「へっへー。じいちゃんも強いでしょ?」
「はい、すみませんでした」
ナオルは頭を下げながら謝った。
すると、おじいさんは少し申し訳無さそうに柔和な笑顔でナオルたちに言った。
「いやぁ、変な勝ち方をしてしまって申し訳なかったです。ははは」
しかし、その仏のような笑顔が逆にナオルたちの恐怖を煽り、5人とも足を震わせた。
「じゃ、じゃあ、おれたちは帰り、り、りますんで」
ナオルがそう言うと、5人は慌てて転移していった。
それを見たアカネは腕を組みながら声を漏らした。
「なんだよ。あいつらセッカチだなぁ。ていうか、黒ちゃん麻痺に弱すぎ」
黒ちゃんはアカネの言葉に頭を掻いた。
「あぁ、わたしも反省していたところだ」
「じゃあ今度、スイーツ・パラライズの椅子の上に痺れ粉まいておくよ」
「なっ! 時間制限のあるあの店で、それは極悪級の仕打ち!」
「ははは、冗談だよ黒ちゃん」
アカネはそう言いながら痺れ粉と毒の粉を手に出現させた。
「アカネ、痺れ粉持ってるじゃないか! しかも毒の粉まで!」
「ええ? そう?」
「「「ははははは」」」
おじいさんたちは笑いながらG区画の家へ戻っていった。
ズガン!
しかし、黒ちゃんはそれを物ともせずに肩で受けると、そのまま豪快な水平斬りを放った。
ドガン!!
ナオルは黒ちゃんの剣をまともに受けて吹き飛ばされると、少し怯んで呟いた。
「さすが3位だ。一撃でHP4分の3以上持っていかれたわ。くそっ!」
すると突然、ナオルは逃げ回り始めた。
「なら、痺れるまで待つだけだ!」
しかしその時、黒ちゃんはすでに動ける限界を迎えていた。
「仕方がない。それにしても、また麻痺でやられるとは。麻痺には気を付けろと言う教訓だな」
そう呟くと「リタイア」のボタンを押して脱落した。
プゥァァアアア!
するとラッパが鳴り、画面には「勝者、ナオル」と表示された。
おじいさんたちが不思議に思っていると黒ちゃんが青い椅子にリスポーンして、メッセージをしてきた。
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漆黒の剣士:床に痺れ粉が撒かれています
アカネ:はぁ?ズルじゃん
めぐ:そんな事してたんだ
イリューシュ:でも、ひろしさんのジャージなら大丈夫ですね
ひろし:そうなのですか
イリューシュ:ひろしさんの着ている「厚手のジャージ」は★4防具で、防御力は低いですが麻痺や毒などに耐性があります
アカネ:やった!じいちゃん、やっちゃえ!
めぐ:おじいちゃん、頑張って!
ひろし:はい
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おじいさんは、画面に「次鋒、ひろし」と表示されると、ゆっくりと立ち上がって前へ出た。
そして、痺れ粉が撒かれた床の上で準備運動を始めると「麻痺(蓄積中)【軽減】」と表示されたが問題なく体を動かすことができた。
その様子を見たナオルは驚いて呟いた。
「……あいつ、痺れ粉が効かないのか? ……あっ、よく見たらチーム名がひろしだ。あいつがリーダーなのか?」
おじいさんは準備運動を終えると笑顔でナオルに頭を下げた。
しかし暗い部屋と下から当たる派手な照明のせいで、ナオルには、おじいさんが悪魔のような笑みで頭を下げたように見えた。
「あ、あいつ、絶対強いはずだ……」
ナオルは少し怯えながら呟くと、震える手で両手剣を構えた。
おじいさんはポケットから小さい石を取り出し、投球フォームに入って両手を振りかぶった。
「あ、あいつ両手を上げやがった! 何かの詠唱か??」
焦るナオルに、おじいさんは大きく踏み込むと、なんと下に撒かれている痺れ粉で足が滑ってしまった。
ズルッ
「あっ」
おじいさんは体勢を大きく崩してしまい、石は指からすっぽ抜けて飛んでいった。
ヒュゥゥ…………
しかしなんと、すっぽ抜けた石はゆっくりと弧を描いて飛んでゆき、ナオルの肩に当たった。
カン!
「えっ!?」
しかし、暗い部屋のせいでナオルには石が見えておらず、突然HPが減って動揺した。
「な! あ、あいつ何をした! 急にHPが減ったぞ!」
ナオルが驚きながらおじいさんを見ると、おじいさんは恥ずかしそうに照れ笑いをしていた。
しかし、下からの照明のせいでナオルには悪魔のような笑みで不敵に笑うおじいさんに見えていた。
「はっ、そうか! イベント優勝と3位がいるのに、こいつがリーダーだ……。しまった、こいつが最強なんだ!」
ナオルはガクガクと震えながら、おじいさんを見た。
すると、おじいさんが必死にポケットをあさっていた。
「あ……、あいつ何をするつもりだ!」
おじいさんはポケットを探したが、なんと、もう石が無かった。
「あぁ、しまった!」
おじいさんは慌てた顔でポケットをゴソゴソした。
しかし、ナオルにはおじいさんが怒りに満ちた表情で何かを手に塗りつけているようにしか見えなかった。
「あ! あいつ手に何か付けてやがる! 何するつもりだ!」
おじいさんは、ポケットに石が無い事を確認すると、恥ずかしくなって照れ笑いした。
しかし、おじいさんは少し前方に石が転がっているのを見つけて、思わず大きな声を上げた。
「ああ、よかった。石が落ちていた。ははは」
おじいさんは、ゆっくりと石を拾いに前へ歩き出した。
しかし、ナオルには手に何かを付けたおじいさんが不敵に笑いながら何かを言ったように見えた。
「な、なんだ! あいつ何か詠唱したぞ!」
そして、歩き出したおじいさんに恐怖しながら両手剣を構えると、大声を上げて斬りかかった。
「くそう! 悪魔め!!」
スカッ
その瞬間、おじいさんは石を拾うために屈み、両手剣は空を切った。
「しまった!」
ナオルはそのままバランスを崩し、ちょうど立ち上がったおじいさんの頭がナオルにあたった。
ゴン!
「うわっ!」
「あっ」
ナオルは、おじいさんの頭突きとみなされた一撃でHPがゼロになり赤い椅子へリスポーンした。
ナオルもメンバーたちも、一体何が起こったのか分からず、ひどく動揺した。
プゥァァアアア!
「勝者、ひろし」
画面を見たおじいさんは一安心し、石を無くして冷や汗ものだった戦いに一息つくと、アゴの汗をゆっくりと拭った。
しかし、ナオルたちには眼光鋭く親指を下にして首を切るような動作をしているようにしか見えなかった。
ナオルたちは全員が恐怖に震え、ついでに配信を視聴している人たちも謎の攻撃に驚いた。
しばらくすると、画面に「次鋒、準備してください」の文字が浮かび、女性武闘家にライトが当たった。
しかし恐怖が最高潮に達していたナオルたちは、皆で申し合わせて「棄権」ボタンを押した。
「勝者、チームひろし」
画面に勝者が表示されると、おじいさんたちは「?」な表情になった。
試合を終えて全員外に出ると、ナオルたちは一列に並んでおじいさんたちに頭を下げた。
「「疑ってすみませんでした!」」
それを見たアカネが言った。
「へっへー。じいちゃんも強いでしょ?」
「はい、すみませんでした」
ナオルは頭を下げながら謝った。
すると、おじいさんは少し申し訳無さそうに柔和な笑顔でナオルたちに言った。
「いやぁ、変な勝ち方をしてしまって申し訳なかったです。ははは」
しかし、その仏のような笑顔が逆にナオルたちの恐怖を煽り、5人とも足を震わせた。
「じゃ、じゃあ、おれたちは帰り、り、りますんで」
ナオルがそう言うと、5人は慌てて転移していった。
それを見たアカネは腕を組みながら声を漏らした。
「なんだよ。あいつらセッカチだなぁ。ていうか、黒ちゃん麻痺に弱すぎ」
黒ちゃんはアカネの言葉に頭を掻いた。
「あぁ、わたしも反省していたところだ」
「じゃあ今度、スイーツ・パラライズの椅子の上に痺れ粉まいておくよ」
「なっ! 時間制限のあるあの店で、それは極悪級の仕打ち!」
「ははは、冗談だよ黒ちゃん」
アカネはそう言いながら痺れ粉と毒の粉を手に出現させた。
「アカネ、痺れ粉持ってるじゃないか! しかも毒の粉まで!」
「ええ? そう?」
「「「ははははは」」」
おじいさんたちは笑いながらG区画の家へ戻っていった。
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