エラーから始まる異世界生活

第1章

死闘

　俺はふらふらになりながらも、なんとか妻達を抱え、しがみつかせながらなボス部屋の方に向かっていた。

　仕切りの壁の部分も全て落ちており、ただただ何もないところにポツンとボス部屋があるそういうような状態になっている。正確はボス部屋の有る100階層に続く階段だけがポツンと現れているのだ。

　その為真っぐそちらに向かえば良い。ただし進行はノロノロと行くしかない。急がなければならないのはならないのだが、急ぐとしがみつく力を強くする事になり、結果的に握力がなくなる時間が早くなってしまうのだ。

　俺も高負荷状態になっており魔力もガンガン削られているような状態だ。５人が必死に俺にしがみついている。そうなるとわかっていれば別の手があったが、既に足場が無いのでどうにもならない。

　それでもなんとか無事に階段に辿り着き、皆必死に階段に駆け込んた。はあはあと息が乱れ、妻達も皆腕を震わせていた。握力のほとんどを使い果たしたからだ。階段のところでこれで一息付ける！そう思っていたが、甘かった。

　階段が下の方から徐々に崩れ落ち始めたのだ。水樹が悲鳴をあげがら落下してしまった。俺は転移で何とか水樹を捕まえ、階段のところに戻ったが、2秒に一段ずつ消えていっている。つまり段々と足場が無くなって行く事を意味する。

　俺たちはゆっくりゆっくり階段を一段ずつ登っており、残り3段のところまで来た。そう、もう後がないのだ。階段の先に扉があるが、そこがボス部屋だ。

「見ての通りだ。残念だがこのまま行くしかない。気を付けてくれ！」

　そういうしかなく、息が上がり、魔力も怪しい状態でボス部屋の扉を開けるしかなく、俺達は半ば頃が転がり込むようにボス部屋の中に入って行った。

　俺は咄嗟に反応できたレイナがクレアと俺を突き飛ばしたが、結局二人共何かに吹き飛ばされた。

　そして俺はというと壁に頭を打ち付け、あっさり意識を手放したのであった。

　そして苦悶の声、何かの音がしているなと感じ、目覚めた時に俺は咄嗟に愛刀であるアンタレスでそいつが振った腕を食い止めた。

　そして見渡す限りの凄惨な光景に俺は目を疑った。俺の傍にはアトランジェの首が転がっていた。意味が分からなかった。そこら中に妻達としか考えられないし、考えたくもなかったが、細切れの死体が転がっていたというか、肉片が散乱していた。

　俺は訳がわからなかったので、部屋の反対側に転移し、ボスと向き合った。そいつも無傷とは行かなかったようで傷だらけだ。どうやらいわゆるキメラと言われている合成獣のようだ。鶏とライオンの顔を足して割ったような顔で、羽が半ば切断されている。また、腕も数本転がっており、今は残り一本のようだ。


　全身血まみれで、俺が気絶している間に妻達と激しい戦いを繰り広げていたのが判る。

　がただ言えるのは、妻達はでは歯が立たなかったという事だ。怒りは湧いてくるが、とりあえずとっととこいつを倒し、妻達を生き返らせよう！と俺には死者蘇生があるので、それほど慌てなかった。

　どうやら気絶した俺を殺すのを最後にしたというよりも、最後になったという感じだ。それは妻達が俺を必死に守ってくれたからだったのであろうと。

　俺はアンタレスを構え、ボスと対峙するのであった。