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第2章

第140話 快適な馬車

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 国境で出国及び入国の手続きをしている時にふと思ったのは、俺達がこの世界に召喚された一連の物語の主人公は俺ではなく、実はニーナなのではないか?だ。

 そんな事を考えてしまう程、俺達の中に剣聖たるニーナがいると分かった時の対応が別格だったからだ。

 毎度その対応に驚かされるのだが、俺はニーナのお供をする為にここにいるんだ?とネガティブな考えが過る。

 当初こそ普通に並んでいたが、出国審査の時にニーナがいる事が判明すると、極めて簡素、つまり最低限の手続きだった。しかも入国審査はそれこそ出国審査側から写しを貰うだけとなった。

 馬車の中もノーチェックだった。
 通常だと馬車の中は見られ、臨検と称して箱の中まで改める位の徹底した検査をする場合があると言う。
 ニーナの名前はそれ程強力なものだったが、本人はそういう素振りを全く見せない。

 スキル制御の方は徐々に効果が現れ、今朝になってからは女性陣を見ても即時ベッドに引きずり込んでヒィー、ヒィー!と言わせたくなる!そういう気持ちが完全に湧かなくなった。

 アイリーンとみっちゃん達がどうなっているか心配だ。後でそれとなく聞いておこう。

 国境を越えてからはのどかな田園風景、草原地帯、時折ちょっとした丘が見える、そんな中を進む。
 日本では絶対に見られないようなのどかな風景であり、視界に人工構造物が一切見えない!そんなところが続いていた。

 そうそう、馬車は少し改造している。天井にソーラーパネルを付け、ポータブル電源に充電している。

 そしてその電源を使い、スマホなどを充電したり扇風機で風を送っていた。
 そう、天井には扇風機を付けて涼を得ていたのだ。
 また、馬車の中ではスマホに入っている楽曲を聞いていたりもする。
 今日は俺のスマホに入れているレフレックスだ。
 おっさんだが、ワム(ジョージ・マイケル)を彷彿とさせる楽曲で、皆歌詞が分からないながらも楽しんでいた。

 道中も時折弱い魔物が出た位で、特に何事もなく予定していた町に着いた。宿に入る時に、アイリーンとみっちゃんから後で話があるからと呼ばれていた。

 だが、どうやら彼女達はまだ少しスキルの影響が残っているようだった。
 昨日のようにいきなり服を脱ぎ出すような事はなかったので、深刻な状況はもう脱しているようだ。
 だけど2人共告白してきた。

「栃郎(レオン)の事が好き!彼女にしてください」

 2人がハモって言ってきたから、まだスキルの影響が残っているのだと俺は確信した。

 アイリーンはなんとなく分かるが、みっちゃんが俺の事を好きなはずがない。だが、スキルの影響がまだ抜けていないと言うと可哀想なので俺は2人を優しく抱きしめた。

「分かっている。分かっているから俺に任せておけ!」

 そう言って取り敢えず当たり障りのない事を言っておいた。

 そして気分を変えようかと思い付き、フルハーネスを2人に着けてあげて夜空の散歩を行う事にした。

 2人は喜んでいたな。
 あかん!笑顔が眩しい!前半と後半で背中に背負う方と姫様抱っこする方をチェンジする事にした。

 俺の方はスキルの影響はもうないはずなのだが、2人の体の感触にドキドキしっぱなしだった。
 俺は2人の事が好きだ。だがしかし、2人が俺を好きだと言ってくれている好きの度合いと、俺が彼女達を好きだという意味合いが違う。

 俺は保護する対象として彼女達の事が好きだ。
 人として、女として好いているのかと言われると、俺は実は2人の事を心の底から好きなのだ。

 だが、自制心がそれを規制していた。己の心が2人を好きだという事を理性が止めていたのだ。
 そう、俺はおっさんであり、相手は高校生だと。

 そんな事もあったが、その後はシャルルに対する襲撃はなかった。それどころか盗賊と遭遇する事もなく予定通りに、高校生達が罪に問われる!つまり処刑される1日前に王都へ無事に着いたのであった
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