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第45話 5階層の賑わい
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5階層に降りると周囲は賑やかだった。この階層は、植物系と昆虫型の魔物が多く、魔石の価値も一つ8,000円と高めだから、冒険者たちに人気のエリアとなっている。
また、先ほどすれ違った男たち4人組は、4階層から戻ってきた。
「いねぇじゃねえかよ!ドンピシャでリポップしてたはずなのに誰だよ!」
悔しそうに呟いていた。狙っていた魔物を他の冒険者に先取りされたのだろうか。
(ごめんなさい、それ俺です・・・)
5階層の魔物はそれほど強くないが、数が多いので気を抜くと意外に苦戦することもある。
しかも今回はというか、この階層は人が多いので、戦利品の取り合いになりそうだ。そんなことを考えながら階段を下りて直ぐに魔物の気配を探っていると、ふと視界に見覚えのある姿が映り、同じ学校の1年生か2年生の男子と女子の2人組が転移してきているのが目に入った。
「あの子たち、どこかで見た気がするけど…」
友理奈と同じように見たことがある気がすると話しながらも、後ろ姿だけでははっきりわからない。しかも1年か2年生で小柄な女子を含めた2人だけでこの階層に挑むのは少し心配でもある。
俺たちは、彼女たちが向かった方向とは反対側にある6階層の階段を目指すルートに進むことにした。慎重に進みつつも、油断しないように辺りを警戒していると、不意に巨木にしか見えないトレントが立ちはだかり、枝葉を揺らしてこちらを睨んでいるのが見えた。
「気をつけて、あれはタフだから!」
俺の声に友理奈が構えを取り、俺も槍を手にしたその瞬間、背後からブンブンと羽音が響き、数匹の大型昆虫であるビーの一種が姿を現した。
俺の遠距離攻撃手段である槍を、まだ種類が分からないがビーに投げ、友理奈も遠距離攻撃として魔法を放つ。
接近したのはスルメイラがロングソードで倒していく。
また、トレントの枝葉による攻撃もスルメイラが弾き、俺と友理奈がトドメを担う感じになっている。
勿論倒さないとヤバそうな時はスルメイラも倒してくれるが、今はそこまでの状況ではない。
以前の俺なら失禁ものの魔物の数だが、落ち着いており槍が戻る前に接近したビーには、容赦なく振り回した盾による打撃で霧散させていく。
俺と友理奈の戦闘経験を積むためにスルメイラには魔法を控えてもらっているが、彼女の顔に焦りや心配している感じは見られない。
5階層の半ばで狩りを続け、15時半になったのもありいよいよ階段の方へ向かうことにした。5階層のボスエリアにはトレント型かビー型の大型モンスターが現れることが多いと聞いていたので、俺たちは警戒しながら進む。
すると、階段付近に先客がいるのが見えた。先ほど見かけた同じ学校の男子と小柄な女子の2人組みが、ボスである大型のトレントのツタに絡まれ、半ば捕らえられおり、もがいている。トレント型のボスが更にツタを伸ばし、まるで彼女たちを捕食しようとしているかのようだ。
「まずい、このままだと危ない!」
俺たちは急いで救出に向かうことにした。友理奈とスルメイラと共に、トレントのツタによる攻撃を避けつつ少しずつ距離を詰めていく。友理奈は勇敢に接近しながらも、ツタの攻撃を何とかかわし魔法を放つ。
友理奈には下がって支援をお願いし、俺が突撃して血路を開く行くと告げた。
スルメイラと武器を交換し、彼女はサポート役兼友理奈の護衛として俺の後方から槍を投げて援護してもらう。俺は剣を握りしめ、渾身の力でトレントの胴体を薙ぎ払い、次に突いていく。
ツタを次々に切り落としながら、3人で協力してトレントの動きを止めていく。友理奈は集中力を切らさずに冷静に立ち回り、スルメイラもその力強いサポートを続けた。最終的に俺たちの連携が功を奏し、トレントは大きな振動と共に倒れて霧散した。
「ありがとう・・・助かったわ!」
2人は無事に救出され、感謝の言葉を口にしてくれた。息をつきながら俺たちはお互いに目を見合わせ、うなずき合うが、二人共服がずたずたで、半裸状態であり、それに気がついた友理奈が俺の目に手を回して叫んだ。
「見ちゃだめ!」
また、先ほどすれ違った男たち4人組は、4階層から戻ってきた。
「いねぇじゃねえかよ!ドンピシャでリポップしてたはずなのに誰だよ!」
悔しそうに呟いていた。狙っていた魔物を他の冒険者に先取りされたのだろうか。
(ごめんなさい、それ俺です・・・)
5階層の魔物はそれほど強くないが、数が多いので気を抜くと意外に苦戦することもある。
しかも今回はというか、この階層は人が多いので、戦利品の取り合いになりそうだ。そんなことを考えながら階段を下りて直ぐに魔物の気配を探っていると、ふと視界に見覚えのある姿が映り、同じ学校の1年生か2年生の男子と女子の2人組が転移してきているのが目に入った。
「あの子たち、どこかで見た気がするけど…」
友理奈と同じように見たことがある気がすると話しながらも、後ろ姿だけでははっきりわからない。しかも1年か2年生で小柄な女子を含めた2人だけでこの階層に挑むのは少し心配でもある。
俺たちは、彼女たちが向かった方向とは反対側にある6階層の階段を目指すルートに進むことにした。慎重に進みつつも、油断しないように辺りを警戒していると、不意に巨木にしか見えないトレントが立ちはだかり、枝葉を揺らしてこちらを睨んでいるのが見えた。
「気をつけて、あれはタフだから!」
俺の声に友理奈が構えを取り、俺も槍を手にしたその瞬間、背後からブンブンと羽音が響き、数匹の大型昆虫であるビーの一種が姿を現した。
俺の遠距離攻撃手段である槍を、まだ種類が分からないがビーに投げ、友理奈も遠距離攻撃として魔法を放つ。
接近したのはスルメイラがロングソードで倒していく。
また、トレントの枝葉による攻撃もスルメイラが弾き、俺と友理奈がトドメを担う感じになっている。
勿論倒さないとヤバそうな時はスルメイラも倒してくれるが、今はそこまでの状況ではない。
以前の俺なら失禁ものの魔物の数だが、落ち着いており槍が戻る前に接近したビーには、容赦なく振り回した盾による打撃で霧散させていく。
俺と友理奈の戦闘経験を積むためにスルメイラには魔法を控えてもらっているが、彼女の顔に焦りや心配している感じは見られない。
5階層の半ばで狩りを続け、15時半になったのもありいよいよ階段の方へ向かうことにした。5階層のボスエリアにはトレント型かビー型の大型モンスターが現れることが多いと聞いていたので、俺たちは警戒しながら進む。
すると、階段付近に先客がいるのが見えた。先ほど見かけた同じ学校の男子と小柄な女子の2人組みが、ボスである大型のトレントのツタに絡まれ、半ば捕らえられおり、もがいている。トレント型のボスが更にツタを伸ばし、まるで彼女たちを捕食しようとしているかのようだ。
「まずい、このままだと危ない!」
俺たちは急いで救出に向かうことにした。友理奈とスルメイラと共に、トレントのツタによる攻撃を避けつつ少しずつ距離を詰めていく。友理奈は勇敢に接近しながらも、ツタの攻撃を何とかかわし魔法を放つ。
友理奈には下がって支援をお願いし、俺が突撃して血路を開く行くと告げた。
スルメイラと武器を交換し、彼女はサポート役兼友理奈の護衛として俺の後方から槍を投げて援護してもらう。俺は剣を握りしめ、渾身の力でトレントの胴体を薙ぎ払い、次に突いていく。
ツタを次々に切り落としながら、3人で協力してトレントの動きを止めていく。友理奈は集中力を切らさずに冷静に立ち回り、スルメイラもその力強いサポートを続けた。最終的に俺たちの連携が功を奏し、トレントは大きな振動と共に倒れて霧散した。
「ありがとう・・・助かったわ!」
2人は無事に救出され、感謝の言葉を口にしてくれた。息をつきながら俺たちはお互いに目を見合わせ、うなずき合うが、二人共服がずたずたで、半裸状態であり、それに気がついた友理奈が俺の目に手を回して叫んだ。
「見ちゃだめ!」
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