上 下
161 / 241
第2章

第161話 シャルワルー国へ!?

しおりを挟む
 食堂で女性陣達が並んでおり、上目遣いで俺からのキスを待っていた。
 さっきみっちゃんが言った事を実行させる為だ。

 勿論さくら達は席についてその様子をハラハラしながら見ている。

 しかし、俺は額にキスをするだけだ。

 皆からブーイングが聞こえるが、流石に美女、美少女相手にキスしても良いとはいえ、衆人観衆の元とは敷居が高い。

 しかし、俺がお子様キスを終えた後、みっちゃんが皆の元へ向かう。

「はーい!私の勝ちぃ!へへへ!」

 コインを巻き上げていた。

「おい、みっちゃんよ?なんばしょっとね!」

「うん。レオンがどこにキスをするのかしないのかを掛けていたの。因みに瑞希の予測は手の甲にキスよ」

 皆が自分達の予測を述べていた。
 頬にキスだとか土下座だとか色々あり、最後がニーナだった。

「アタイの・・・」

「お前は言わなくてもよい」

「さ、最後まで・・・」

「どうせディープキスだろう?」

 ニーナは横を向いてならない口笛を鳴らす。

 どうも先程のシャルルの事もあり、俺は皆にいじられたようだ。

 取り敢えず席について食事を始めた。
 意外な事にエンピアルがこれまでの事を話してくれた。

 俺はどうやら慣れない大魔力の反動で寝込んだらしい。
 しかも魔力暴走により、魔力が枯渇する寸前まで魔力放出をしてしまい、魔力枯渇になってしまい、5日も気絶していたと。

 宮廷魔道士によると、魔力を回復するのに俺の状態だと誰かが裸で添い寝するのが1番よく、その上で、魔力供給する者の心臓近くに手を添えると供給量が増大するとの事で、皆代わる代わる行っており、目が覚めた時が偶々シャルルとアウィンの番だったらしい。

 3時間交代で行い、起きた時の担当が当たりらしい。
 何が当たったんだ?

 突っ込みどころ満載だが、これはいかんとなり、取り敢えず話題を変えるべくニーナに尋ねる事にした。

「コホン。話は変わるが、ニーナ、公爵の所での剣術指南はどうだったんだ?初日の感想だとかなりしごいたらしいが」

「くくく。公爵の方は歳が歳だから最初の2日は加減をしたんだぜ。でもレオンとそこの坊っちゃん達としつぽりやっていたと聞いたから、3日目からは子供達と同じメニューにしてやったぜ。流石に足腰は歳不相応に鍛えているようで、息子達よりはついてきてたぜ」

 皆からまたもや白い目で見られる。
 公爵から話を逸らそう。

「まあ公爵の方は良いや。息子達はどんなだった?」

「1人だけマシなのはいたが、他は話にならなかったぞ。まあ、毎日夕方には部下が抱えて屋敷に帰って行く感じだったな」

 俺はニーナ・・・恐ろしい子!とつくづく思った。
 流石は各国の王から一目置かれているだけあり、公爵程度には情け容赦ない感じだ。
 しかし、朝の稽古は俺には優しい。
 勿論激しく打ち付けるが、即時に痛みを取ってくれる。

 そうして食事を終えると同時にメイドが来客を告げた。
 よく分からないが、公爵が見送りに来たと。

 俺の服は旅に出られそうなのだったが、よく見ると皆これから依頼を受けるのかな?といった感じの服や装備だ。

 取り敢えず公爵への対応かなと思っていたが、いきなりハグをされた。

「兄弟!気を付けるのだぞ!帰りにまた寄るのだぞ!その時はとっておきを用意しておくから、今度こそ異世界の技を頼む!」

 俺は分かったとしか言えなかったが、公爵は何故か俺に別れの挨拶をし、その後娘達にも別れを告げていたな。
 あれ?ってそうか。イデアさんの所に娘達を送り込むのか。
 いや違うな。さくら達もそうだが、確かアカデミーに通うはずだ。
 つまりこれから出発か。

 そう思っていたのだが、それだけではなかった。

 俺達も見送られていたのだ。
 サルベル国へ向かう者達については、公爵が雇った護衛が来ており先に出立になった。
 だが、何故かシャルルは同行せず、さくらと抱き合い、涙を流しながらしばしの別れの挨拶をしていた。

 また、アイリーンがさくらと和美に鞄に入った物を渡しており、感謝されていた。
 俺達は今日はどうしようかなと思っていたが、ふと思ったのは馬車の台数が多いな?だ。

 公爵が乗ってきたのは多分別の所にある。
 俺がぼーっとしていると誰かに背中を押され、みっちゃんに腕を組まれて引っ張られて馬車に乗せられた。

「何をやっているの?時間が勿体ないからサクサク動く!」
 
 俺はアイリーンとエンピアルに挟まれており、俺が馬車に放り込まれると直ぐに出発した。

 おい待て!病み上がりの俺を連れてどこに行くんだよ!
 俺が唖然としていると、みっちゃんがまたもや話してきた。

「道中に体の調子を整えるのよ!ほら、次の国まで約1週間、王都までは計10日間程掛かるらしいから、その間私達に甘えてしっかり休みなさいよね!」

「ちょっと待て、俺はそんな指示をしていないぞ?それにどこに行くんだよ?」

「そんなの隣の国のシャルワルー国に決まっているでしょ!それに決めたのは瑞希よ。あんたが寝ている間、瑞希は皆をまとめて頑張っていたのよ。御礼にちゃんとしたキスをしてあげなさいよ!」

 隣に座るアイリーンは真っ赤になり俯いていた。

「あのね、ニーナさんがイデアさんからの手紙を預かっていて、栃郎さんが倒れた後の事が書いてあったの。みんなと話し合って手紙に書いてある通りにしない理由がないからと、出発の準備をしていたの。手紙では倒れた5日後にシャルワルー国に出発する事と書かれていたから、栃郎さんが目覚めると確信していたの。ただ、まさか出発直前まで寝ているとは思わなかったんですよ!」
 
 そうしてまたもやイデアさんの掌の上にいる状況なのだと唸りつつ、俺は大人しく2人に体を預ける形で休むのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ&チート持ちだった!カードから美少女を召喚します!強いカード程1癖2癖もあり一筋縄ではない〜

KeyBow
ファンタジー
 1999年世界各地に隕石が落ち、その数年後に隕石が落ちた場所がラビリンス(迷宮)となり魔物が町に湧き出した。  各国の軍隊、日本も自衛隊によりラビリンスより外に出た魔物を駆逐した。  ラビリンスの中で魔物を倒すと稀にその個体の姿が写ったカードが落ちた。  その後、そのカードに血を掛けるとその魔物が召喚され使役できる事が判明した。  彼らは通称カーヴァント。  カーヴァントを使役する者は探索者と呼ばれた。  カーヴァントには1から10までのランクがあり、1は最弱、6で強者、7や8は最大戦力で鬼神とも呼ばれる強さだ。  しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。  また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。  探索者は各自そのラビリンスが持っているカーヴァントの召喚コスト内分しか召喚出来ない。  つまり沢山のカーヴァントを召喚したくてもコスト制限があり、強力なカーヴァントはコストが高い為に少数精鋭となる。  数を選ぶか質を選ぶかになるのだ。  月日が流れ、最初にラビリンスに入った者達の子供達が高校生〜大学生に。  彼らは二世と呼ばれ、例外なく特別な力を持っていた。  そんな中、ラビリンスに入った自衛隊員の息子である斗枡も高校生になり探索者となる。  勿論二世だ。  斗枡が持っている最大の能力はカード合成。  それは例えばゴブリンを10体合成すると10体分の力になるもカードのランクとコストは共に変わらない。  彼はその程度の認識だった。  実際は合成結果は最大でランク10の強さになるのだ。  単純な話ではないが、経験を積むとそのカーヴァントはより強力になるが、特筆すべきは合成元の生き残るカーヴァントのコストがそのままになる事だ。  つまりランク1(コスト1)の最弱扱いにも関わらず、実は伝説級であるランク10の強力な実力を持つカーヴァントを作れるチートだった。  また、探索者ギルドよりアドバイザーとして姉のような女性があてがわれる。  斗枡は平凡な容姿の為に己をモブだと思うも、周りはそうは見ず、クラスの底辺だと思っていたらトップとして周りを巻き込む事になる?  女子が自然と彼の取り巻きに!  彼はモブとしてモブではない高校生として生活を始める所から物語はスタートする。

スキルスティール〜悪い奴から根こそぎ奪って何が悪い!能無しと追放されるも実はチート持ちだった!

KeyBow
ファンタジー
 日常のありふれた生活が一変!古本屋で何気に手に取り開けた本のタイトルは【猿でも分かるスキルスティール取得法】  変な本だと感じつい見てしまう。そこにはこう有った。  【アホが見ーる馬のけーつ♪  スキルスティールをやるから魔王を倒してこい!まお頑張れや 】  はっ!?と思うとお城の中に。城の誰かに召喚されたが、無能者として暗殺者をけしかけられたりする。  出会った猫耳ツインズがぺったんこだけど可愛すぎるんですが!エルフの美女が恋人に?何故かヒューマンの恋人ができません!  行き当たりばったりで異世界ライフを満喫していく。自重って何?という物語。  悪人からは遠慮なくスキルをいただきまーーーす!ざまぁっす!  一癖も二癖もある仲間と歩む珍道中!

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

異世界の約束:追放者の再興〜外れギフト【光】を授り侯爵家を追い出されたけど本当はチート持ちなので幸せに生きて見返してやります!〜

KeyBow
ファンタジー
 主人公の井野口 孝志は交通事故により死亡し、異世界へ転生した。  そこは剣と魔法の王道的なファンタジー世界。  転生した先は侯爵家の子息。  妾の子として家督相続とは無縁のはずだったが、兄の全てが事故により死亡し嫡男に。  女神により魔王討伐を受ける者は記憶を持ったまま転生させる事が出来ると言われ、主人公はゲームで遊んだ世界に転生した。  ゲームと言ってもその世界を模したゲームで、手を打たなければこうなる【if】の世界だった。  理不尽な死を迎えるモブ以下のヒロインを救いたく、転生した先で14歳の時にギフトを得られる信託の儀の後に追放されるが、その時に備えストーリーを変えてしまう。  メイヤと言うゲームでは犯され、絶望から自殺した少女をそのルートから外す事を幼少期より決めていた。  しかしそう簡単な話ではない。  女神の意図とは違う生き様と、ゲームで救えなかった少女を救う。  2人で逃げて何処かで畑でも耕しながら生きようとしていたが、計画が狂い何故か闘技場でハッスルする未来が待ち受けているとは物語がスタートした時はまだ知らない・・・  多くの者と出会い、誤解されたり頼られたり、理不尽な目に遭ったりと、平穏な生活を求める主人公の思いとは裏腹に波乱万丈な未来が待ち受けている。  しかし、主人公補正からかメインストリートから逃げられない予感。  信託の儀の後に侯爵家から追放されるところから物語はスタートする。  いつしか追放した侯爵家にザマアをし、経済的にも見返し謝罪させる事を当面の目標とする事へと、物語の早々に変化していく。  孤児達と出会い自活と脱却を手伝ったりお人好しだ。  また、貴族ではあるが、多くの貴族が好んでするが自分は奴隷を性的に抱かないとのポリシーが行動に規制を掛ける。  果たして幸せを掴む事が出来るのか?魔王討伐から逃げられるのか?・・・

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

処理中です...