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第1章

第79話 恋人達の想い

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 大広間に戻ると、皆が大人しく俺達を待っていた。

「待たせたね。先程、指示すべき事で漏れていた事が有るから伝えるよ。俺の奴隷であれ、そうでない者も含め、いかなる時も同意のない肉体関係を迫る事を禁じる。強姦なんてもっての外だ。ただ、奴隷同士でも恋愛や結婚は自由だ」

 ざわめきが起こる。

 エンピアルが手を上げた。

「それは私達を御主人様の妾や第二夫人にして頂く事が可能という事でしょうか?」

「俺は立場を利用して君達の体を求めないから、奴隷の義務から俺の夜の相手をさせるつもりも、無理強いを要求する事もないからな。あくまで肌を重ねるのは相思相愛であって欲しい」

「では私達は自分の好きな相手になら抱かれても良いのですね?」

「お互いに同意していたらな。で、取り敢えず、エンピアル、君達4人と奴隷の首輪をしていない者は、俺が今から指示する事に参加をしないが、他は仲良しさんでペアを組んでくれ。勿論男女でも良いぞ。皆に2人部屋に住んで貰うから、その部屋割りの為だ」

「その、ご主人様!私達は?」

「ああ。君らは3階だ。4人で1部屋を使う事になるが、主人の家族や客間を想定した部屋だから心配ないぞ」

 早速皆別れ出した。いるかな?と思ったのだが、戦闘奴隷の男と性奴隷の女がペアを組んでいて正直驚いた。泣きながら抱き合っていたのだ。

 俺はちょいちょいとして、その2人を呼んだ。戦闘奴隷では他にもいたのだが、意外な組み合わせだったのだ。

「つかぬ事を聞くが、君達は奴隸になる前の関係は?」

「彼は私の護衛の騎士様で、将来を誓いあっておりました。本当に宜しいのでしょうか?」

「俺は君達の事を奴隷として扱わないよ。君達が好いている者同士なら問題ないよ。だからこの後何をしようが2人は自由だ。ただ、壁はそんなに厚くないからね」

 2人がひたすら感謝して下がっていった。それを見ていたアイリーンは貰い泣きをしていた。

「取り敢えず一旦部屋に行き、10分後に集まってくれ」

 俺は大広間にいる者達に告げ、フリオールには家族と共に部屋に行かせ、エンピアル達も釈然としないまま自分達へ割り当てられた部屋に行く。

「レオン、あの2人って本来はどうなっていたの?」

「男の方は騎士のようだから戦闘奴隷として売られ、女の方は貴族の慰み者にされ、そいつの子を産まさせられたりすると思う」

 ニーナが首を振る。

「違うぞ。2、3年で奴隷商に払い下げられ、安価な性奴隷として売られ、30歳になった頃には娼館で客を取らされているぞ」

 アイリーンが俺の腕をギュッと掴んで涙を流した。

「こんなのおかしいよ!間違っているよ!」

「分かっている。こんなのはおかしいって。でも今の俺達にはこれくらいしか出来ないぞ」

「奴隷制度なんてなくなっちゃえばいいのに。私・・・消したい!奴隷制度が憎い!」

 俺はギュッと抱きしめ、胸を貸す位しか出来なかった。しかし、早い者が戻り始めたのでアイリーンは涙を拭い、出迎えるのであった。
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