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第2章

第119話 帰らない選択

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 カナロアが告げたのは、幼馴染の名前だった。

「う、嘘だ。俺はあいつとやっていないぞ。こっちに来るまで童貞だったんだ。ガチャもそれで行けたんだぞ」

「セミナーの有志での旅行から帰って来た時に、お互い酔った勢いで愛し合ったと聞いている。母は朝になる前に部屋を引き上げたと。貴方は正体をなくすくらい酔っていて、多分覚えていないだろうと日記に有ったんだ。貴方に責任を負わせ、デキ婚を狙い避妊しなかったそうだ。そしてその後、貴方が謎の失踪をしたその日に妊娠が発覚し、お祖父様とお祖母様に相談したが、まだ学生だった母はとてもではないが自分1人では育てられず、祖父母に引き取られて育ったんだ。DNA鑑定で間違いなく、息子の忘れ形見だとしてな。それはそれは可愛がってくれたよ。やがて卒業した母も働いて幸せに暮らしていたよ。公にされなかったが、店で消え行く貴方が防犯カメラに写っていて、貴方の最後を見させられたよ。くどいようだが貴方は少なく共お祖父様とお祖母様が存命の間には帰らなかったんだ」

「やめてくれ。俺にとっては未来の話だ。俺が帰らないのは帰りたくても手段がないのか・・・いや違う。お前の語る未来にする必要が有るからだぞ。お前は俺の選択肢を消したんだ。俺が元の世界に何も知らずに帰れば、子供なんて育てられないからと両親の反対から堕胎させられるからお前も生まれなくなるんだ。そうするとこの世界の皆が生まれないんだよ。そうか。俺は帰る選択をする訳にはいかないのか」

「まっまさか、私自ら父親と会えなくする行動を今取ったというのか?」

「そうだ。あいつはどうした?」

「別の男性と結婚し幸せに暮らしていて、私にも時々会いに来てくれており、75歳まで生きましたよ」

「待て、お前はいったい何歳で死んだんだ?おかしいぞ。日本に戻り、ゲートを閉めたらミサイルで死んだと言うが時間が合わないぞ」

「誰が向こうに帰った直後にと言いましたか?1度は閉めましたが、また開いたのですよ。その時は魔物が大挙してきて、再びこちらに来て生き残っていた昔の仲間と再び閉めたのです。私が65歳の時にね」

 俺は事実として受け入れざるを得なく、暫くの間愕然としていた。

 カナロアの話から、これから俺がどういった行動を取るべきか皆で相談していた。

 少なく共、俺の個人情報について、身内しか知り得ない内容を把握していた。

 なにはともあれ彼はDNA鑑定までしたというので信憑性は高い。いや、事実なのだろう。

 それにすっぴんにして帽子をかぶらせて皆に見てもらうと、兄弟にしか見えなかった。

 恐らく俺の子なのだろう。いや、間違いない。
 向こうでは結婚し、孫までいたという。
 どうやら俺の子孫は地球にいるようだ。生命としては子孫を無事残せたから、帰る必要はあまりない。
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