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第2章

第162話 旅路の始まりとトイレ事情

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 よく分からないまま馬車に押し込まれ、俺はアイリーンとエンピアルにずっとお世話をされていた。

 そうそう、報告があります!
 皆さんのトイレ事情が劇的に改善しました。
 それに伴い俺の手間も激減しました。

 馬車に拉致られてすぐに向かったのは町の外ではなく、王都に着いたその日に発注した商品の受け取りでした!

 先日アイリーンがポチっていた移動式トイレは便利だが(お祭りや花火会場でよく見るやつ)1つ大きな欠点があった。
 そう、異質過ぎて目立つのだ。
 身内だけなら良いが、明らかに目立つ。
 なので、小さな小屋を発注し、それを回収してから王都を出たのさ。
 最初は移動トイレを半分にぶった切って、馬車に組み込もうとすらした。
 トイレ専用馬車なんて馬鹿な事を真剣に女子高生達は考えていて、俺に作業をさせようとしたのさ。
 グランザムで斬って!とアイリーンに頼まれたものの、話を聞くとアイデアは悪くはないのだが、設計の勉強等をした事もないので、かなり無理のある計画だった。

 俺が気絶したのもあり断念したようだが、それとは別に俺はシャルルに話して移動式トイレに被せ物をと頼んでいた。

 簡易的な図面を書き、大工さんに無理やり人を集めさせ、突貫で作った小屋を収納に入れておき、外からはコヤとは分かるが、そこに異世界のアーティファクト・・・違います、トイレですがあるとは思わないようにした。
 勿論お金にモノを言わせ、無理やり(汗)

 それまでは俺が岩を出しての囲いを、それも毎度やっていたからかなり面倒くさかった。

 しかし、これなら収納から出し、チョチョイのチョイで終わる。
 これぞ無限収納の5段階活用の真骨頂だ。
 小屋にはトイレが4つ入り、男1、女3で運用だ。

 まあ、男は大はともかく、小はその辺ですれば済む。

 そうそう、俺は旅の最中はただの収納屋さんだ。
 つまり荷物持ち。
 俺のお陰で旅がかなり楽になるから、トイレ事情が劇的に改善したからか、女性陣の態度はかなり良くなった。
 正確には機嫌が良くなった感じかな。

 ただ、旅の原因は半分ら俺の所為なんだけどね。

 元々高校生達をひとまとめで一箇所に飛ばせば済んだんだよ。
 時間がなく、最適解を導き出せなくて咄嗟にしたからね。
 幸い誰も突っ込んでこない。

 それとトイレ事情が良くなったのはもう1つある。
 トイレだけでは駄目だ。
 手を洗ったり、汚物を流す水がない。
 そこで給水タンクをポチって貰い、それを小屋に組み込んでいる。
 小屋を引き取りに行った時に、大工さんと一緒に固定したのさ。
 流石にワンオフでその場で作って貰い、配管も何とか固定したさ。
 ヘルメを使いちゃんと接着したつもりだけど、やはり素人がやったからか、水を流すと繋目から少し水が漏れるけどご愛嬌。
 ダダ漏れは困るけどね。


 それと給水タンクには水を発生させる魔導具を組み込み、水の方も解決した。

 ただ、最大の問題は簡易トイレのタンクに溜まった汚物の処理だ。

 物々しい防毒マスクを着けて、俺が掘った穴に、俺がタンクの中身を投棄している。

 これは流石に女性陣にさせられない。

 また、女子高生のアイデアのトイレ専用馬車の方は、そのままでは駄目なので、道中やる事も無いので馬車の中で俺がアドバイスをして女性陣に設計させた。
 俺が全面的に設計すれば何とかなりそうだったけど、彼女達の成長の為に自らの考えや、皆とアイデアの出し合い等をさせ、俺はまとめというか、アイデアを実現させる為のアイデアを出していた。

 そんなかんなで旅は進み、これまでの苦労はなんだったのか?と思うほど順調に進み、道中泊まった町も物見遊山で和気あいあいと過ごしていた。

 大いに食べ、飲んで寝るの繰り返しで国境も難なく超えた。
 ただ、これまでは自国の姫がいたから何事もなかったが、ここからはそれも役に立たない。

 それでも長閑な草原や時折峠道を進むが、弱い魔物と遭遇する程度だった。

 町を訪れるたびに高校生達について、何か話が得られないか聞くもと言うか調べるも、噂話すらなかった。
 王都に近付けば情報が得られるかもだが、俺は手掛りが無い事に苛立ちを覚えた。

 そうそう、スキル制御を5段階目まで取った影響か、シャルルを見ても押し倒そうとは思わなくなっていた。
 勿論アイリーンやシャルルを見て、男として手を出したくなるそういう感情はあるが、以前のように女を見ると見境なくやりたくなるような衝動はなく、普通の男が持つ普通の感情のみを持つようになっていた。

 それと、怖くてシャルルに聞けない事があった。
 どうしてさくら達と行動を共にしなかったのか?だった。 さくらとは短い付き合いの間でも親友と呼べる間柄になっていると聞いているが、それでもさくら達と一緒にイデアさんのところ、つまりアカデミーに行く事を選んでいなかった。

 シャルルがサクラ達と一緒に行くと言い出せば俺は涙ながらに見送るしかなかった。
 勿論一緒にいてくれて嬉しいのは嬉しいのだが、どうしてなのか?という事を聞くに聞けず、今に至っているのであった。
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